せきねしんいちの観劇&稽古日記
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2005年10月20日(木) マイズナーWS

 10時から、藤野節子さんによるマイズナーのワークショップ@芸能花伝舎。
 教室の机と椅子を片付けて、自己紹介もなしに、さらっと始まる。
 マイズナーさんについての簡単な商会のあと、リピテーションゲーム。二人で向き合って、相手が自分についていった「あなたは指輪をしている」という言葉を、ただただ繰り返す。ルールは、相手に集中する、観察する、反応するの3つ。
 言葉の意味はどんどんどうでもよくなって、言葉じゃないところでのコミュニケーションが成立していくのがとってもおもしろい。
 僕が一緒になった初めの二人は、ほんとに初対面の人なのだけれど、どんどんやりとりが発展していって、とってもおもしろかった。
 藤野さんに感想を求められて、とにかく「楽しかった」と答える。自分が何かしたことが相手にとどいて、それが帰ってくるのはなんてうれしいんだろう。2人目のあとには、最初の相手とはたまたま相性が良かったのかもしれないと思ったのだけれど、これは誰とやってもおもしろいんだと気がついたと話す。
 3人目はスタッフもしている明樹さん。感想は、それまでの2人に比べて、表情の小さな変化に集中しないで、なんだか丸ごと全部を受け止めていて、ずるしてるような気持ちになったと話す。一緒に芝居をしたことはないのだけれど、知ってる人というだけで、どこか緊張のしかたが変わってくるのがおもしろかった。
 今日は、このゲームだけでおしまい。それでも、とっても充実した時間だった。これから年内いっぱい、週に一回のペースで続くこのワークショップ。マイズナーさんいわく、「このリピテーションゲームは、バレエダンサーにとってのバーレッスンのようなものだ」とのこと。
 たしかにそうかもしれない。どうやろうかと企むよりも、相手の反応にどう応えていくかということに敏感なカラダを維持することは、とっても大事なことだろうと思う。
 まだまだいろんなことをやっていきそうなこのワークショップ。リハビリをかねて楽しみながら、いろんなことを体験していきたいと思う。

 午後から、富士見丘小学校で卒業公演の打ち合わせ。開校記念日でお休みのところを、わざわざ先生方が出てきてくださっての話し合い。
 演劇授業全般についての意見を交換して、卒業公演についての話をすすめる。
 これまで、こんなにちゃんと思ったことを言い合えた機会はなかったような気がする。貴重な意見をいっぱいいただいた。もっともっと、教育の現場のことを知らなくてはいけないとあらためて思った。
 後半、校長室に移動して、具体的なスケジュールの確認。いよいよ動き出した。 いい舞台をつくることももちろん大事だけれど、つくりあげていく過程もいい授業の積み重ねになっていくよう、頑張りたいと思う。

 下高井戸から世田谷線にまるまる乗って、宇宙堂公演「風回廊」@世田谷パブリックシアターを見に行く。
 渡辺えり子さんの新作。アコーディオニストのCOBAさんと川原亜矢子さん、それに大駱駝艦のみなさんが客演。
 たばこ工場を中心に栄えていた町がすっかり廃墟になってしまっていて、そこに身代わり見舞い人のえり子さんがやってくる。
 タバコが吸いにくい昨今の状況に、小泉政権のことやら、テロや、誤爆による死など、とっても「今」なお話が、次から次へとくり広がる。
 大駱駝艦のみなさんが演じる「老人」のカラダの見事さに圧倒される。ほんとうに老人のカラダなんだもの。
 アコーディオンにギターに津軽三味線という音楽も、とってもすばらしかった。
 終幕、もう大人になった少年=COBAさんと少年(加藤記生さん)が二人で登場したところで、ほろほろと泣けてきた。終幕の川原亜矢子さんは、ほんとにきれいなヒロインだったなあ。ほろ苦い、とてもせつない舞台を堪能した。
 終演後、野中さん、平田さん親子と一緒に楽屋にうかがい、えり子さんにご挨拶。感想をわいわいしゃべってしまう。
 帰りの電車は、盛りだくさんな一日のせいか、なんだか目がさえたような気分。台本のアイデアをいくつも思いつく。


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