せきねしんいちの観劇&稽古日記
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| 2008年11月01日(土) |
鹿殺し「電車は血で走る」 |
青山円形劇場をどう使うんだろうと思っていたら、電車の線路を意味する白い線が円形の舞台のぐるりに描いてある。 電車は鼓笛隊というか楽団の行進だ。 もうこのアイデアだけでいいなあと思ってしまう。 実際にあった電車事故をモチーフに、関西のとってもローカルな地域の空気が円形劇場の空間にひろがっていた。 実は事故で死んでしまった女の子(チョビちゃん)へのほのかな思いを抱えたとってもナイーブな青年が丸尾丸さん。 このほのかさというか、ピュアなかんじが、なんともいえない。 劇中で繰り広げられる工務店のアマチュア劇団「宝塚奇人歌劇団」の歌詞には、「ファック」という言葉が思い切り登場するのだけれど、その荒々しさとピュアなかんじが、当たり前のように共存しているのが感動的だ。 死んだ娘を思っていつまでも電車を走らせている母親(傳田うに嬢)は、ヒゲをつけて駅長としても登場する。ヒールの靴にヒゲというアンバランスがおかしくて笑っていたら、最後にほろりとさせられてしまった。 つかこうへいの「熱海殺人事件」を新感線ばりのボリュームのある衣装とロックで突っ走る劇中劇が、鹿殺しの原点なんだろうなあと思って、おもしろく見ていた。 終演後、一緒になったしいたけをさんと楽屋でみなさんにご挨拶。 劇団というものが本来持っているはずの一体感や熱のようなものが、しっかり感じられたのが、ひとごとながら、とてもうれしい公演だった。
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