せきねしんいちの観劇&稽古日記
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2005年01月22日(土) ワークショップ6日目

 まず新作モノローグの発表。みんなすっごいおもしろいものを書いて演じていた。
 「ローゼンクランツとギルデンスターンに二股をかけていた女」「ハムレットの血を吸って死んだ雌の蚊」「ハムレットを襲った海賊船の船長」「ハムレットが飼っている猫」「オリヴィアの飼っている犬」「ジュリエットの家の女中」「ローゼンクランツかギルデンスターンの首を刎ねた首切り役人」「マクベスの三人の魔女の母親」「シンベリンのヤキーモの妻」「クローディアスがガートルードの中に放出した精子」「死んでしまったオフィーリアの霊」「ポローニアスの妻」「バーナードの妹」などなど。もうものすごかった。
 それぞれが、もうちゃんとした一人の人間としてそこにいて、一人芝居の20連発のような深さと面白さがあった。なんてすごいんだろう!ととなりに座った篠原さん、山本くんと盛り上がる。
 僕は、マクベスの死んだ息子のモノローグを演じた。ちょっと長いけど、全部のせちゃいますね。

マクベス夫妻の死んだ息子のモノローグ

僕にはどうしても知りたいことがあるんだ。
だから、ここ天国の外れ 誰もやってこないこんなところで
ずっと待ってる、パパとママがやってくるのを。
みんな僕に言う、お前の父親マクベスはひどいやつだ。
お前の母親はもっとだ。そうなのかな?
ダンカン王を殺して、スコットランドの王様になったパパ。
ダンカン王を殺して、そばにいたおつきの二人を殺して、
バンクォーのおじさんを殺して、
マクダフさんとこのおばさんと子どもを殺して、
それから、もっともっとたくさんの人を戦争で殺したパパ。
みんなは言う、とっても悪いヤツだって。
自分たちはお前の父親に殺された。
いやいや、おとなしいマクベスをそそのかした
雌のライオンのようなお前の母親に殺されたんだって。
ひどいやつ、残酷非情な冷血漢。
権力志向の人でなし、人の痛みを知らないやつら
でも、おかしくないかな?
戦争で死んだ兵士や残された妻や子供たちは
なんでパパのことをうらむんだろう
だって、コーダーの殿様を殺したのはダンカンだよ。
たしかにパパはものすごくたくさんの人を殺した。
でも、殺させたのはダンカンなんだ。
ダンカンに殺された人たちは、パパよりダンカンを恨めばいい。
みんなの恨みをはらしてあげたパパに感謝するべきだ。
ダンカンはいい王様、マクベスは悪い王様。
大勢の人を大義名分のために戦争で殺すのと
何人かの人を自分の欲望のために殺すのと
どこがどう違うんだろう?
戦争で死ぬのはしかたのないこと
戦争で殺すのはとても偉いことなの?
パパだってもっとほめられていいはず。
みんなしかたがないってあきらめるべきだよ。
ああ、きれいな夕日だな。
どうして来てくれないんだろう、パパとママ。
ママは自分がやったことを後悔して
気が狂って死んでしまったんだって。
パパも戦争で苦戦してるって。
本当は僕、応援しなくきゃいけないんだけど
早く負けてここに来ればいいって思ってる。
でも、こんなにやって来ないところをみると
もうパパは殺されてしまって、でも、ここ天国には来れずに
ママと一緒に地獄に連れて行かれてしまったのかもしれない。
みんなそう言うんだ。
二人とも地獄落ちだ、待つだけ無駄だって。
でも、人殺しが地獄落ちなら、みんな地獄落ちだよ。
そんなのおかしい。
あ、でも、もしかしたら、ここが地獄なのかもしれない。
だったら、パパもママもすぐに来るはずだよね。
僕は忘れないよ、優しかったパパのこと。
僕を抱き上げて、ヒゲをなでながら目を細めて
こいつは俺にそっくりだ、いい武人になるぞって言った。
ママのやわらかいおっぱいも。白くて温かくて、他に何もいらない。
あのやわらかさはここ天国にだってないんだけどな。
僕がどうしても聞かなきゃいけないと思ってるのは
パパとママが冷酷な人でなしになったのは
僕が死んじゃったからなのかってこと
僕が死んだあと、ママはしばらく立ち上がることもできなかったって。
ようやく立ち上がったと思うと、それまでとはうってかわって
パパに出世しろ出世しろって言うようになった。
僕のかわりに王国やお金がほしかったのかな?
もう一人新しい息子を生めばよかったのに。
でも、ママはもう子供はいらないって
こんなに悲しい思いはしたくないって、パパもそう言った。
でも、どんなに偉くなって国やお金を手に入れたって
子どもがいなくちゃまた誰かに取られちゃうんだよ。
それでもいいの? だったら、なんでそんなことするの?
そんなこともわからなくなるくらい、かなしかったの
僕が死んでしまったことが?
僕が死んだのは誰のせいでもない、ただの流行り病
パパとママのせいなんかじゃない。
でも、教えて、僕が死ななかったら
パパもママもあの優しい二人
世界一幸せな、誰もがうらやむ夫婦のまま
歴史に名前を残したの?
ねえ、教えてよ。僕のせいなのかな?
今日もまた日が暮れる。パパもママも来なかった。
そろそろ帰ろう。神様に報告しなきゃ、今日も二人は来なかったって。
神様は、いつも何も言わずににっこり笑って
僕の頭をなでてくれる。じゃあね。

 発表は、とにかく全員が作り上げた人物が間違いなくそこにいて、昨日に続いて、客席に座って見ていた僕たちは、おもしろい芝居を見続けたような高揚感と幸福感に包まれっぱなしだった。
 休憩後、今度は、今のオリジナルモノローグを踏まえて、それぞれの課題のモノローグを演じた。ノンストップで全員が。オリジナルモノローグを発表したのと同じ順番で、間をあけないで次々にという指示。
 僕は、自分のハムレットのモノローグのあと、KAYOさんの「恋の骨折り損」のビローンの演説を聴く貴族としてお手伝い。あらかじめ頼まれていたので。ばたばたと椅子を運んで座ろうとしたら、となりにロジャーが。彼も一緒に貴族をやることに。わお、ロジャー・リーズと一緒に芝居してるよと思いながら、邪魔にならないように、受けの芝居をする。となりにいるロジャーを見ながら、どのくらいまでやっていいんだろうと探ったり。これもとってもおもしろかった。
 全員の発表が終わってから、ロジャーが一人一人に感想と課題を。1週間終わって、来週に向けて、何をやればいいか。僕は、次の気持と動作に行く前に、あらかじめ準備しておくようにと。全体の構成をどう運んでいくか、ポイントとポイントをつなぐ橋をちゃんとかけるようにと言われる。うーん、難しいけど、やりでがある。
 ロジャーは、感情をそのまま出すことはもうやらないようにという。今まではそれでよかったけど、来週からはそうじゃない。大声を出さなくても、ちゃんと感情がそこにあるように。これも難しそうだ。
 最後に、ソネットを「ほんとに話しかけているように」演じて、今日はおしまい。
 終了後に、懇親会を居酒屋で。座敷に30人ほどが座って、わいわい飲みながら話した。
 これまで、ニックネームでしか知らない人たちの素性がわかったりして、びっくりする。
 「ああ、その舞台なら見てた!」みたいなね。
 2時間でさくっとお開き。記念撮影をして解散。
 僕はうち合わせのために高円寺へ向かう。
 千代田線に乗るみんなと一緒にホームで待っていたら、ロジャーが合流。
 ちょこちょこおしゃべりしながら、新御茶ノ水で降りて、高円寺へ。

 うち合わせは7月の演目や今年のこと、去年のことなどを、高市氏と。
 終電までしゃべり、あわてて飛び出す。
 おしいところで終電を逃し、北越谷止まりに。
 タクシーよりはと、台詞を暗唱しながら、線路沿いの静かな道を歩く。
 「十二夜」のヴァイオラの台詞がほぼ入ったので、ぶつぶつしゃべりながら。
 そのうちにやっぱりというかんじでもりあがってしまい、「そうなのよ、女は!」と叫んだところで、すぐ後に人がいたことに気がつく。
 それでも、家に着く頃には確認も終了。ジュリアスシーザーもところどころしゃべりながら帰宅。


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