せきねしんいちの観劇&稽古日記
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2008年09月21日(日) ワークショップと昔の日記

 ワークショップの準備をしているうちに目がさえてきて、朝まで起きてしまう。
 準備だけでなく、引っ越しのついでに見つかった古いノートを読んでしまう。
 劇団の養成所にいた頃もらった、アフタヌーンティーの白い表紙のノート。
 授業の課題のプランが書かれたページ、それから、進級できないまま、友達と一緒に暮らし始めて、もんもんとしていた頃の日記。
 今から、22年前(!)の自分の気持ちがなつかしい。
 思ったのは、今とあんまり変わってないじゃん!ということ(笑)。
 少し書き出してみる。

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 このノートは、1986年の秋に
 「円演劇研究所」で
 ○○○○くんからもらったものです。
 その頃、僕らは「ジョーとマイラ」でした。

 8月29日(土)

 いろいろ切ってかなきゃいけないこと、わかった。
 去年、あちこち、泊まり歩いてたカンジとはちがう。
 帰るべきところがないってわけじゃないけど。
 帰れるところとも、なんかちがう。一日中、自分とつきあってしまう。
 顔つきが変わったりするんだろうか、そのうち(体つきも)
 少し期待してるところあるなあ。
 でも、まあ、前と違って、生きていくこと(くらしていくこと)に直接自分が関わってるカンジは悪くない。
 なんだか、その生活する「自分」ってものがはっきり見えてきた。
 前は、なんだかよくわからなくて、大変そうだったのが、今では、各日に手の届くところにあるってカンジだ。
 ○○くんとは一緒に住んでるわけだし。
 今の僕らにとって「住む」ってことはある「たたかい」だったりする。
 ○○くんが僕の同志だとするなら、そんな関係の人間を待ったりするのは、ちょっといい気分だ。

 8月30日(日)

 今日は、なんとなくすることがなくて。
 マクベス夫人のセリフ読んだりして。芝居ものにあこがれてる時代の僕のようでした。
 女の人するのは、いいかげんやんなってるはずなのに、マクベス夫人したりしてみて、ばかみたい。
 年相応のコトしなきゃとか思うと少し「?」しちゃう、マクベス夫人なんだけど。
 昼間とか夜とかTVみてたら、久しぶりに涙が流れて、うれしかった。
 2月からこっち、ずっと凍ってた心がとけて流れたそんなカンジだった。
 なぜだろう。芝居すればするほど、心が凍ってくのは。
 そんなんじゃないはずだよね。
 僕の賭け方にやっぱり問題があるんだろうな。
 途中で投げたりとか、さめたりとか、いけないんだろうな。
 でも、さめさせないでほしいとも思う。
 今夜は思いがけず、○○くんが帰ってきた。
 あんまり思いがけないから、僕はまたいそいそと支度したりして飲んでた。
 ○○くんは寝てる。バイト先で飲んできた分、酔っぱらって。
 僕はまだ起きてる、と思う。

 今、僕はバカだと思う。
 何もしてない。
 一年前はこんなじゃなかった。
 「ジョーマイ」のアイデアのメモ、なつかしい。
 一生懸命だった、あの頃の僕たちがなつかしい。
 もう一度、火を点けるにはどうしたらいいのか。
 でも、このたきぎは凍っているのでした。
 燃えるかな?
 でも、燃やさなきゃいけないね。
 ○○くんはいい刺激だ。
 いてくれてほんとうによかった。
 一昨年の僕みたいに、芝居と縁切ってたら、どうなってるかわかんないもの。
 負け惜しみとか、敵がい心とか、単なるジェラシーとか、そんなもののおかげで、今、芝居とつながってる。
 「僕」はどこにいるんだろう。

 ああ、酔っぱらってる。
 このノートが終わったら、ワープロを買おう。
 その方がきっとたのしい。
 あした、朝は6時。


 午後から、フライングステージのワークショップ。
 今日は、テキストにシェイクスピアの「マクベス」を使う。
 シンプルなシアターゲームをいろいろした後、マクベスと夫人の場面を立ち上げていく。
 面白い場面がどんどんできあがる。
 人数の関係で、僕はマクベスを一手に引き受けることに(笑)。
 昔は、こんな芝居はできなかったなあと、今朝読んで日記を思い出す。


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