井口健二のOn the Production
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2010年06月20日(日) 星砂の島のちいさな…、トラブル・イン・H'ウッド、パラレルライフ、瞳の奥の秘密、セラフィーヌ、30 ROCK、ネコを探して+製作ニュース

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※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※
※僕が気に入った作品のみを紹介しています。なお、文中※
※物語に関る部分は伏せ字にしておきますので、読まれる※
※方は左クリックドラッグで反転してください。    ※
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『星砂の島のちいさな天使』
NHK教育『天才てれびくん』にテレビ戦士として出演して
いた飯田里穂と、共にD-BOYSの牧田哲也、三上真史共演で、
沖縄県八重山諸島の竹富島を舞台にしたちょっとファンタス
ティックなお話。
主人公は、星砂の浜としても知られる竹富島のカイジ浜近く
で、民宿を営む母親を手伝っている若者。兄は島の役場の観
光課で観光客の誘致に悪戦苦闘しているが、その弟は父親の
遺品のカメラを片手に、島の自然や島民の笑顔を撮り続けて
いる。
そんな兄弟がある日、浜で若い女性が倒れているの見つけた
ことから物語は始まる。その女性は、彼女がそこに居た経緯
や素性を語らなかったが、兄弟の母親は彼女を民宿で働かせ
ることにする。そんな彼女に人魚の噂が立ち始める。そして
兄は、彼女を観光誘致に利用しようと考えるが…
兄が考える島の振興のための観光誘致と、島の生活を守ろう
とする人々との対立や、その島に心身の平安を求めてやって
くる人々の話。その背景にはニライカナイの伝説も存在して
いる。

上記以外の出演者では、美保純、大地康雄、プロレスラーの
長州力。さらに矢口真理、前田憂佳、相島一之、津田寛治ら
が脇を固めている。
監督は、2009年4月紹介『海の上の君は、いつも笑顔。』な
どの喜多一郎。監督は2004年のデビュー作もモーニング娘。
の新人3人が主演した『星砂の島、私の島』という竹富島が
舞台の作品だったとのことで、監督にとっての永遠のテーマ
のようだ。
でもまあ本作は、主演の3人が上記の顔ぶれということで、
作品もそれ相応の作品と言えるところだ。何も小難しいとこ
ろもないし…。観光誘致と島の生活など、それなりの問題提
起はあるが、それをどうしようなどと言うものでもない。
ただ美しい島の風景と島の住人たちの温かい心が、三線や地
元民謡などの癒し系の風物と共に、これでもかとばかりに描
かれている。特に悪いところも何も見当たらないが、折角の
女性の設定がこうであるなら、何かもう一捻りぐらいは有っ
てもいいかなあ…とは思ってしまう作品だった。

本作は、東京のキネカ大森、池袋テアトルダイヤで6月19日
に公開された後、全国順次公開される。

『トラブル・イン・ハリウッド』“What Just Happened”
1987年『アンタッチャブル』や2008年5月紹介『イントゥ・
ザ・ワイルド』などのベテラン映画製作者アート・リンスン
が自ら執筆した本を脚色、1985年『ヤング・シャーロック』
や1998年『スフィア』などのバリー・レヴィンスンが監督し
た作品。
VanityFair誌選出の「活躍する映画プロデューサー30人」に
選ばれた主人公が、その直前の2週間に体験した怒濤の物語
が展開される。
その2週間前、主人公は新作映画の覆面試写会に立ち会って
いた。その作品はショーン・ペン主演のノアール物らしいの
だが、映画は結末のワンシーンで観客の総スカンを食ってし
まう。しかし会場には監督は来場しておらず、会社幹部の矛
先は主人公に向けられる。
一方、芸能紙の一面にはベテランエージェントの不慮の死が
報じられていた。そんな事態の中、次回作の準備を進める主
人公に、今度は次回作の主演を契約したブルース・ウィリス
が駄々を捏ねているとの連絡が入る。
さらに主人公は、離婚調停中の妻には未練が有るらしく何か
と懐柔策を試みるが、いつもその直前で緊急の電話が入って
しまう。しかも、彼女のベッドの下から自分のものでない紳
士用の靴下を見付けて…
他にも、前妻との間の高校生の娘を学校に送っていこうとす
ると、娘が目を真赤に泣き腫らした跡を発見してしまうなど
…兎に角、映画プロデューサーの生活は公私に渡って大忙し
だ。果たして主人公はこれらの難局を乗り切れるのか。

主演はロバート・デ・ニーロ、映画会社の女社長役にはキャ
サリン・キーナー、離婚調停中の妻役にはロビン・ライト・
ペン、前妻との娘役にはクリスティン・スチュアート。さら
にスタンレー・トゥッチ、ジョン・タトーロなど。もちろん
ペンとウィリスは本人登場だ。
何ともしっちゃかめっちゃかな状況の中で、それでも時間だ
けが着実に進んで行く。そんな映画界の舞台裏が面白く可笑
しく描かれた作品で、特にペンの淡々とした物腰や、ウィリ
スの暴れん坊ぶりなどは本当にそうなのかな…?とまで思っ
てしまうところだった。

映画ファンには正しく豪華なプレゼントという作品だろう。

『パラレルライフ』“평행이론”
2人のアメリカ大統領リンカーンとケネディの生涯が100年
を隔てて符合する。そんな同じ人生を歩むものが存在すると
いう「平行理論」に基づいて、韓国司法界を描いた作品。
主人公は36歳の若さで裁判所の部長判事に就任する。しかも
美しい妻と可愛い1人娘にも恵まれ彼の人生は順風満帆だ。
しかし彼が下す判決は、適法に厳格すぎるために関係者の反
感を買っていることも事実だった。
そんな中で彼は「平行理論」を唱える学者が起こした事件の
裁判を担当する。その学者は、自らが過去の学者と同じ人生
を歩んでいると主張し、犯行を認めないでいたのだが…
一方、主人公は30年前に自分と同じ36歳で部長判事に任命さ
れた人物が居て、彼の人生が主人公と一致していることを教
えられる。そして、その部長判事の一家が後に惨殺されたと
いう事実も…。果たして主人公は彼の家族を救うことができ
るのか。
SFファンとしては、仮に「平行理論」が成立するとして、
30年前の出来事なら詳細に調べれば次の事態を予測して回避
できるのではないかと考えてしまうところだが、その点でも
この作品が上手く描かれていることに感心した。
しかもそれが、韓国特有の問題に根差しているところも上手
いと思えるし、さらにそれによって現在の事件が生み出され
て行くという因果関係も、物語を「平行理論」だけに終らせ
ない巧みさを感じたものだ。

主演は『チャングムの誓い』などのチ・ジニ。その周囲を、
2006年11月紹介『Mr.ソクラテス』に出演のイ・ジョンヒョ
ク、2008年3月紹介『ブレス』に出演のハ・ジョンウらが固
めている。
監督は、本格的な映画作品は初めてというクォン・ホヨン。
恐らくは脚本も書いていると思われるが見事な作品だ。因に
物語の展開にはエッシャーの絵画を参考にしたとのことで、
2004年1月紹介『殺人の追憶』などの撮影監督キム・ソンミ
ンと共に作り上げた映像も見事だった。
ただクライマックスの展開では何か1シークェンス落ちてい
る感じで、自分で辻褄は合わせることができるが、ちょっと
戸惑いは感じてしまった。些細なことでは有るのだが…。


『瞳の奥の秘密』“El secreto de sus ojos”
今年のアメリカアカデミー賞で外国語映画賞に輝いたアルゼ
ンチンの作品。本国アルゼンチンのアカデミー賞では13部門
を受賞したそうだ。
物語の開幕は1999年が背景。初老の男性がかつての職場だっ
たブエノスアイレスの裁判所を訪れる。そこで検事の職にあ
る女性に面会した男性は、25年前の殺人事件のことを小説に
書いていると告げる。それは彼が精算しなければならない過
去の出来事だった。
その事件は、アメリカの大学で法学を修め判事補の資格を持
つ女性が、彼=主人公の所属する裁判所書記課の上司として
着任した日に起きた。各書記課の持ち回りで事件を担当する
仕組みで主人公が順番に当ったのは、目を背けたくなるよう
な惨状の暴行致死事件。
ところが彼が訪れた犯行現場で、警察は直ちに不審者を割り
出し、容疑者として連行した上で犯行を自白をさせる。だが
それは明かな拷問で引き出した虚偽の自白だった。そのため
容疑者は彼の指摘で釈放されるが、以後の捜査はほとんど行
われなくなってしまう。
その一方で主人公は、被害者の昔の写真から1人の不審な男
を割り出す。しかしその捜査も進展することはなかった。こ
うして1年が経った頃、主人公は通勤客でごった返す駅のベ
ンチで人々を監視する被害者の夫の姿を観る。
その夫は、主人公の割り出した男がブエノスアイレスに通勤
していると考え、毎日の就業後に各駅を回って監視を続けて
いるのだという。その姿に心を動かされた主人公は、助手と
共に多少の法を犯してまで捜査を続け、ついにその男を発見
逮捕するのだが…
25年前の1974年は、ファン・ペロン大統領の病死によってア
ルゼンチンの政情が不安に陥れられている頃であり、政界な
どに腐敗が蔓延る中、犯罪者にも常に正しく罰が下されると
は限らなかったのだ。
そして25年の歳月が流れ、主人公は過去の過ちを検証するた
めに小説を書き始めたのだが、それは彼自身の秘めた心情も
甦らせて行くことになる。
先に書いた韓国作品と同様、過去の暗い時代の陰が色濃く漂
う作品。そんな時代を生きざるを得なかった人々の苦悩が甦
るような作品だ。しかし本作では、その中に大いなる解決も
描かれている。その一部は苦渋に満ちたものでもあるが。

出演は、リカルド・ダリンとソレダ・ビジャミル。それぞれ
50代と40代の男優と女優のようだが、25年に跨がる物語を特
殊メイクなども駆使して見事に演じ切っている。
監督は、一時アメリカに渡ってアメリカのテレビ界で活躍、
デイタイムエミー賞などの受賞歴も有るというファン・ホセ
・カンパネラ。脚本は、エドゥアルド・サチェリの原作から
作者自身と監督が共同で脚色している。
2時間9分の上映時間をたっぷりと映画に浸らしてくれる。
恐らく今年のベスト10に選ぶであろう作品だ。

『セラフィーヌの庭』“Seraphine”
20世紀初頭のフランス画壇でアンリ・ルソーと並ぶ素朴派の
画家と称された女流画家セラフィーヌ・ルイの波乱に満ちた
生涯を描いた作品。
物語の始まりは1912年。すでに48歳のセラフィーヌは、家政
婦として働きながら天使の啓示を受けたと称する絵画の製作
を続けていた。それは、絵の具も手作りの板をカンバスにし
た作品で、普通とはちょっと違う画風を持っていた。
そんなある日、彼女が掃除などをしている屋敷の貸間に1人
の男性が入居してくる。彼の名前はヴィルヘルム・ウーデ。
ドイツ人の美術品収集家だったウーデは、その土地の美術愛
好家との交流も行うが、その中で1枚の絵に目を留める。
その絵こそは、彼が入居した屋敷の家政婦セラフィーヌの手
になるものだった。こうしてセラフィーヌの才能に気づいた
ウーデは、彼女の生活を支援しようとするのだが…第1次世
界大戦や1930年の世界恐慌などが2人の関係を翻弄して行く
ことになる。
セラフィーヌの絵画は映画の中でも何点か紹介されるが、一
部には女ゴッホとの評価も有るようで、その大胆な構図や色
彩にはかなり圧倒された。ルソーと並ぶ素朴派という評価も
有るようだが、実際映画の中でもウーデはその呼び名を嫌っ
ており、単純な素朴派とは言えない作風のものだ。
また映画の中で彼女は、賛美歌を歌いながら製作をしていた
り、天使の啓示を受けたとの台詞も有って、これは正にその
種の天才が描いた作品なのだろう。そんな彼女が、一度は脚
光を浴びて至福の時を迎えたりもするのだが…

主演は、2001年『アメリ』や2008年6月紹介『ベティの小さ
な秘密』などに出演し本作でセザール賞を受賞したヨランド
・モロー。共演は、今年1月紹介『アイガー北壁』にも出演
していたウルリッヒ・トゥクール。
脚本と監督は俳優出身のマルタン・プロヴォスト。彼はこの
作品でセザール賞の脚本賞を受賞した。また2009年のセザー
ル賞では、この他に作品、撮影、作曲、美術、衣裳デザイン
の各賞も受賞して、最多7部門に輝いている。
なお、映画の中では、20世紀初頭のフランス郊外の緑溢れる
自然の風景も美しい作品だった。

『30 ROCK/サーティー・ロック』“30 Rock”
2006年からアメリカはNBCネットワークで放送されている
30分間のコメディシリーズ。そのシリーズが日本ではDVD
で紹介されることになり、シーズン1の第1話と第3話、第
4話のサンプルが送付された。
物語の舞台は、ニューヨーク5番街・ロックフェラープラザ
の30階(30 ROCKefeller)にスタジオを構えるNBC放送。
そのスタジオで製作・放送されている公開ヴァラエティ番組
“The Girlie Show”の製作現場が描かれる。

シリーズの主人公リズ・レモンを演じるのは、原案、脚本、
製作総指揮も務めるティナ・フェイ。同じ30 Rockのスタジ
オで製作される『サタデー・ナイト・ライヴ』が出身の彼女
は、自身を投影したようなキャラクターを生き生きと演じて
いる。因に、ティナはエリザベスの略称でもあるようだ。
共演は、今年アカデミー賞の受賞式でも活躍したアレック・
ボールドウィン。他に、『寝取られ男のラブ♂バカンス』に
出演のジャッジュ・マクブレイヤー、『Gフォース』で声優
を務めていたトレイシー・モーガン、『ダレン・シャン』な
どのジェーン・クラコフスキーらが脇を固めている。
物語の骨子は番組製作の裏方たちのすったもんだとなるが、
親会社からパラシュート派遣された訳の分からない上司の存
在など、一般のビジネスマンにも共感できるお話も多く描か
れる。また男性陣の中で孤軍奮闘する女性主人公の姿に共感
する人も多そうだ。
また送付された3話には無かったが、番組のゲストという形
での多数の各界スターの登場も楽しめるようだ。なお、上記
のアルゼンチン映画『瞳の奥の秘密』のカンパネラ監督も、
本作シーズン1の第6話の演出を手掛けている。
DVDはシーズン1の全21話が2Boxに分けられて8月25日
と9月、シーズン2の全15話は1Boxで10月に発売が予定さ
れている。また以前に紹介した『ブレイキング・バッド』は
シーズン1が6月16日に発売され、シーズン2も8月18日に
発売されるとのことだ。
どちらもアメリカの現状を見るには面白い作品。特に『30
ROCK』では『セックス・アンド・ザ・シティ』とは違っ
たニューヨークも楽しめそうだ。

『ネコを探して』“La voie du chat”
フランス在住の女性ドキュメンタリー監督ミリアム・トネロ
ットによる猫と人間の関係を描いた作品。題名からは1996年
のセドリック・クラピッシュ監督作品『猫が行方不明』を思
い出したが、本作はドキュメンタリーだった。
映画の発端ではアニメーションで黒猫が鏡の中に消えるシー
ンが描かれ、次いでグレーの猫と主人公の女性も鏡の世界に
入り込む。
その彼女は、鏡の中で黒猫を追い掛けながら時空を超える旅
をし、昔のフランスのサロンで猫を賛美する作家や画家たち
に出会う。また、現代の日本やアメリカにおける猫事情や、
民営化されたイギリス国鉄と猫との関わりなど、様々な猫の
様子が綴られる。
特に日本のパートでは、水俣病の発見に関った猫の話や、和
歌山県の鉄道で駅長を務めるタマ。さらに猫カフェの様子、
猫に針を打つ獣医や大学教授のコメントなども紹介され、作
品のかなりの部分を占めている。
一方、アメリカのパートでは、猫の首にカメラを取り付けて
知られざる猫の行動を記録したり、老人ホームで逝く人を送
る猫の話。さらにホテルの客室で宿泊客を持て成す猫の姿な
どが写されている。
そしてイギリスのパートでは、民営化以前は信号ケーブルな
どのネズミによる被害を防ぐために職員として雇われていた
猫。その猫たちは民営化後には無駄としてリストラされてし
まうが、今でも猫を懐かしむ人々の姿や猫の効用などが報告
される。

内容としては、特に日本の猫事情がかなりの部分を占めるの
で、すでに知っていることも多かったが、単に事象を写すだ
けでなくその背景や影響などにも言及していて、それなりの
作品にはなっていた。
猫好きの監督が丁寧に描いている感じの作品で、猫好きの観
客なら我が意を得たりという感じもするだろう。
なお、監督の前作は社会の腐敗を扱った硬派のものだったよ
うだが、その際にも状況説明などにアニメーションが使用さ
れていたようで、これが監督の常套手段のようだ。次回作は
東京の猫事情を描く作品がすでに編集中とのことで、それも
面白そうだ。
        *         *
 今回の製作ニユースは、まずはちょっと面白いこんな情報
から。
 6月18日にハワイで開始されたシリーズ第4作“Pirates
of the Caribbean: On Stranger Tide”の撮影に関連して、
製作者ジェリー・ブラッカーマーのツイッターに撮影現場の
写真などがアップされ始めている。同様のツイッターでは、
以前“Iron Man”の撮影時にジョン・ファヴロー監督が実施
したものも有るようだが、製作者の立場だとまた違った側面
が観られそうだ。BruckheimerJBという名前でつぶやいてい
るようなので興味の有る方はご覧ください。本文は英語だけ
ど文章は短いので分り易いし、添付の写真などを観るだけで
も面白いものだ。
        *         *
 お次は続報で、ワーナーが権利を所有し、2007年8月15日
付の第141回でも紹介した故スティーヴ・マックィーン企画
のアクションアドヴェンチャー作品“Yucatan”の製作に、
同社公開の『シャーロック・ホームズ』が好調のロバート・
ダウニーJr.と妻スーザンが主宰する映画製作会社チーム・
ダウニーの参画が発表された。
 この企画の関連では、以前の情報には監督のMcGや、『ハ
リー・ポッター』シリーズ製作者のデイヴィッド・ヘイマン
らの名前も挙がっていたが、いずれもうまく行かなかったよ
うだ。その企画が、実は昨年『シャーロック…』の撮影中に
製作者のスーザンの許に届けられ、今年初めにチーム・ダウ
ニーとワーナーとの間で優先契約が結ばれたのを機に、正式
の計画として取り上げられることになったものだ。
 因にスーザンは、元はジョール・シルヴァのプロダクショ
ンの重役として映画製作に携わり、ロバートとは2004年1月
紹介『ゴシカ』など、『シャーロック…』も含めて5作品で
共同作業をしているとのことで、先に進んでいる“Sherlock
Holmes 2”と共に本作の計画も進むことになるようだ。
 なお、“Yucatan”の内容に関しては、2005年7月1日付
第90回をご参照ください。
        *         *
 最後に新しい情報を1つ。日本では今年4月にようやく公
開された『ファンボーイズ』の原案脚本を執筆したアーネス
ト・コリンの新作で、北米ではランダム・ハウス社から出版
が決っているSF小説“Ready Player One”の映画化権が、
争奪戦の末に6桁($)でワーナーと契約され、2008年10月紹
介『ワールド・オブ・ライズ』などを手掛けたドナルド・デ
・ラインの製作で映画化を進めると発表された。
 物語は、落ちこぼれの若者がヴァーチャル世界での一攫千
金を狙ってゲームに参加するが、そのゲームの創始者が死去
したことから、その遺産がゲームの勝者に与えられることに
なって…というもの。『アバター』と『マトリックス』、そ
れに『チャーリーとチョコレート工場』が一緒になったよう
な作品…と紹介されていた。
 実はコリンの前作は僕はあまり評価できなかったが、今回
は自分で脚色も手掛けるとのことで、真価を観たいものだ。


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井口健二