せきねしんいちの観劇&稽古日記
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2006年07月12日(水) 富士見丘小学校演劇授業 「ムーンリバー」稽古初日

 午前、午後の四時間。2組、1組の順番で。
 今日の講師は鴻上尚史さん。声とカラダをつかった表現の授業。
 輪になって自分の名前をいうというゲームからスタート。僕たちはいつものように、はーい、輪になるよ!と子ども達をうながそうとしたら、鴻上さんに「子供じゃないんだから、大人は見てる」と言われる。たしかに、いつもやや世話を焼きすぎていたかもしれない。ということで、今日は、全てを鴻上さんにお任せして、ちょっとひいたかんじでの関わり方。
 名前を言っていくゲームは、その後、名前を言ってから、女子は1つ、男子は2つ手を叩くというものに進展。拍手をまわすゲームもやった。
 次は3人組になって、2人が手を繋いで「便器」になる。間に入った1人は「うんこ」。1人の鬼が「便器チェンジ」というと「うんこ」は動かずに、「便器」が移動。鬼も便器になるので、あぶれた人が新しい鬼になる。他に逆のパターンの「うんこチェンジ」、また、全取っ替えになる「便所爆破」も。人数の関係で、これには、僕と里沙ちゃんが参加。けっこう必死になって遊ぶ。おとなどうしで手を繋いでしまって「おとなげないね」と言い合う。
 続いて、彫刻家ゲーム。2人組で1人が彫刻家、もう1人が粘土。よろこびやいかりといったテーマをやったあと、できあがった作品はそのままに、彫刻家が他の作品も鑑賞。いいと思った作品の前に立って、どれが一番いかしてるか品評会。
 粘土は彫刻家の指示に従わなくてはいけないので、自分ではやらないような姿勢や表情になる。とても大胆な表情でかっこよかったスギモトさん。いつもはとっても大人しい人なんだそうだ。里沙ちゃんは、ペアになったイトウくんに、やたら片足を上げたままのつらいポーズをやらされていた。
 後半は声を出す。声の要素はなんだろう?という質問。いや、具体的には「声の何を変えると、声は変わるのか?」という質問をして、「何」の部分をいろいろ言っていく。大きさ、早さ、高さまではわりとすぐに出た。それぞれ、大きい声を出したり、小さい声を出したり(例文の「声の大きさを変えると声は変わる」と言う)ささやき声を出してみたり。はじめに鴻上さんが、実際に小さな声で子供たちに指示を出すと、子ども達がみるみる集中していくのがわかる。鴻上さんの声はさらに小さくなって、言われたとおりにささやく子ども達の声もどんどんかすかになる。この集中しているかんじが、とても気持ちのいいものだった。みんなで同じ、いい集中をしたというかんじ。
 残る2つがなかなか出ない。いろいろな意見がでるのを、辛抱強く待って、たどりついた答えは、1つが「間」。「早いテンポでしゃべっても間が長い人もいるし、ゆっくりで間が短いパターンもある」というのを、子供を叱る母親のセリフで演じてみせてくれた。とってもおかしい。
 最後の1つは。声質、音色。なかなか出てこなかったのだけれど、誰かが「質」と言った。鴻上さんは「お、すごいな、誰?」と言ったら、4,5人がいっせいに手を挙げた。そんな大勢の声じゃなかったような気がするけどなあ。
 声の質をいろいろ変えて、しゃべってみる。黒柳徹子の声、先代のドラえもんの声、クレヨンしんちゃんの声、安田大サーカスのクロちゃんの声などでもりあがる。
 授業のあと、今日もミーティングルームでフィードバック。
 鴻上さんのお話で興味深かったのは、読書などで内面を充実させることが表現力につながるという考え方もあるけど、表現の方法をいろいろやっていくことで内面が育っていくということもある、ということ。いつもは出さない声や話し方をすることが、それまで知らない考えや気持ちを思うきっかけになる。
 今日、子ども達は、声とカラダの表現を、遊びながら、いろいろやった。先週までは、演じる人と見る人に分かれて何ができるかというような授業だったけど、今日は、全員が演じる人、というより、みんなが自分に何ができるだろうという自分自身を見つめる授業になったと思う。
 昼休み、先週の授業の感想の作文をいくつか見せてもらう。印象的だったのは、これまで知らなかった友達のいろんな面を見ることができたというものだ。子ども達も僕たちと同じようなおどろきと感動を味わっているんだなあとうれしかった。
 今日は、中学校の職業体験授業ということで、去年卒業したタカヒロくん、コウタくん、ミズキちゃんが授業の見学をしてくれていた。みんな、びっくりするくらい大きくなって、とっても大人だ。久しぶりに会えて、とってもうれしい。
 彼らは朝から夕方まで、校内のいろいろな仕事をしているんだそうだ。今、書いている芝居に登場する中学二年生の「ホンモノ」に会えて、絵空事でない人物を描こうとあらためて思う。

 夜、「ムーンリバー」の稽古一日目、顔合わせ。にしすがも創造舎にて。
 僕らの稽古場は3年2組。今日は一日中、学校にいるような気分だ。
 退院して間もない大門さんをのぞく、全キャスト、それに舞台監督のさっこさん、美術の小池さん、制作の對馬さん、それに樺澤氏。小学校の教室にある机を椅子に座って、学級会のような顔合わせ。
 挨拶のあと、制作からの連絡、それから、「ムーンリバー」についての説明をそれぞれの人物についての説明。家族や友人といったチームごとになって、黒板の前に並んで立ってもらう。
 今回初めて客演してもらう、記生ちゃん、東くん、阪口さん、羽田さん、それににしやんといっこうちゃんに佐都美ちゃんと、もう、これだけいろいろな面々がそろうともう並んで立った絵面を見ているだけでわくわくしてくる。
 美術の打ち合わせをしたあと、稽古は明後日から本格的にということで、今日はざっくりと解散。
 窓からきれいな月が見える。ホンモノの月は大人になるほど小さく見えるものだけれど、今日の月は、やけに大きくりっぱに見える。見る方の目の問題なのかもしれない。
 小池さん、さっこさん、樺沢氏は、場を変えての打ち合わせに移動。僕は、對馬さんと西新井行きのバスに乗って帰る。いつも乗っているこのバスに誰かと乗ることになるとは思わなかった。芝居の話をいっぱいさせてもらう。


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