| 2008年02月17日(日) |
ジェイン・オースティンの読書会、アクエリアンエイジ、あの空をおぼえている、美しすぎる母、フィースト、覆面ダルホ、ひまわり、泪壺 |
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ※このページでは、試写で見せてもらった映画の中から、※ ※僕が気に入った作品のみを紹介しています。 ※ ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ 『ジェイン・オースティンの読書会』 “The Jane Austen Book Club” 最近も『プライドと偏見』の映画化が話題になったジェイン ・オースティンの小説を題材に、現代に生きる男女の恋模様 を描いた2004年のベストセラー小説の映画化。 グループで同じ本を読んでその感想を述べあう。そんな読書 会は、昔はSFファンの間でもたまにやっていたものだが、 今、アメリカの中流階級ではそれが大ブームなのだそうだ。 本作は、そんなアメリカの状況を踏まえて描かれた物語。 このような読書会では、一般的には新作を取り上げることが 多いようだが、本作のテーマはあえてオースティン。200年 も前に書かれたアメリカ女性の間では定番とも言える6冊の 小説を巡って、現代の男女の物語が進んで行く。 読書会の中心人物は、すでに6回の結婚を経験して7回目を 物色中の女性。他には、独身主義で犬のブリーダーの女性、 夫の無関心で教え子に恋心が芽生えている高校教師、夫に裏 切られて別居中の女性と自由奔放なその娘、そして1人の青 年の計6人が集まる。 題材が定番の小説ということで読書会のシーンは深読みの連 発となる。でも物語は、原作を知らなくてもちゃんと理解で きるように描かれており、さらにオースティンは初体験とい う青年を中に置くことで必要なコメントが述べられるなど、 構成は巧妙なものだ。 そして、お互いの行動をオースティンの作品に準えて批判し たり、またオースティンの作品が行動して行く上での決断の ヒントになったりもする。それが上手くいったり、行かなか ったり…という物語が展開して行く。 女性が中心の読書会に青年が紛れ込む(もちろん理由はあっ て誘われるのだが…)というのも上手い展開だが、実はこの 青年の人物設定がSFファン。つまりSFは男性のものとい う固定観念のような図式も背景に盛り込まれている。 しかもこの青年が誘われるきっかけになるのが、SF大会の 開かれているホテルでの出来事で、そこには、“Buffy the Vampire Slayer”のコスプレをしたファンがうろうろしてい たりという細かな描写も、こちらの壺に填るものだった。 その上この青年が、何とオースティンの読者に向かってル・ グインを勧めたりする。さらにアンドレ・ノートン、ジェー ムズ・ティプトリーJr.といった名前が続けられると、こち らもニヤリとしてしまうところだ。 というところで種明かしをしておくと、実はこの原作を書い たカレン・ジェイ・ファウラーは、ネビュラ賞の短編部門を 受賞したこともある女性SF作家で、これはもうSFファン の心がくすぐられるのも当然の作品なのだ。 出演は、読書会の6人に、キャシー・ベイカー、マリア・ベ ロ、エミリー・ブラント、エイミー・ブレネマン、マギー・ グレイス、ヒュー・ダンシー。その他の配役では、リン・レ ッドグレイヴが印象的な役柄で登場する。
『アクエリアンエイジ』 オリジナルカードゲームでは、国内No.1のシェアを持つとい う同名のトレーディングカードのコンセプトに基づく物語の 映画化。 人類の遺伝子にはいくつかの隠された能力を発揮する特別な ものがあり、それらの遺伝子を受け継ぐものたちがいる。 その遺伝子を受け継ぐのは、黒い羽根を持つ獣の一族ダーク ロア、西洋魔術師のWIZ-DOM、東洋の秘術を受け継ぐ阿羅耶 識、予知能力やテレパシーを持つE.G.O.、そして白い羽根を 持ち天使の血を引くイレーザー。 しかし、これらの一族は古より覇権を争い、その争いは今も 続いている。そんな遺伝子を受け継ぐ若者たちが集い、また 対決する姿が描かれる。 主人公は高校生。ある日、バスケ部の先輩と共に帰宅途中の 倉庫街で、傷を負った少年と遭遇する。しかし少年はそのま ま立ち去り、後を追った主人公たちはその影を見失う。 一方、ライヴハウスに逃げ込んだ少年は携帯電話で必死にど こかに連絡しようとするが、ロックの喧噪に話が通じない。 そして人影の消えたライヴハウスの壁には、巨大な爪痕と漆 黒の羽根が残される。 やがて主人公は、彼自身が特別な遺伝子を受け継ぐものであ ることを知らされ、世界の裏側で暗躍するものたちの存在を 教えられる。そこには、彼に協力しようとする別の一族の若 者もいるが、一族の大人たちはその考えを持たないようだ。 そしてその間にも、次々に各一族のものたちが襲われる事件 が続き… まあ、『仮面ライダー』や『戦隊もの』とはちょっと違うけ れど、大体その程度の物語が進んで行く。それを『テニスの 王子様』の桜田通や、『仮面ライダー響鬼』の栩原楽人らが 演じるのだから、そういうファン層のものだろう。 ただ、物語はこれがプロローグという感じで、本戦はまだ始 まらない。結局のところ、設定を説明するだけで時間が尽き てしまっているもので、これから続きが作られるのかどうか は判らないが、取り敢えずはゲームのプロモーションという 感じに留まっている。 映画の製作自体がそういう目的なのかも知れないが、どうせ やるならもっと壮絶なバトルも観てみたかったし、正直には ちょっと物足りなくも感じてしまったところだ。この映画が ヒットしたら続きも作って貰えるのかな。
『あの空をおぼえている』 ジャネット・リー・ケアリー原作の“Wenny Has Wings”と いう作品を、日本に舞台を移して映画化した作品。 主人公の一家は自然に包まれた田園の家に暮している。一家 には10歳の兄と6歳の妹がいて、母親の胎内には3人目も宿 っているようだ。そして一家の父親は町で写真館を開きなが ら家族の写真を撮り続けている。そこには素晴らしい写真も 数多く写されていた。 そんな一家を悲劇が襲う。交通事故で兄が意識不明の重体に なり、兄は臨死体験の末に奇跡的に回復するが、その日から の一家の生活は灯の消えたようになってしまう。 特に父親は自分の行動を悔やむばかりで、家族を顧みること もできない。そして回復した兄も自分の存在に疑問を持ち、 母親はそれなりの努力をしているが、一家の絆はばらばらに なって行く。 どう書いてもネタバレを避けられない物語だが、映画は事実 関係が巧妙に隠されていて、それがドラマを作り上げる仕組 みになっている。しかも、そこに臨死体験や思い出などが交 錯するから展開はかなり複雑だが、脚本は上手く整理されて 混乱は生じていない。 そして物語の中では、オルフェウスとエウリュディケの神話 に準えて「死のトンネル」と呼ばれるトンネルに入って行く 話や、裏庭に作られた見事なツリーハウス、また臨死体験の シーンなどが、大自然の背景の中で丁寧に描かれていた。 出演は、父親役に映画出演は7年ぶりという竹之内豊、母親 は水野美紀、そして兄に広田亮平、妹を吉田里琴。特に、明 るく無邪気な妹を演じる吉田は見事なものだ。他には、小池 栄子、中嶋朋子、品川祐、小日向文世などが共演している。 監督は、2004年実写版『鉄人28号』などの冨樫森。冨樫監 督では、以前に観させてもらっていた映画学校の上映会で、 生徒の出演による作品も観ているが、その指導力で今回の子 役たちも見事に演じさせているものだ。 そして本作のクレジットでは、その映画学校出身の俳優の名 前を見つけたのも嬉しかった。 もちろん感動作ではあるが、それ以外にも、監督のこだわり がいろいろ見えてくる作品。そうした部分でも気持ち良く楽 しむことができた。
『美しすぎる母』“Savage Grace” 1986年エドガー賞Best Fact Crime Book部門を受賞した同名 原作の映画化。 1972年11月17日、ロンドンで起きた実の息子による母親殺し 事件。それは、1910年に史上初の人工樹脂と呼ばれるフェノ ール樹脂の量産技術を発明し、ベークライトと名付けて巨万 の富を築いたベークランド一族の末裔を襲った悲劇だった。 母親の名前はバーバラ。ボストン近郊のあまり裕福ではない 家庭に生まれた彼女は、10代の頃に父親の自殺や兄弟の事故 死にも遭遇するが、後にはニューヨークの最も美しい10人の 女性の1人と呼ばれるようになる。そしてベークランド家の 跡取りであるブルックスと結婚する。 しかし、美しく、カリスマ性もあったと言われる女性も、身 分の差には勝てなかった。それでも彼女はベークランド家の 資産を利用して上流社会での生活を続ける。その生活ぶりは 優雅だったが、家庭内では夫との愛は冷えきり、息子のアン トニーを溺愛するしかなくなって行く。 そのアントニーは、幼い頃は自信に満ちた理想的な少年だっ が、やがて両親の間が冷えるに従って母親からは溺愛される 一方、父親からは軽蔑の眼差しで見られるようになる。そし てドラッグに溺れ、同性愛の世界へと逃げ込んで行く。 この物語が、実際に一家が暮らしたニューヨーク、パリ、ス ペインのカダケス、マジョルカ、そしてロンドンを背景に描 かれる。 身分差のある結婚など、何時の世にも普通に在りそうなもの だが、この映画によると夫のブルックスにも偉大な発明家で あった祖父に対するコンプレックスがあり、それが一家の崩 壊を助長していったようにも描かれている。物語は原作者の 調査の結果であり、それがすべて真実とは限らないが、結局 はそんなところなのだろう。 出演は、バーバラにジュリアン・モーア、アントニーにエデ ィ・レッドメイン。また父親ブルックス役をスティーヴン・ ディレイン、アントニーの友人役をヒュー・ダンシーが演じ ている。 監督は、1992年に『恍惚』という作品が評価されたトム・ケ イリン。長編作品はそれ以来の第2作。因に今回の映画化で は、原作の本に添えられた一家の写真を参考に製作を進めた とのことで、これがセットや衣装だけでなく、演出の面でも かなり重要視されたそうだ。
『フィースト』“The Feast” 2004年8月1日付第68回でも紹介したProject Greenlightか らの映画化作品。 Project Greenlightは、元々はアカデミー賞脚本賞を受賞し たベン・アフレックとマット・デイモンが提唱した新人発掘 プロジェクトで、ここからは2003年4月に紹介した『夏休み のレモネード』が第1回作品として誕生している。 そのプロジェクトの第3弾として製作されたのが今回の作品 だが、上記のページでも紹介しているように、今回は初めて ホラー作品が選ばれたものだ。しかもスプラッター。第1回 のヒューマンドラマとはえらい違いだが、それも映画という ところだ。 物語は、荒野に面した地元の溜まり場のような酒場が舞台。 そこに傷を負った男が現れ、男はその場所に危険が迫ってい ることを告げる。最初は半信半疑だった客たちも、男が持参 した恐ろしげな怪物の頭部を見て騒ぎ出すが、その直後に怪 物が襲ってくる。 映画は、登場人物のそれぞれに字幕でキャラクター設定を添 える形式で始まるが、ここから後は何しろ脚本家たちが過去 のホラー映画を研究して、今までなかった展開を見せること に専念したというだけあって、かなり予想外に進められて行 くことになる。 そこには、かなりセオリー無視のものもあるが、それなりに この手の映画を見続けてきた者にとっては、結構笑えるとい うかニヤリとしてしまうものにもなっている。と言っても、 結局はスプラッターの面白さと言うことにはなるのだが… それにしてもこれだけのスプラッターも久しぶりで、最近の ホラー映画がちょっと技巧に走りすぎたり、VFXなどの技 術にも頼りすぎていた部分も考えると、それなりに初心に還 るというか、そういう面白さは感じられたものだ。 出演者に、『エイリアス』のバルサザール・ゲティ、『グレ イス・アナトミー』のエリック・デイン、『THE OC』 のナヴィ・ラワットなどテレビの人気者が顔を揃え、さらに クルー・ギャラガー、デュエイン・ウィティカーらのベテラ ンが脇を固める。因に監督は、ギャラガーの息子だそうだ。 アメリカでは2006年9月に公開されたこの作品は、各地の映 画祭などでも評判を呼び、すでに続篇2本の製作も進んでい るようだ。
『覆面ダルホ〜演歌の花道〜』“복면달호” 『猟奇的な彼女』などのチャ・テヒョンが、『僕の、世界の 中心は、君だ』以来2年ぶりに映画に復帰した歌謡コメディ 作品。 仲間と組んだバンドでロックスターを目指し、地方のキャバ レーで歌っていた主人公のダルホは、彼の声を認めたという ソウルの芸能プロに呼ばれてやってくる。 ところがそこはトロットと呼ばれる韓国演歌のプロダクショ ン。しかも、間違って契約を結んでしまったダルホは、猛特 訓によりトロットの魂を植え付けられ、トロット歌手として デビューすることになる。 しかし、昔の仲間に対する羞恥心や何やかやで、デビューの ステージに覆面を付けて登場したダルホは、逆にそれが受け て一気に人気が沸騰。そして覆面歌手ボンピルとしてトロッ ト界のトップスターとなっていくが… チャは元々歌手としてもヒット曲を持っているのだそうで、 そんなチャのキャラクターを存分に活かした作品と言えるよ うだ。と言っても、何か有りそうなお話と思ってネットを検 索したら、本作は1997年公開の日本映画『シャ乱Qの演歌の 花道』の韓国版リメイクとされていた。 実際、製作者のイ・ギョンギュが日本留学中にオリジナル版 を観て惚れ込み、そのリメイクを実現させたというものだそ うだが、お陰でチャは、『僕の…』に続けて日本映画からの リメイクに主演することになってしまったようだ。 オリジナルもつんくの主演だったから、歌唱シーンはチャン としていたと思われるが、本作のチャもロックからトロット まで見事に歌いこなしている。特にトロットの臭い振りも付 けたステージシーンは、日本の演歌を連想させて理解しやす くも感じられた。 また、同じ曲をロックとトロットをそれぞれの編曲で聞かせ て、本当の歌の心を説明するシーンなども判りやすく作られ ていたものだ。 ただ、この映画の字幕にはトロットという言葉が片仮名でそ のまま登場するが、果たして日本の観客にこれで通じるもの かどうか、映画を観ていれば直ぐに理解できるものではある が、そこはちょっと気になったところだ。 共演は、若手女優のイ・ソヨン。トップ俳優と共演した前作 ではかなり大胆な演技も見せたようだが、本作では清楚な感 じもするちょっと訳ありのトロット歌手を好演している。 なお本作は、3月に東京と大阪で開催される「韓流シネマフ ェスティバル2008春」の1本として上映される。
『ひまわり』“해바라기” 2006年11月20日付で紹介した『Mr.ソクラテス』などのキム ・レウォン主演による韓流ノワール作品。 刑務所から出所してきた男。その男が肌身離さず持ち歩く小 さなノートには、「2度と酒を飲まないこと、2度と喧嘩を しないこと、2度と涙を流さないこと」という誓いと共に、 出所したらやりたいことのメモがぎっしりと書かれていた。 男は、とある町のひまわりという名の小さな食堂を訪れ、応 対に出た若い女性に、「昔は向かいに大きなひまわり畑が広 がっていた」と語る。その後、男は町で知り合いを訪ね歩く が、男の過去は彼らから一目置かれる存在だったらしい。 やがて食堂に戻った男は、そこの女将から養子にと迎えられ る。最初に応対した若い女性はその女将の娘で、ぶっきらぼ うな態度はとるが反対ではなさそうだ。そして男の町での生 活が始まるが… その町では、町の顔役が主導する再開発が進められており、 その地区で買収に応じていない最後の場所が食堂ひまわりだ った。一方、その顔役の配下では、昔男の手下だった2人の 若者が地位を争っていた。 こうして、2度とヤクザの道に入らないと誓ってきた男は、 否応なしにその世界と対峙する羽目に陥って行く。 何度も映画化されてきたような話ではあるが、本作では後半 の主人公が追い詰められて行く状況が、尋常でなく強烈に描 かれる。結局、物語はこのように終らざるを得ないのかも知 れないが、その結末は強い余韻を残してくれるものだ。 基本的にヤクザ映画は好きではないし、日本映画でのそれは ほとんど見てこなかったが、まったく綺麗事ではなく描かれ たこの作品には、ある種の崇高な思いが感じられる気もする ものだった。 共演は、若手注目女優のホ・イジェと、“四季”シリーズの ベテラン=キム・ヘスク。一昨年公開された韓国では、観客 100万人以上を動員したヒット作だそうだ。 なお本作も、3月に東京と大阪で開催される「韓流シネマフ ェスティバル2008春」の1本として上映される。
『泪壺』 渡辺淳一の同名の原作を、かつてピンク四天王の1人と呼ば れた瀬々敬久監督が、小島可奈子、いしだ壱成、佐藤藍子を 主演に迎えて映画化した作品。 瀬々監督作品では、一昨年11月に谷崎潤一郎原作の『刺青』 の映画化を紹介しているが、それ以前にも2本ほど紹介して きた。基本的にピンク映画の監督ということで、本作でも小 島のかなり大胆な艶技を見ることができる。 物語は、小島と佐藤が扮する姉妹といしだ扮する男性の交流 を描く。男性はある偶然から姉妹と出会い妹と結婚する。し かし姉も男性に思いを寄せていた。その秘めた思いは妹の死 によって否応なく高まるが、男性は妻への愛情を持ち続けて いる。 その妻への愛情は、妻の遺灰で白磁の壺を作らせるまでに至 るが、その壺には亡き妻の泪のような傷が生じていた。そし て男性には別の女性も現れ、姉は発露を見いだせない思いに さいなまれて行く。ここで小島の艶技となるものだ。 ということで、渡辺作品の映画化では『失楽園』もかくやと いう展開になるのだが… 実は、僕が本作で注目したのは、原作には描かれていない過 去の物語が織り込まれているところだった。その部分はある 種ファンタスティックでもあり、それなりに良い感じがした ものだ。脚本は、以前に瀬々監督の『肌の隙間』も手掛けて いる佐藤有記が担当している。 ところが本作では、その創作された物語と小島の艶技とが、 水と油のように分離しているように感じられた。瀬々作品で は『刺青』の時もかなり大胆な原作の改変が見られたが、谷 崎原作では元々がそういう話だったから、それはすんなりと 融合していたものだ。 それが渡辺原作でも、『失楽園』のように融合するはずなの だが、何故か本作ではそれが上手く行っていない。 これは何と言うか、創作された青少年時代の物語が美しく描 かれすぎたためのようにも感じられるが、そればかりになる と瀬々作品ではなくなってしまうことになるし、これは痛し 痒しというところだ。 いっそのこと、青少年時代のシーンでも一発やってしまって いれば、それなりに纏まりも着いたとも思うのだが…そこま で大胆にはできなかったのだろうか。そこはちょっと残念な 気もした。ただし本作では、瀬々監督の別の一面も見られた ようで、それは面白かった。
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