井口健二のOn the Production
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2010年08月15日(日) 隠された日記、アワ・ブリーフ・エタニティ、桜田門外ノ変、C&D3D、大江戸LD、ゴスロリ処刑人、さらば愛しの大統領+製作ニュース

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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※
※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※
※方は左クリックドラッグで反転してください。    ※
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『隠された日記』“Meres et filles”
2007年9月紹介『レディ・チャタレー』でセザール賞主演女
優賞に輝いたマリナ・ハンズと、フランスを代表する女優の
カトリーヌ・ドヌーヴ、それに2003年7月紹介『アララトの
聖母』などに出演のマリ=ジョセ・クローズの共演で、母娘
3代の愛憎を描いたドラマ。
ハンズ扮する娘が、突然カナダからフランスの実家に帰って
くる。娘はドヌーヴ扮する母親に何か言いたげだが、開業医
で忙しい母親とは話し合う時間が取れない。そして休暇中も
仕事を持ち帰っている娘は、近所で空き家になっている亡き
祖父の家に住むことにする。
そこで祖父の家の中を片付けていると、家具の間から一冊の
古い手帳が見つかる。その手帳は、母親がまだ幼い頃に家出
したまま消息の判らないクローズ扮する祖母が、家出の直前
まで綴っていた日記だった。そしてそこには多額の紙幣も挟
まっていた。
さらに日記には、自ら働くことを希望しながらも、夫がその
意欲を認めてくれず、家の中で悶々と暮らさなければならな
かった祖母の苦悩が綴られていた。その苦悩は娘(母親)と
の確執を生み、それがさらに現代の母親と娘の関係にも影を
落としていた。

脚本と監督は、日本ではフランス映画祭での作品紹介が多い
ジュリー=ロペス・クルヴァル。物語は監督のオリジナルの
ようだが、ちょっとトリッキーな展開の中で母親と娘の確執
のようなものが見事に描かれている。
と言っても、僕は娘は持っているが父親なのでこの感覚は正
確には判らないが、家内と娘を観ていると「こんなかなあ」
とも思える。理解しているようで本当の理解ができない、そ
れは父親と息子でも同じかも知れないし、親子の関係という
のは、結局そんなものなのだろう。
共演は、昨年10月紹介『ジャック・メスリーヌ』などのミシ
ェル・デュショーソワ、昨年6月紹介『96時間』などのジ
ェラール・ワトキンス、テレビのベテラン女優というエレオ
ノール・イルト、2007年11月紹介『潜水服は蝶の夢をみる』
などのジャン=ピエル・エコフェ。因に、『潜水服…』には
ハンズ、クローズ、ワトキンスも出演していた。
最後の意外な展開が、物語のテイストを多少変えてしまって
いるような感じもするが、その日記の謎が解かれたときに母
親と娘の絆はいっそう深いものになっていた。そんな感じ物
語だ。


『アワ・ブリーフ・エタニティ』
昨年の東京国際映画祭に出品されていたが、スケジュールの
都合で観られなかった作品に一般公開が決定し、改めて試写
が行われた。
元気だった人間が突然気を失い、数日経って何事もなかった
ように目を覚ます。そんな奇病が伝染病のように広がってい
る。しかし失神の前後で生活に支障がなく、病気はそれだけ
のものと思われていたのだが…、実はその病気には重大な後
遺症が隠されていた。
その後遺症とは、長期記憶の障害。つまりアルツハイマーな
どのように今何をしていたという短期記憶の喪失ではなく、
過去の思い出などの長期記憶が失われる。しかもそれが過去
の恋人ような、肉親以外で特に親しかった人の記憶について
選択的に失われるようなのだ。
というシチュエーションを前提として、自分のことを全く覚
えていない昔の恋人と再会した主人公が、彼女との恋愛を再
体験したり、また別のケースでは恋人の関係が破綻したり…
といったいろいろな恋愛関係が描かれる。

脚本と監督は、2001年に初長編作品だった『PRISM』という
作品が、レイトショウ枠から一般公開に昇格するなど評判に
なった福島拓哉。しかしその後は、企画を出しても潰れるの
挫折を繰り返し、ようやく8年目に実現した作品だそうだ。
その作品は、「ある意味で初心に立ち返って企画した」と、
試写前の挨拶に立った監督が語っていた。その間の潰れた企
画がどのようなものだったかは判らないが、確かに本作は、
インディペンデンスの味わいが濃い作品ではある。
それで実は映画祭で観なかったのは、このインディペンデス
臭さにもあって、内容がSFであることは判っていたが、今
まで何度もこの手のSF風インディペンデンス作品の駄作に
付き合ってきた自分としては食手が動き難かった。もちろん
スケジュールの問題が先にはあったが…。
と言うことで不安を感じながら観に行った試写会だったが、
作品は予想に反してと言うか、思いの外に物語が上手く作ら
れていて、特に同じシチュエーションで異なる結論が提示さ
れているところなどは、よく考えられている感じもした。

VFXギンギンという作品ではないが、昔、トリュフォーの
『華氏451』を初めて観たときのような、静かにSFを味
わえる感じのする作品だった。因に題名は、ウィリアム・ギ
ブスン作の詞の一節で、黒丸尚の翻訳によると「僕らの短い
永遠」となっているようだ。

『桜田門外ノ変』
安政7年3月3日(1860年3月24日)、元水戸藩士によって
江戸城桜田門外で決行された幕府大老井伊直弼の刺殺事件。
明治維新の出発点とも言われるその事件の全貌を描いた吉村
昭原作からの映画化。
元々は茨城県で郷土に根差した映像文化を育もうという気運
があり、最初は水戸黄門の若かりし頃を描くなどのアイデア
もあったが、検討を進める内に、水戸藩が中心にありながら
歴史的に今一つその経緯が知られていない幕末の事件を描く
ことになったとのことだ。
このため映画製作には水戸市、茨城県などの全面的な協力が
得られ、水戸偕楽園のすぐ脇の千波湖畔に2億5000万円を掛
けた巨大なオープンセットが建てられるなど、大々的な地元
の支援で撮影が行われている。
なおこのオープンセットは、併設された映画記念展示館と共
に、来年3月末まで一般公開されているそうだ。
物語は、1853年浦賀に来航したペリーの黒船を水戸藩郡奉行
与力・関鉄之介が目撃するところから始まる。その事態に、
阿片戦争による中国清の窮状を目の当りにしていた井伊大老
を中心とする江戸幕府は開国止むなしの結論を出すが、水戸
藩主徳川斉昭はそれに猛反発する。
これに対して権力を嵩に着た井伊らは、斉昭に永蟄居を命じ
るなど反対派の声を封じ込め、京都御所の聖断を得ないまま
開国の条約を結んでしまう。このため尊皇攘夷の意志を固め
た斉昭は、薩摩藩などと連携して一気に事を起こそうとし、
その切っ掛けが桜田門外での襲撃になるはずだった。
ところが、連携するはずだった薩摩藩による京都での挙兵は
行われず。大義を失った襲撃に参加した薩摩藩士1名を含む
水戸の浪士たちは逆賊とされ、自刃や処刑、または逃亡の生
活を余儀なくされる。
だが、この襲撃が尊皇攘夷の勢力を後押しし、襲撃から8年
後にはその桜田門から天皇が入城して明治元年を迎えること
になる…。という物語が、上記のオープンセットで撮影され
た襲撃シーンと共に描かれる。因にこの襲撃シーンは、史実
に基づいてかなり正確に再現されたもののようで、その迫力
なども見事だった。
ただし、物語はこの襲撃の成功のみを描くのではなく、それ
によって歴史の流れに翻弄された水戸の浪士たちの姿が見事
に描き出されている。
もちろん物語は水戸中心の史観に基づいているし、井伊が一
方的に悪人にされている面は否めないが、明治維新の陰で流
された多くの血の一部がここに描かれている。それは井伊や
彦根藩士の血も含めて、近代日本の礎となったものであるこ
とは間違いない。

出演は、大沢たかお、柄本明、西村雅彦、長谷川京子、加藤
清史郎、北大路欣也、伊武雅刀らを始め、日本映画の現在を
支えている面々が多数出演している。
脚本と監督は佐藤純彌。因に、吉村原作では大沢が演じた関
のキャラクターはほとんど描かれていないそうで、そこに人
間的な肉付けをした脚色には、2008年12月紹介『レスキュー
フォース』の併映作品『爆走!!トミカヒーローグランプリ』
や、先月紹介した『GARO<我狼>』などの江良至が参加
している。
前回紹介した『半次郎』『武士の家計簿』に続いての幕末−
明治維新を背景とした作品となっているが、今回紹介の桜田
門外ノ変がちょうど150年前の出来事で、それを検証する時
期に来ているのかな。それにしても、その8年後が明治維新
ということは、後8年で明治150年。明治100年で騒いだ頃を
覚えている身としては、何ともあっと言う間の50年だった気
がしてきた。

『キャッツ&ドッグズ3D』
    “Cats and Dogs: The Revenge of Kitty Galore”
本作は月初にも一度紹介しているが、今回は3D・日本語吹
き替え版での試写が行われ、再度鑑賞したので、その評価と
前回書き忘れたことを少し紹介しておく。因に本作の日本公
開は、ほぼこのヴァージョンで行われるようだ。
まず日本語の吹き替えについては、今回はいわゆるタレント
が声優を務めているものではなく、プロの声優が起用されて
いるので、それは何の心配もないと言う感じだった。オリジ
ナルの名優たちの共演も楽しめたが、これはこれでOKの吹
き替えだろう。
また3Dに関しては、VFXを昨年12月紹介『スパイアニマ
ル/Gフォース』なども手掛けたソニー・イメージワークス
が担当しており、これも手慣れたものという感じ。画面から
飛び出してくる感はあまりないが、全体的に落ち着いた3D
感が楽しめた。
それともう1点、前回書き忘れたのは、本編の前に“Looney
Tunes”の短編が併映されることだ。しかもこれが“Wile E.
Coyote and Road Runner”の1篇で、昔からのファンの自分
としては嬉しいおまけだった。
内容は、いつものように獲物を狙う腹ぺこコヨーテと、その
罠を見事に掻い潜ってしっぺ返しをするロードランナーのど
たばたが描かれる。さらにこの作品も3Dで、特に今回は、
テーマが「バンジージャンプ」なので、その3D感も抜群と
いう感じのものだった。
ただし、この併映作に関しては、情報がほとんど伝えられて
おらず、ウェブ上で探しても見付からない。実は正式な原題
やコピーライトも把握できなかったのだが、内容がバンジー
ジャンプということでは、それほど昔の作品とも思えず、こ
れは新作なのかな?
でもお話は、昔通りの過激な内容で、昔からのファンとして
は大いに満足できた。
本編の方は、多少お子様向けという感じではあるが、この併
映作品は大人にも楽しめること請け合い。特に、コヨーテの
何度失敗しても負けない不屈の精神は、社会でもがいている
今の日本人に勇気を与えてくれる作品とも言える。

子供に付き合わされて観に来たお父さんが、ここでは大いに
沸いてくれそうだ。
なお、前々回の記事に少し誤りがありましたので、記事の修
正を致しました。

『大江戸りびんぐでっど』
歌舞伎座の舞台面をHD撮影して映画館で上映する「シネマ
歌舞伎」シリーズの第12弾。昨年12月に「歌舞伎座さよなら
公演」の一環として上演された宮藤官九郎脚本・演出による
新作歌舞伎がHDカメラによって撮影されている。
物語は、江戸で新島のクサヤを売っている女が主人公。女は
新島で夫を殺され、その夫が代々受け継いできた秘伝のクサ
ヤ汁による干物を江戸で販売していたのだが、その匂いのせ
いで売れ行きははかばかしくない。
その頃、品川宿には甦り=「らくだ」の一群が現れていた。
そいつらはいくら刀で切りつけても死なず、その上、生きた
人間の肉を食らってその仲間を増やす。この事態に奉行の登
場となるが、ここで1人の男が事を取り成して「らくだ」の
管理を任される。
その後の男は、殺しても死なない「らくだ」たちを、危険な
仕事に従事する「はけん」と呼ばれる労働力に仕立て上げ、
江戸中の危険な仕事場に送り出していた。しかしそれは、江
戸の庶民の生活にも影響を及ぼし始める。
一方、「らくだ」の管理を任された男=半助は、クサヤ売り
の女=お葉に近づいて行くが…。実は半助も新島の出身で、
「らくだ」というのはクサヤ汁を浴びて甦った新島の人々の
死骸だったのだ。

というお話が、長唄調の「りびんぐでっどぅ」という歌に合
わせた「らくだ」の群舞などを絡めて、半助=市川染五郎、
お葉=中村七之介、他に中村獅童、中村橋之介、坂東三津五
郎、中村勘三郎らの豪華な顔ぶれにより、歌舞伎座の大舞台
で演じられる。
演出的には、回り舞台の特徴を活かした場面転換の技術など
は面白かったし、さらに回想シーンなどを見事に描き分けた
照明等の効果も素晴らしく感じられた。
ただ僕としては、立場上「ゾンビ」作品としても評価しなけ
ればならないのだが、その点ではゾンビの設定が不明確で、
特にゾンビには新鮮な人肉が必要らしいのに、その調達をど
うしているかなど疑問が残る。それに「死神」を登場させた
りした分、話が混乱している感じもした。
他にも半助の立場などももう少し丁寧に描くべきだが、元々
この点ではルール違反的な感じの展開もあって、この辺はど
うなんだろう? またクライマックスは、大掛かりなセット
の割には、結局何が言いたいのかよく理解ができなかった。
ゾンビ物ならやはり結末は全滅、若しくは現場からの脱出に
して欲しかったものだ。
甦り=「らくだ」というネーミングの辺りは面白く感じて、
それで期待もしたのだが、「らくだ」が踊るのは「看看踊」
ではないし…。引用するのならその作品へのリスペクトも、
もう少しちゃんとして欲しかった感じだ。


『ゴスロリ処刑人』
2001年に15歳で『仮面ライダーアギト』のヒロインを演じ、
その後にオシリーナの愛称でも知られるようになった秋山莉
奈主演によるスプラッターアクション作品。
母親を目の前で殺され、父親も車椅子の生活となった一家の
中で、唯一健常のまま生き延びた娘が、ゴスロリの衣裳に身
を包み、武器を仕込んだ黒いアンブレラを手に襲撃した男女
に復讐劇を繰り広げる。
物語は次から次への殺戮シーンの連続、しかもその特殊造形
を担当したのが昨年6月紹介『吸血少女対少女フランケン』
などの西村喜廣。ということで、かなり強烈なシーンは観ら
れる作品だが…。多少見慣れた感があるのは、もう少し何か
工夫が欲しい頃なのかな。
ただし本作では、特殊造形だけでなく身体的なアクションの
方も頑張っていて、主役クラスにはそれぞれ吹き替えによる
スタントも入っての、かなりしっかりしたアクションが展開
される。他にワイアーワークもかなり頑張っていろいろ観せ
てくれていた。

共演は、たけし軍団の柳憂怜、シェイプUPガールズの中島
史恵、「テニスの王子様」出身の青柳塁斗、ホリプロタレン
トキャラバン審査員賞受賞の桃瀬美咲。他にはアクション俳
優の佃井皆美、岡本正仁、白善哲。さらに北米出身のパフォ
ーマンス集団Team 2Xなどが脇を固めている。
監督、編集、アクション総監督は、スタントマン出身でアク
ション監督が本業の小原剛。監督としては2008年『芸者vs忍
者』に続く第2作のようだ。脚本は、2008年10月紹介『悪夢
探偵2』や今年3月紹介『鉄男』なども手掛けている黒木久
勝。
ただ、最近の日本映画ではこの傾向がよくあるが、本作でも
物語の設定を全く説明せずに話が始まっている。本作の場合
は、それが謎解きに繋がっている面もありはするが、状況説
明なしのいきなりドラマというのは、観客にはかなり不親切
なものだ。そこは謎解きとの兼ね合いにもなるが、それを工
夫するのが脚本家の仕事とも言える。
本作はアクションの羅列だけで成立すると思っているのかも
知れないが、このやり方では作り手の本人は判っていても、
埒外の観客には物語に入り込むのが難しい感じがする。少な
くとも僕自身はなかなか物語に入れず、その間の気分が多少
後に残った。


『さらば愛しの大統領』
『リング』などの一瀬隆重プロデューサーがお笑いの吉本興
業と組んで企画したコメディ作品。
コメディアンの「世界のナベアツ」が大阪府知事選に出馬、
まさかの当選をしてしまう…という、横山ノック、橋下徹の
両知事を誕生させた大阪なら、もしかしたらあるかも知れな
い状況を描いた架空政治ストーリー。
しかも、その「世界のナベアツ」。失業問題や犯罪増加など
への対策で頼りにならない日本政府を見限って、3カ月後に
大阪府を独立させると宣言。同時に大阪合衆国初代大統領へ
の就任を発表する。
これに対して謎の組織から暗殺予告が大阪府警に届けられ、
大阪府警では警備に万全を期す一方で、通常の犯罪捜査では
失敗ばかりのお荷物刑事コンビに暗殺組織の解明捜査を命じ
るのだが…
その暗殺が何故か偶然の作用で未遂に終り続ける中、「世界
のナベアツ」が発表する奇想天外な政策が景気浮揚や犯罪防
止の効果を上げ始める。そして大阪合衆国の独立宣言の日が
近づいてくる。

「世界のナベアツ」が出演と、「ノバウサギ」などのCM監
督・柴田大輔との共同で監督を務め、主人公の刑事コンビに
宮川大輔とケンドーコバヤシ。他に、吹石一恵、釈由美子、
大杉蓮、前田吟、中村トオルらが共演。その他、吉本の芸人
たちが大挙出演している。
脚本は、両監督にコピーライターの山田慶太と、吉本芸術学
院出身の遠藤敬という人たちが協力しているとのことで、つ
まりお笑い系2人とCM系2人のコンビネーションが、見事
にバランスの取れた作品を作り上げた感じだ。
もちろん基本は関西吉本のベタな笑いではあるが、出演芸人
たちの個人芸に頼ることもなく、きっちり芝居で笑いを取っ
ている点は、過去の吉本企画の作品とは一味違った作品に仕
上がっている。
これなら、吉本が好きでない人たちにも観て貰えそうだが…
「世界のナベアツ」が大統領というお話では、最初からその
手の人たちは観客の対象外かな。いずれにしても、特に吉本
ファンのつもりはない僕でも、普通に楽しめる作品だった。
        *         *
 今回の製作ニュースは公開日の決定で、待望のエドガー・
ライシ・バローズ原作“John Carter of Mars”の全米公開
を、2012年6月8日に開始するとディズニーから正式発表が
行われた。
 この作品に関しては、今年1月3日付などでも紹介してい
るが、『スパイダーマン2』の映画用ストーリーを手掛けた
マイクル・シェイボンの脚本から、『ウォーリー』などのア
ニメーション監督アンドリュー・スタントンが改訂を施し、
初の実写作品として監督も担当するもので、撮影は3Dで行
われている。
 そして出演者には、主演のジョン・カーター役テイラー・
キッシュ、デジャー・ソリス役リン・コリンズは比較的若手
だが、その脇をウィレム・デフォー、サマンサ・モートン、
トーマス・ヘイデン・チャーチら多少癖のある俳優たちが固
めており、かなり面白い作品になりそうだ。もちろん続編、
シリーズ化も期待される超大作となっている。
 因に、本作が全米公開される6月8日は、直前の5月末に
“Men in Black 3”の公開が予定され、また直後の6月後半
には“Star Trek”の新シリーズの続編も計画されているも
ので、SF大作シリーズに挟まれての公開となる。これらの
作品の相乗効果も期待したい。
 なおディズニーの3D作品では、2012年3月9日にティム
・バートン監督による長編リメイク版“Frankenweenie”の
全米公開も併せて発表された。


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井口健二