やさしい指先、あたたかな膝枕。 さわさわと耳をくすぐる快い刺激。
カカシくん、気持ちいいかい?
記憶の中のあの人は、いつも陽だまりのような笑顔をオレに向けている。
・・・ん。まあまあ。
うとうとと、ともすれば引き込まれそうな眠気から、はっとまぶたをこじ開ける度、くくっ・・・と小さくひざが揺れる。
ああ、きっとまたからかわれる。 怒っても嫌がっても、それがまた面白いと言ってからかうんだろう。そういう人だ、先生は。 でも、起き上がるにはあまりにこのぬくもりが心地よくて、結局オレは気づかなかったことにして、またまぶたを閉じた。
ひとひら、またひとひら。 白い花びらが小雪のように空を舞う。
いい天気だねえ、カカシくん。
のほほんと笑う遠い声。 それが何より好きでしたと、結局あなたに伝えないままだったけれど。
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「サスケ、気持ちいい?」
ひざに感じるやさしい重み。 つややかな髪を撫でると、満ち足りた猫のように身じろぐ彼がいとしい。
あの頃とは違うぬくもり、仕草、声。
今は遠い、至高の記憶。 もう戻らない幸福の時間。
それでも、何度でも。
ほころびをなぞるようにくり返す、至福の時間。
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