ATFの戦争映画観戦記



【File125】スペイン内戦勃発70周年・・・誰がために鐘は鳴るなり豆戦車

2006年07月25日(火)

日本各地に大きな被害をもたらした梅雨の大雨・・・被害に遭われた方々には深くお見舞い申し上げます。そんな中、全く以って不謹慎ながら、天候に伴う過ごし易い涼しい夜のお陰で、不覚にも夏風邪をひいてしまいました・・・歳を取ると、全く風邪の治りも遅くなるもので・・・やっとの事で観戦記の続きに取り掛かる事が出来た次第です。さて、お陰様をもちまして我が戦争映画観戦記も何とか125回目を迎える事が出来ました。嘗ては25回連載する事に、その節目として狎鐚崙遊眈廊を掲げておりましたが、何せ前回の100回目連載が2003年12月15日・・・なんと2年半も前・・・それ以前の更新頻度に比べると、如何に更新遅延しているかが身に染みております・・・(汗。まぁそんな前置きはこれくらいにして、前回に引き続き『誰がために鐘は鳴る』犖犬寮鐚岫の一席・・・今回も早速行ってみましょう・・・それでは【開演ブザー】・・・携帯電話の電源はお切り下さい・・・【いつもの如く文中の様々な書き込みには資料的価値は全くありません・・・(^o^;A】

【狆睫沈鐚岼豺罅畍犬寮鐚屐瓩脇鹽抻爐漫】
前回までの荒筋・・・戦略的要衝の鉄橋を巡るクライマックスの場面で、民兵ゲリラのラファエル氏による捨て身の攻撃によって撃破された鐘鳴戦車一号・・・の残骸は、道路を封鎖し後続部隊の進撃を妨害する破目に・・・そこで鐘鳴戦車二号の体当たりにより、哀れ真ッ逆さまに谷底へ・・・。そして遂にファシスト叛乱軍機械化部隊の進撃が再開された・・・
検証シーン(28)・・・鐘鳴戦車一号の残骸を路上から排除した後、進撃を再開した鐘鳴戦車二号・三号・四号とファシスト叛乱軍機械化部隊・・・このシーンでは謎の戦車の動向は不明です。鐘鳴戦車二号のM3軽戦車系列独特の大型誘導輪の形状が良く解りますが、それにしても車体後部上方のエンジンルームを被った謎の構造物の正体は?あれ?道路右側の小屋って今まであったっけ・・・警備兵の詰所かな?いや詰め所は確か谷底の川辺にあったはず・・・ですが。
検証シーン(29)・・・後続する鐘鳴戦車三号・四号。ルノーFT17戦車系独特の足回り走行装置が良く解る場面です。鐘鳴戦車四号は砲塔を後方に回し、砲塔後部のハッチを開放している様に見えます。後続する歩兵を載せたトラックもはっきりと見えてきました。残念ながらトラックの型式は不明です。なんとなくイタリア軍のトラックに似ていると思うのですが・・・
検証シーン(30)・・・鐘鳴戦車四号の開放された砲塔後部のハッチから、乗員の顔らしきものが確認出来ます。後続するトラックの運転席は独特な形状で興味深いです。このトラックの型式名称をご存知の方がいらっしゃいましたら、是非ご一報下さい!その後方に後続する車両も微かに見えて来ました。
検証シーン(31)・・・民兵ゲリラたちの待ち伏せ攻撃をかわして、渓谷沿の山道を鉄橋に迫るファシスト叛乱軍機械化部隊・・・その先頭を進撃するのは・・・良く見ると、なななぁんと戦車は四輌います!あの幻の戦車が再び出現しました・・・鐘鳴戦車二号の前にはっきりと映っています!
検証シーン(32)・・・場面が少し大写しになり幻の戦車の姿が明瞭に確認出来ます。後続する型式不明のトラックは、どうやら六輪(後部四輪はダブルタイヤかも?)の様です。
検証シーン(33)・・・シーンが変わると、何故か先頭にいるはずの幻の戦車を差し置いて、いきなりアップで登場するのが鐘鳴戦車二号です。車体前部や正面操縦席前方装甲バイザーハッチ・展視孔など何となく形状がおかしいです・・・前方機銃も装備されてないし・・・ざっと見た限り、車体上部構造物は、砲塔も含めて全て撮影用の作り物かもしれませんな。
検証シーン(34)・・・検証シーン(33)から続く一連のシーン。鐘鳴戦車二号の側面の様子が良く解ります。M3戦車系列の操縦席前方装甲バイザーハッチとは、明らかに異なり、如何にも現場で急いで加工したって風な二段型の展視孔になってます。
検証シーン(35)・・・検証シーン(34)から続く一連のシーン。いよいよ戦闘態勢に入り、操縦席前方ハッチを閉める鐘鳴戦車三号・四号。更に鐘鳴戦車四号は砲塔を旋回させ、主砲を前方に向け直しています。
検証シーン(36)・・・検証シーン(35)から続く一連のシーン。カメラの直前を通過する鐘鳴戦車三号の排気マフラー?と超壕装置の一部が確認出来ます。
検証シーン(37)・・・鉄橋に爆薬の設置を完了して退避する主人公ロバート・ジョーダン。対岸には幻の戦車を先頭に鐘鳴戦車二号・三号・四号及び輸送トラック群のファシスト叛乱軍機械化部隊が迫っています。鐘鳴戦車四号に後続する輸送トラックは何か火砲らしきものを牽引してます。その後に続くのはサイドカーでしょうか?ここで興味深いのは、画像の色相調整をしたところ鉄橋の上部と下部で色あいが異なってしまった点です。これは原画像が修正・加工されている時に良く見られる現象です。ひょっとするとこの場面は、部分的に合成されている可能性があります。ところで倒れている警備兵役の俳優さん、民兵ゲリラのおじさんに手を踏まれてしまう可哀想な方です・・・(笑
検証シーン(38)・・・主人公ロバート・ジョーダンの身を案じ、起爆用手榴弾の安全ピンに繋げた紐を引く事を躊躇った民兵ゲリラのおじさん。仕方なく我が身を省みず激しい銃撃下に飛び出して起爆用の紐に駆け寄る主人公ロバート・ジョーダン。ファシスト叛乱軍機械化部隊の後続する輸送トラック群が、かなりな台数である事が解ります。この場面では、鐘鳴戦車四号の操縦席前方ハッチと砲塔後部ハッチがまた開いている様な・・・。
検証シーン(39)・・・爆薬起爆用の紐を拾いあげようとする主人公ロバート・ジョーダン。鐘鳴戦車四号の操縦席前方ハッチと砲塔後部ハッチは間違いなく開いてますね。白黒斜線迷彩の警備兵詰所が良い雰囲気を出してます。模型ジオラマのセットに入っていそうです。
検証シーン(40)・・・ファシスト叛乱軍機械化部隊の先頭を突っ走っていた幻の戦車が、エンジンを勢いよく噴かして、いよいよ鉄橋に差し掛かりました・・・でも良く見てみると・・・オイオイ後続の鐘鳴戦車二号はOKなんだけど、その後ろの戦車は一体何なんだ、こりゃ?鐘鳴戦車三号・四号のどちらでもないなぁ・・・またしても新たな幻の戦車(二号)が登場しましたよ・・・型式的にはルノー系って言うよりも、M3戦車系をちっこくした様な感じの戦車です。そして後続するトラック・・・こりゃどう見ても模型ですな・・・結局このシーンより以降は、ミニチュア模型を使った特撮で撮影されている様です。結局幻の戦車(二号)が登場するのは、この僅かなシーンだけでした・・・
検証シーン(41)・・・いよいよクライマックス最大の見せ場・・・幻の戦車一号が鉄橋を渡り始めた途端、間一髪で爆薬が爆発!ところでよく見ると、鉄橋に続く対岸の岩肌の道路には樹木が生えていますね・・・こんなのありましたっけ?それと後続するトラックは一輌しかない様ですな。細かいところは、かなりの手抜きです。古代ローマ様式の様な鉄橋の橋脚の造りが目を惹きます。
検証シーン(42)・・・中央部を爆破され崩れ落ちる鉄橋・・・幻の戦車一号の断末魔の姿です・・・車体が一瞬後ずさりする様に見えますが・・・。砲塔上部が焼け焦げているのか、赤茶けて見えるのは気のせい?後続する鐘鳴戦車二号の砲塔と、トラックの荷台に乗った兵士たちらしい姿が僅かに見えます・・・
検証シーン(43)・・・対岸の橋脚部分を道連れに崩れ落ちる鉄橋・・・そして落下しながら宙に浮いた、哀れ幻の戦車一号の最後の姿。やはり後続するトラックは一輌だけしか見えません。特撮シーンはここまで。
検証シーン(44)・・・鉄橋が崩れ落ちた後、残った橋脚部分のギリギリまで前進した鐘鳴戦車二号・・・ここから再び実物撮影に戻ったようで、鐘鳴戦車二号の操縦席前部装甲バイザーハッチが全開され、内部には乗員の姿が・・・砲塔ハッチからも戦車長らしき兵士も顔を覗かせています。様子を見る為に駆け寄って来たファシスト叛乱軍の高級将校たちの後ろには再び鐘鳴戦車三号・四号の姿が・・・鐘鳴戦車四号の砲塔後部ハッチは閉められていますが、砲塔自体は後部に向けられたままです。
検証シーン(45)・・・今まで影になったりして、はっきり確認出来なかった鐘鳴戦車二号の車体前部部分(牽引用フック等)が、明瞭に解ります。鉄橋爆破による噴煙も薄れ、後続するトラックの姿も見えてきました・・・右上にご注目・・・一瞬ですが画面上に現れる謎の黒い物体・・・多分劇場でのフィルム映写時にロール交換の目印となる爛僖鵐銑瓩噺討个譴詭椣だそうです【Air-Attache様にご教示頂きました】
検証シーン(46)・・・停車した鐘鳴戦車三号・四号とトラックの横を騎兵部隊が通り過ぎて行きます・・・この後、渓谷の浅瀬部分を渡河して対岸の民兵ゲリラを追撃します。機械化部隊も、やはり四足の馬には敵わなかった様ですね。
検証シーン(47)・・・対岸を横切って脱出を図る民兵ゲリラに向けて砲撃を加える鐘鳴戦車二号と銃撃するファシスト叛乱軍の歩兵たちです。こちら側って意外と開けていたんですね。歩兵たちは独式フリッツヘルメットを被った装備の良い部隊です。鐘鳴戦車二号の砲塔は、自棄に四角張って見えます。前方装甲バイザーハッチが開けられていますが、展視孔部分に妙な格子状の覗き窓が付けられています。
検証シーン(48)・・・脱出を図る民兵ゲリラに砲撃を加える鐘鳴戦車二号の砲塔のアップシーン。とても37mm級の豆鉄砲とは思えない大口径・・・少なくとも75mmはありそうな主砲です。砲塔は殆んど旋回しませんが、多少は左右に動く様です。コマンダーキューポラ部分にも展視孔があります。開放された操縦席前部装甲バイザーハッチの装甲厚は50mmはありそうです・・・M3系列の前部装甲も、確かそれ位だったと思います。でもこの場面、ひょっとしたら・・・いや妄想はこれくらいにしときましょう・・・(大汗

如何でしたか・・・幻の戦車の雄姿。撮影・編集上の都合で止むを得ず登場しただけ・・・と言ってしまえばそれまでですが・・・まぁ早い話がクライマックスで緊迫したシーンが連続する中、殆んどの観客が気がつかない程の些細な事かもしれませんね・・・それに拘る私ATFって・・・(汗

【真実の鐘鳴戦車たち】
さて、このファシスト叛乱軍の戦車のモデルとなった車両は一体・・・前述の通りスペイン内戦は狢萋鷦\こβ臉錣料鮎ダ鎰瓩箸盡世錣譴討い泙后そしてファシスト側と人民戦線側それぞれを独伊ファシスト政権と旧ソ連共産政権が支援しました。この為、ファシスト側には独伊の最新兵器が、また人民戦線側には旧ソ連の最新兵器が供給されています。それでは実際にスペイン内戦では、どの様な戦車戦が行われたのでしょうか・・・

■時期/1937年3月■場所/首都マドリード北方近郊のグアダラハラ
ファシスト側/独製I号戦車及び狭羸鐚屐伊製CV(L3)33・35戦車
人民戦線側/旧ソ連製T26戦車及びBT3型、BT5型快速戦車
■戦闘結果■
人民戦線側の圧勝

■時期/1937年5月■場所/ガダラヤラ周辺
ファシスト側/伊製CV(L3)33・35戦車
人民戦線側/旧ソ連製T26戦車
■戦闘結果■
やはり人民戦線側の圧勝。ファシスト側戦車はほぼ全滅。

■時期/1937年7月■場所/ブルネテ
ファシスト側/独製I号戦車及び狭羸鐚
人民戦線側/旧ソ連製T26戦車及びBT3型、BT5型快速戦車
■戦闘結果■
戦車戦では人民戦線側が圧勝するも、独製37mm対戦車砲によって人民戦線側戦車も損害を被る。

結局このスペイン内戦においては、I号戦車及び狭羸鐚峙擇咤達(L3)33・35戦車は旧ソ連製T26戦車及びBT3型、BT5型戦車には全く無力でした。所詮機関砲及び機銃程度の装備で、装甲厚も15mm程度の独・伊製戦車が、45mm級対戦車砲を装備した旧ソ連製戦車に歯が立つはずは無かった訳です。ファシスト側では、より大型の独製傾羸鐚峙擇哭弦羸鐚屐伊製試作M11/39戦車(37mm砲装備)も試験的に戦闘に投入された様ですが、戦局には余り影響がなかった様です。しかし、戦車戦では全く無力だったファシスト側戦車ですが、対歩兵戦にはそれなりの効果は見られた様です。
人民戦線側の旧ソ連製T26戦車及びBT3型、BT5型快速戦車ですが、戦車戦ではその主砲によるアウトレンジからの射撃によって優位に立っていましたが、こちらも装甲の薄さは問題となっており、近距離ならば、ファシスト側が装備した独製37mm対戦車砲や対戦車ライフルでも前面装甲を撃ち抜かれる始末でした。
またこのスペイン内戦では、対戦車用簡易兵器として火炎瓶が使用され効果を上げました。戦車のみで敵陣に突撃したところ、火炎瓶攻撃によって返り討ちにあう事例が多々見られたそうです。戦車で敵陣を攻撃する際、砲兵や歩兵との協力・協調する戦術は、このスペイン内戦での戦訓とも言えます。数年後に行われたノモンハン事変には、スペイン内戦での火炎瓶の効果が伝わっていた様です。
1937〜1938年に行われたカタロニア戦線での戦闘では、早くも独製88mm高射砲が地上射撃及び対戦車戦闘に投入されています。スペイン戦争中の使用された88mm高射砲弾の内、その90%以上は地上目標及び敵戦車に対するものだったと言う資料もあります。
『誰がために鐘は鳴る』に登場するファシスト側戦車の内、鐘鳴戦車一号は独製宜羸鐚屬陵佑忙廚┐泙后また鐘鳴戦車三号・四号ですが、1937年にヘミングウェイ自身が製作に加わっていた、人民戦線側の支援を目的としたプロパガンダ・ドキュメンタリー映画『スペインの大地』の中のヴァレンシア・マドリッド防衛戦のシーンに、人民戦線側の仏製ルノー軽戦車(元々のスペイン軍装備車両)が映っている事から、ファシスト側でも使用されていてもおかしくありません。それでは鐘鳴戦車二号は・・・一体?火砲装備という事から、独製I号戦車及び伊製CV(L3)33・35戦車でない事は確かです。あの主砲が20mm機関砲ではないとも言い切れませんが・・・まぁ単純に考えれば独製傾羸鐚屬伊製M11/39軽戦車って事でしょうか・・・ね。

数々の名作冒険小説で知られるスティーヴン・ハンター氏の初期著作『さらばカタロニア戦線』(扶桑社文庫)はスペイン内戦を舞台にした冒険・スパイ・サスペンス作品ですが、そのクライマックスシーンではファシスト部隊の進撃ルートにある橋梁爆破作戦が描かれています。何でも主人公が迫り来るファシスト側狭羸鐚屬紡个靴篤叛州唯韮械患ヾ惱討鮨兇蠅ざし立ち向かう場面があるそうです・・・これって?・・・興味のある方は是非ご一読下さい。そうそう名誉観戦武官のお一人DJANGO機関長殿のご教授により爛織鵐吋奪董Tanketteの語源が解りました!Tankette=Tank+etteの-ette瓩箸榔儻譴寮榿語で、名詞の末「尾」に「接」続する事で、元の名詞の持つ意味を膨らませ、新たな意味を創り出すそうですが、この-ette瓩蓮元の名詞に『小(型)さな〜』と言う意味を持たせるとの事・・・って事でTank+ette=戦車+小型=豆戦車なのでした!DJANGO機関長殿、大変ご教授ありがとうございました。
最後に、第二次大戦後も生き続ける狷戦車の後裔たちを紹介させていただきます。これは旧ソ連製ASU-57空挺自走突撃砲で輸送機やヘリで輸送されパラシュート降下が可能。乗員は3名で57mm砲を装備した空挺部隊火力支援用車両ですが、現在では既に退役しております。そして独製ヴィーゼル型空挺戦闘車です。20mm機関砲や対戦車ミサイル搭載型が生産され、現在も様々なバリエーションの車輌が配備されている様です!【続く・・・はず】

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