ATFの戦争映画観戦記



【File109】祝10万ヒット達成・・・Shall We タンク!再び【第二弾】

2005年05月10日(火)

我がATFの戦争映画観戦記開設以来約三年半・・・ここ最近の更新遅延にも関わらず、何とか10万ヒットを達成する事が出来ました。これも偏に観戦武官諸士の日頃のご支援の賜物と観戦武官長は目頭を熱くしております!過去多くのHPが消えて行く中、また昨今のブログブームの中にあって、持続性の無い観戦武官長ATFが、この戦争映画観戦記を続けてこられたのも、ネット上で知り合う事の出来た多くの観戦武官・・・戦友の皆さんのお陰です。最近は戦争映画のDVDも数多く発売される様になり、大抵の名作・大作と言われる戦争映画は手軽に観戦出来る様になりました。しかし依然としてDVD化されそうもない作品も数多く、これらの作品の素晴らしさを、多くの戦争映画を愛する戦友たちに知ってもらう為にも、この戦争映画観戦記を今後も続けて行きたいと思っております。観戦武官の皆さん、今後とも更なるご支援の程、よろしくお願いします。それでは今回も早速行ってみましょう・・・日本映画史上に燦然と輝く名作『馬鹿が戦車でやって来る』・・・その出演者の中にあって、ハナ肇演じる主人公サブロウすら、その存在を喰われてしまった名脇役、その名は狎鐚嵌十七号・・・Shall We タンク!・・・【開演ブザー】さて今回もいつもの様に携帯電話の電源はお切り下さい・・・【10万ヒットしても相変らず、この書き込みに資料的価値はありません】

【馬鹿戦車、再び】
さて今回は、一昨年9月末にUPした『Shall We タンク!』で紹介した『馬鹿が戦車でやって来る(山田洋次監督作品/1964)』に登場する、我らが愛すべき【愛國87号】について、当時掲載字数等の関係で公開出来なかった文章や、その後の調査で判明した事実等を公開させていただく。
まず大月書店刊国民文庫No.840『映画をつくる(山田洋次/著 1978年11月17日初版)』によれば、この映画のプロットは、團伊玖磨氏が口ずさんだ「ある男が、終戦後、戦車隊を除隊したときにタンクを一台盗んで帰り、それを裏の納屋にかくしておいた。ところが村の人たちにたいしてものすごく腹の立つことがおきて、ある日ついにそのタンクに乗ってあばれだす」と言う、ただそれだけの話だったらしい。またあの印象的なラストシーンは、山田洋次監督が以前偶然読んだ童話(タイトル不明)の「田舎の子どもがサーカスの象が見たくて、お金を一生懸命ためて、ようやく町に行ったら、もうサーカスは終わっていてテント小屋もなくなってしまっていて、象の足跡だけが残っていた。その象の足跡をずっと追っていったら、それが海岸の波うちぎわで消えていて、白い汽船が遠くに浮かんでいた」と言った物語がモチーフになっており、この演出技法は、後の寅さんシリーズの中で失恋した寅さんが、映画のラストで突然フラッといなくなり、また旅に出て行くと言う演出に受け継がれているそうだ。
また最近ぴあより発売された【山田洋次 作品クロニクル】によれば、あの馬鹿戦車は当時新潟県下の民間で使用されていた雪上車を300万円の経費で購入・改造されたそうである。当時、映画製作の予算が2,500万円だった事からすると、実に映画製作全予算の12%に及ぶ経費が、あの馬鹿戦車に使用された事になる・・・多分主演のハナ肇氏の出演ギャラよりも高かったのではないだろうか。その改造のベースとなった雪上車であるが、以前の観戦記では画像をご紹介する事が出来ず、防衛庁のサイトで発見した同型雪上車の陸自導入時の仕様書と三面図のコンテンツにリンクを貼っていたのだが、現在では防衛庁サイトが内容更新されてリンク出来なくなってしまった。そこで再度ネット上を探索した結果、何とか発見出来たのが、この大原鉄工所製KC40型雪上車である。前部エンジン上のボンネットが丸みを帯びて、何となく愛嬌を帯びたヘッドライトのレイアウト・・・表情から、いかにも民間仕様って感じが伝わって来る。それと改良型の陸上自衛隊に試験採用された大原鉄工所製五三式雪上車・・・ボンネットも角張って何となく軍用車両って感じがして来た・・・それにしてもKC40型と言い、この五三式と言い、幾ら日本国内での仕様だからって、座席部分がただの幌掛けだってのはチョットなぁ・・・これじゃ流石に寒いでしょ・・・積雪の上を走れるジープ程度の乗り物で、乗員の防寒性なんて殆んど考慮されて無い乗り物って事か・・・?

【馬鹿戦車の勇姿】
ところで『馬鹿が戦車でやって来る』に、私ATFはこれだけ入れ込んでいるのだが、未だこの作品を未見の方にとっては(  ̄o ̄)ハァ〜?って感じではなかろうか。そこで、ちょっとだけ馬鹿戦車の勇姿を、ここでご紹介しよう!ついでに、以前の観戦記において、この馬鹿戦車の事を・・・イメージ的には旧陸軍の九十四式軽装甲車の様に思えるが、砲塔には小口径砲を搭載し、さらに九十七式中戦車の如くアンテナフレームの様なものが取り付けられているし、車体後部には八十九式中戦車の様な超壕装置っぽいものまで付いている。牋υ↓瓩覆鵑凸唄峺デ室嵶召量樵阿付けられていて、よくよく考えてみれば、日本の戦車の特徴を充分具現化・・・まるで絵に描いたような、将に戦車らしい爛織鵐瓩覆里・・・と紹介しているが、実際どれだけ具現化しているか、その検証も行って見たい。
まずは馬鹿戦車之勇姿・・・馬鹿戦車の砲塔上でのハナ肇演じる元少年戦車兵サブロウの勇姿である・・・砲塔と上部ハッチが殆んど同じ大きさなのが解る。どうやらサブロウは、少年戦車兵学校でエンジン等の修理技術を身に付けたようで、サブロウの住む家の玄関には爛肇薀ター修理と手書きした看板が掛っているのだが、戦後間もない、こんな貧乏な山村にトラクターなどあるはずもなく、殆んど商売になってない様だ・・・砲塔上に見える手擦り状の物体は無線用の鉢巻式アンテナと思われる・・・馬鹿戦車比較図・・・同様の物は九七式中戦車(チハ)に取り付けられており有名である。八九式中戦車には車間無線が取り付けられておらず、車間での指揮・連絡を手旗で行う様子が、戦時中に製作された『西住戦車長傳(1940)』の中でも描かれていたが、流石にこれでは戦車の集団指揮運用に不便なので、新型の九七式中戦車には近距離用の車間無線器が取り付けられた。しかし、この鉢巻式アンテナは敵弾等によって破損し易かった為、後には直立式のアンテナへと改修され、他の車種では見られなくなる。
さて次に馬鹿戦車之勇姿だ・・・馬鹿戦車の側面に書かれた献納兵器を表わす牋υ■牽鍬瓩諒源・・・旧字体の默↓瓩了が泣かせるぜッ!・・・この番号が表す馬鹿戦車比較図・・・献納兵器は、大陸での戦火が拡大しつつあった1932年1月10日に、高まる軍国主義の下、軍備予算の負担軽減を目的とした直接戦争協力・国防献金運動が発案され、それによって陸軍機が建造された事から全国的な運動に広まって行ったもので、陸軍では『愛國』海軍では『報國』の文字が使用され、機体や車体に番号と共に表示され、献納団体(者)名も書き込まれた。代表的な献納兵器は航空機や装甲車両だが、高射砲や自動貨車、自動二輪車、無線機まで種類は多岐に渡った。献納兵器製作の為の募金は、全国の自治体や企業、学校等の公共・民間の各団体(京都祇園の舞妓さんたちも戦闘機を献納している)から個人に至るまで広範囲に行われ、当時その献納・命名式は盛大な一大軍事イベントとして、航空機の場合は演技飛行、車両の場合はデモンストレーション行進等が行われた様である。
お次は馬鹿戦車之勇姿・・・家と田畑の権利を村会議員の市之新さぁに騙し取られた事を怒ったサブロウが、馬鹿戦車で市之新さぁの屋敷へ体当たりを噛ます図である・・・こうやって見ると、馬鹿戦車の主砲は意外と長砲身なのが解る。劇中では主砲を発砲するシーンは無く残念だが、やはりそこまでやってしまうと死傷者続出になりそうだから、やっぱ無理だろうなぁ〜。
馬鹿戦車之勇姿・・・登場人物と馬鹿戦車の車体の大きさが比較出来るシーンである・・・車体の迷彩塗装が明瞭に解る。こりゃ南方仕様だろうか・・・プラモデルの日本軍戦車の箱絵で良く描かれている様な迷彩色&デザインである・・・
馬鹿戦車之勇姿・・・村唯一のメインストリートを、砂煙りを巻き上げ驀進する馬鹿戦車の正面図だ。この位置から見た馬鹿戦車は結構恰好良いと思うのは私だけだろうか・・・?
馬鹿戦車之勇姿・・・同じく正面から見た図・・・車体前面に矢鱈と取り付けられた点検用ハッチ?の配置が良く解る図だ・・・無骨な鋲留リベットも堪らなく素晴らしい・・・!
そして馬鹿戦車之勇姿・・・メインストリートを驀進する馬鹿戦車の上空からの俯瞰図・・・上空と言ってもサブロウの弟ヘイロクが登った火の見櫓からの眺めである・・・実際に動く画面で観ると、この馬鹿戦車は意外と高速・・・と言っても20km〜30kmくらいだが・・・で突っ走る。通常の状態でも車体前部がやや浮き上がり気味なのだが、高速で突っ走ると余計に車体前方が浮き上がって見えるのだ・・・でも、この角度からのシルエットは余り恰好良くなく、至って残念ッ!
馬鹿戦車之勇姿・・・実家の前に停止した、もう堪らない正面からの馬鹿戦車の最高ショット!である・・・実はこの時、弟のヘイロクが火の見櫓から足を踏み外して落下、死亡しており、それを村人達が怖る怖る日本酒の一升瓶を片手にサブロウに知らせに来たシーンである。こうやってじっくり見てみると、車体のベースが雪上車な為か、キャタピラの幅が意外と広い事が良く解る・・・
馬鹿戦車之勇姿・・・車体斜め後方よりの馬鹿戦車の勇姿・・・この鉄板(敢えて狒甲板瓩箸聾世い泙擦鵐)を張り合わせだけって言う様なゴツゴツ感が堪らない!この角度からのシルエットは、九二式重装甲車の車体後部の形状・・・馬鹿戦車比較図・・・と良く似ているのが解る。また足回り(走行装置・転輪配置)を、ベースとなった大原鉄工所製KC40型雪上車と比較して見る・・・馬鹿戦車比較図と・・・雪上車はご覧の通り車体前部にエンジンを搭載しているので、このエンジンを改造時に取り外して後部に取り付け直したとは思えない。その事からも、馬鹿戦車は雪上車の車体をそのまま前後逆にして改造していると思われる。と言う事は、雪上車の操縦席は元々車体右側なので、そのまま操縦レバー等を後ろ側にずらして馬鹿戦車の車体左側が操縦席になっているって事も想像される・・・
馬鹿戦車之勇姿・・・車体斜め後やや上方よりの馬鹿戦車の勇姿だ・・・消音器と超壕尾体がはっきり解る素晴らしい図・・・実際の日本軍戦車もそうだが、この消音器は殆んど役立たず状態である・・・超壕尾体は、日本軍戦車隊創世期に輸入したフランス製のルノーFT軽戦車や、八九式中戦車に見られる塹壕や土手を乗り越える為の補助装置であるが、余り実用性が無かったのか、八九式中戦車以降の車両では廃止されている・・・馬鹿戦車比較図・・・実際大陸の戦線で使用されている八九式中戦車の超壕尾体も、本来の用途よりも、ただの荷物置き場と化している写真が良く見られる・・・馬鹿戦車の車体前方の泥受板上に村人役の俳優が乗っているが、以外に細かい部分も頑丈に作られているのが解る・・・因みに土浦の陸自武器学校に展示されている八九式中戦車や三式中戦車等の泥受板は、長年の風雨によって腐食が進んでおり、とても乗れる様な状態ではなかった・・・オイオイ良い子は乗ってはいけません!
馬鹿戦車之勇姿・・・車体斜め後下方よりの馬鹿戦車の勇姿・・・起動輪(実は雪上車の誘導輪)や上部転輪の形状が鮮明に写っている・・・ただ手前のハチマキの親爺さんの所為で、誘導輪が見えないのが非常に残念。
馬鹿戦車之勇姿・・・馬鹿戦車によって散々な目に逢った村人達が、郵便屋の発案で対戦車壕(早い話が落とし穴)を掘り、そこに馬鹿戦車を誘い込もうとしたのだが、その策略をサブロウが見破り、怒り心頭に達して田んぼの中で村人たちを追い掛け回すシーンである・・・このアングルから見た馬鹿戦車カッコ良い・・・実はこのアングルは、前回の観戦記で紹介した九四式軽装甲車の車体前部の形状に良く似ている・・・馬鹿戦車比較図・・・じゃないか、なんて思えたりするのだ!
馬鹿戦車之勇姿・・・馬鹿戦車の車体前部のアップシーンである・・・自棄にデカイ前照燈と星のマークが目立つ。これって九七式軽装甲車の写真・・・馬鹿戦車比較図・・・に写った前照燈及び日本陸軍の星形章そのものである。この拘りが堪らんなぁ・・・
引き続き・・・馬鹿戦車之勇姿・・・馬鹿戦車の車体前部のアップシーンである・・・意外と前面の被弾径始は良さそう・・・なんて事はないか・・・砲身は見るからに肉厚が薄そうである。前述の様に向かって右側が操縦席だと思われるが、展視孔らしき部分が丸いのは何故だろう?まさかモーターで隙間の開いた装甲板を回転させて外を見る回転式展望窓を取り付けるつもりだったのだろうか・・・なんて事なくて、ただ視認性をアップしているだけだろう・・・向かって左側はやはり前方機銃座かなぁ〜??ちょっと待てよ・・・馬鹿戦車比較図・・・これってアメリカの軍事博物館に展示されている九五式軽戦車の武装を取り外したところにも何となく似てるじゃん・・・。
馬鹿戦車之勇姿・・・驀進して来た馬鹿戦車に驚き、慌てて物陰に隠れたヒロインのり子さぁの図である・・・しかし、この病弱のヒロイン(このヒロイン像も後の寅さんシリーズのヒロイン像に受け継がれている)が、後に日本の裏社会を牛耳る大姉御になろうとは、流石のサブロウも想像すら出来なかったに違いない・・・大汗
さて最後の馬鹿戦車之勇姿は、地主の仁右衛門様の屋敷に突入した馬鹿戦車である・・・突入した衝撃で、車体上に降り積もった埃を両手で叩くサブロウのシーンだが、この叩く音で、如何に鉄板(重ねて言うが装甲板ではない!)が薄いかが実感出来るシーンでもある。アッ操縦席の上に取り付けられたハッチって横開きなんだ!
最後に日活製作の『戦争と人間』第二部ラストシーンに登場する日本軍戦車を見ていただこう・・・馬鹿戦車比較図・・・こりゃ間違いなく馬鹿戦車でありますな・・・前照燈前の日本陸軍の星形章が無くなり、代わりに車体前面に日の丸が描かれております。おっと砲塔上の鉢巻式無線アンテナも無くなってるじゃん。あれッ向かって左側の泥受板の上に取り付けられた物体って一体何だろう?実際は馬鹿戦車比較図な風に、エンディングのスタッフロールのテロップが重なってしまってはっきり見えないんですが・・・宣伝用の白黒スチール写真のお陰で明瞭にその姿を見る事が出来ます・・・にしても、この九五式軽戦車もどきって一体何?

如何でしたか・・・今回のかくも素晴らしき馬鹿戦車のお話は?『馬鹿が戦車でやって来る』の一刻も早いDVD化を望む次第であります。さてShall We タンク!瓩覆話のネタはまだまだ尽きませんよ・・・なんと新作ネタも取り揃えております!・・・【戦車は続く〜よ、ど〜こまでも・・・!】
※作成協力感謝:安曇重工様

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