2003年05月01日(木) |
アメリカはキライだ・2 〜そしてねーさんもキライだ〜 |
今に始まったことではないが、またしてもねーさんにやられた。 先日、メーコは「世界をタマに駆ける添乗員のつぶやき」と題した原稿(←っつーほど大したモンではないが)をねーさんに送った。 なぜならば、メーコは結婚をしてオーランドに引っ越したとは言え仕事はあくまでも「休職」扱いになっており、移民局からの渡航許可が下りたら即座に日本に帰り、再び添乗の仕事をする予定だったのだ。 なので、それまでのツナギとして原稿を送ったつもりだったのに、世界でもトップクラスを誇る自分勝手なセーカクのねーさんは、本人になぁ〜んの伺いも立てずに「芋ちゃん日記」なる新コーナーを作ってしまった。 何たる暴挙。何と言う自己中なヤツ。 メーコは時々、真剣に「ブッシュとフセインとビンラディンとねーさんでは、誰が一番自分勝手だろうか??」と考えることがあるが、「そりゃ〜メーちゃんでしょ」という、選択肢に入っていないメーコの名前が挙がりそうな気がして、未だに怖くて誰にも聞けない・・・。
ま、それはさておき。 勝手にねーさんに公表されてしまったが、その通り、メーコとダーリンの間に「芋ちゃん」が授かった。 近年まれに見る、めでたいことである。 だが、実は芋ちゃんの誕生は、メーコのような母親に宿ってしまった芋ちゃん自身もさることながら、メーコにとってもものすご〜い苦難の始まりだったのである・・・。 そして、芋ちゃんのその誕生が確認されるまでにかかった驚くほど長い道のりの中で、メーコはますますアメリカがキライになってしまったのであ〜る。 それではまず、病院に辿り着くまでの長〜い道のりから・・・。
メーコの最初のムカッ!は、アメリカと日本の保険制度の違いから。 日本では、社会保険なり国民健康保険なりに加入さえしていれば、基本的にどこの病院・医院でも診察が受けられるが(←だよね?)、アメリカでは何種類もの保険会社が、それぞれ契約している病院・医院でないと診察が受けられない。 しかも、保険が使えないとそれこそ目が飛び出るような高い代金を払わなくてはならないため、まずは自分が加入している保険会社が、どこの病院・医院と契約しているのかを調べることから始めなくてはならないのだ。
メーコの場合は、幸いダーリンが加入している会社の保険に、「扶養家族」で入れてもらってあったため、「診療費貧乏」になることだけは免れた。 が、その保険会社がどの病院と契約しているかは自分で調べるしかなく、メーコは連日、インターネットの画面と地図を照らし合わせながら、自宅の近くにある医者を探す作業に追われるハメとなった。 そしてようやく、自宅から車で5分ほどの所にある総合医を見つけ、ダーリンに付き添ってもらってまずは血液検査を受けに行った。 ・・・ちなみに、家庭用の妊娠検査薬で妊娠の可能性が分かってからここに至るまで、かかった日数は3日である。
ところが、ようやく探し当てた総合医の門をくぐり、「妊娠の血液検査を受けたいのですが・・・」と申し出たところ「予約がないと検査は受けられない」とのこと。 一日も早く確かな結果を知りたかったメーコは、翌日の朝一番に予約を入れてもらい再度出直し。 ・・・これで、さらに一日追加である。 んで、翌日眠たい目をこすりながら8時半に医者に行き、「いよいよ検査だ!」と思いきや「検査は別の病院で行うのでそっちへ行ってくれ」との指示。 医療に限らず、アメリカでは何でもかんでも細分化され過ぎていてムカッ。 まぁ、そうは言っても仕方がないと自分を宥め、言われた通り別の病院に行って血液検査。 しかしここでも、1時間近く待たされたのに検査は3分で終わり、またまたムカッ。 その上、「結果は総合医の方に送るから、2日後に取りに行ってくれ」と言われ、されにムカッ。 ・・・この日、もし血圧も測ってくれていたとしたら、メーコ史上かつて例を見ない高血圧が記録されていただろうことは間違いないであろう。
で、最初に総合医の門をくぐってからようやく4日後、検査の結果を受け取りに。 ここまでで既に、累計ムカ数は10ちかくになっている。 なのにまた、この日も散々待たされた挙句にメーコに渡されたのは1枚の紙切れと「コングラッチュレーションズ!(=おめでとう!)」の一言。 これだけムカついた状態で聞いた「おめでとう!」も、メーコ史上初めてであった。 ・・・アメリカの医療制度は、胎教には良くないと思われる。 ・・・ムカッ。
そして、この次がいよいよ産婦人科である。 メーコは、再びインターネットの画面と地図とにらめっこする作業を繰り返し、知り合いやダーリンの友達からも話を聞き、やっとの思いで「あそこの病院ならおススメだよ」と言われる総合病院の産婦人科を見つけ、予約を取る段階にまでこぎつけた。 ・・・うるうるうる。 ここまで来るのに、何と長い道のりだったことか。 でも、もうここまで来たらダイジョーブだよね。 後は予約を取って、先生に診てもらうだけだもん。 ・・・と、思ったメーコが甘かった。 ようやく「ムカ地獄」から解放されると信じていたメーコは、病院からの回答を聞いて卒倒しそうになった。 最初の検診が、一ヶ月後だと言うのである。 「そんなハズはないだろう??」と、メーコは何度も自分に問いただした。 「聞き間違いか?」とも思い、看護婦さんに何度も何度も聞き直したが、何度聞いても言われたその日に間違いはないらしい。 不安になったメーコは、アメリカで出産したことのある知り合いや友達に電話をかけまくって様子を聞いたが、なんとアメリカでは、特別な場合を除き妊娠10週を過ぎないと医師に診察してもらえないというのが「フツー」なのだそーである。 ・・・いや、それでも解せない。 ぜぇ〜ったいに解せない。 いくらお国柄が違うとは言え、赤ちゃんの発育に何の違いもないだろう。 一般的に、「妊娠は初期が一番大事」と言われているのに、一ヶ月も放っておかれるなんてぜぇ〜ったい解せないぞー。 どーしても納得できなかったメーコは、「在米生活20数年・二人の子持ち」という知り合いのモーさんに電話をして怒りと不安をぶちまけた。 「モーさんさー、いくらこれが“フツー”って言われたって、やっぱり解せないよー。 第一さー、そーんなに放っておかれて芋ちゃん可哀想じゃーん。 もしその間に芋ちゃんに何かあったらさ、どーすりゃいいワケ?? アタシ、やっぱりアメリカは好きになれないよー。 あ〜ん、アタシも芋ちゃんも不幸だぁー」
・・・と、息つく間もなくまくし立てたメーコに対してモーさんは、優しく且つ冷静に、メーコの怒りと不安に答えてくれた。 妊娠10週目以降でないと医師に診てもらえないのは一般的だが、つわりが激しかったり出血があったりなどの非常時には「緊急扱い」でちゃんと検診してもらえること。 アメリカでは、日本ほど「至れりつくせり」で面倒は見てもらえないため、自分でも勉強したり積極的に医師に質問したりする心構えを持たなくてはならないこと。 言葉の問題や環境の違いは大きいけれど、アメリカでは出産も保険が適応されるので、悪いことばかりではないこと。 ・・・等々を聞かされ、大分気持ちも落ち着いてきたメーコにモーさんは一言言った。 「ところでさぁ、メーちゃん。 さっきっから出てくるその“芋ちゃん”ってなーに?」と。 「ああ、“芋ちゃん”? メーコのねーさんがね、つけてくれた赤ちゃんのあだ名なの。 弟んところが“ふくちゃん”で、ウチが“芋ちゃん”なんだってさ」 と、答えたメーコにモーさんはすかさず言った。 「“ふくちゃん”は可愛いけどさー、“芋ちゃん”ってダサくない?? お姉さん、弟さんの時は一生懸命考えたんだろうけど、アナタん時は手抜きしたわねー、きっと」と。
メーコは、アメリカもキライだがねーさんのことはもっとキライになった・・・。(←って言いながら、本人は結構気に入っているのだ)
さぁ! いよいよ「初検診」だー! ・・・つづく。
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