せきねしんいちの観劇&稽古日記
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2005年08月06日(土) 「かもめ」とネズミ

 ワカさんが出演している「かもめ」を見に、中野新橋まで行く。会場はマンションの一室。1時間40分に構成された台本。訳もほとんどおぼえている神西清版なので、なつかしい芝居に会いに行くような感覚。
 芝居は、なんだか微妙だった。「なんでこんなになっちゃったんだよお!」というかんじ。終演後、ワカさんにご挨拶して、そそくさと帰ってくる。飲みに行ったら、全部しゃべらないとおさまらないような気がして。演出家にきいてみたいというか、問いただしたいことがヤマほどある。
 むかし、銀座のみゆき館で同じ「かもめ」を見て、終演後、感想というか文句を大声でしゃべりながら歩いていたら、後から靴が飛んできた。芝居とは関係ない酔っぱらいが投げたものだったのだけれど(たぶん)、目の前の壁にバシンとぶつかって落ちた革靴のことは今も忘れない。今日の芝居は、もし靴を投げられたら、拾ってそのまま投げ返したくなりそうなもんだった。なんであんなになっちゃったんだろう?

 帰り道丸の内線霞ヶ関の駅のホームで、小さなネズミがホームを歩いていた。
 体長5センチほどの子ネズミ。長いしっぽの先には、アスファルトのようなかたまりがへばりついていて、両方の後ろ足もいやな黒いもので覆われている。
 黄色い点字ブロックをなぞるようにまっすぐ歩いているネズミは、耳が聞こえないのか、近づいても逃げない。ただ、まっすぐ歩いている。どこにいくんだろう? こんなカラダでだいじょぶなんだろうか? こんな時に限って何も入ってないバッグに、それでも干し梅があったので、食べるかな?と前に置いたのだけれど、見向きもしないで歩いていく。
 なんだか、参った。声をあげて泣きそうになってしまった。でも、ネズミはまっすぐ歩いていく。ホームのはしまで行ったらどうするんだろう?と思いながら、背を向けて、歩き出して、乗り換えの電車に乗った。
 


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