4つの季節を重ねながら

2002年04月02日(火) ロシアの牛さんたち

以下は、論理的にはなんの根拠もないはなし、推論の塊ですが、わたしのあたまのなかではぴぴぴっとパズルがはまるように、つじつまがあったはなしです。

そして久々に、ディープでなが〜い文章です。


     *          *          *


1月にわたしが一時帰国していたころ、ウミウシさんが突然、ロシアに行くのだと言いだしました。以前ロシアに1年間住んでいたわたしは、具体的な寒さ対策の話をして。

それでも内心ひやひやしていました。

最近のウミウシさんの日記に少しづつ書かれはじめていますが、わたしはアトピーをもったウミウシさんが体調を保つためにかなり食事に気を使っているのを知っていました。でも、冬の時期のロシアでは...

以前は闇市で値段交渉をしてもかなり高いお金を払わないと野菜が手に入りませんでした。野菜自体があまりなかったのです。わたしが住んでいたのは共産党の一党独裁が崩壊して間もなくのころだったので、いまでは事情が違って、ホテルやレストランで野菜を使った料理が出されるようになっていればいいけれど、と思っていました。


さて、戻ってきたウミウシさんの話しを聞いてみると、

「それが全然、大丈夫だったのよ〜」

とのこと。拍子抜けしながら、でも「野菜なんてほとんどなかったんじゃない?お肉ばっかりだったんじゃない?」と訊くと、

「そうだったんだけどね、自分でもちょっと心配したんだけど、大丈夫だったの。おいしかったよ〜」

そのほかのおみあげ話を聞きながら、まあ大丈夫だったならなにより、おいしく感じられたならなによりと思っていました。


さて、わたしのほうは、昨年末から乳製品を控えると、生理痛が軽くなるというはなしを複数の人から聞き知り、日本滞在中は意識的に乳製品の摂取量を減らしました。

(とはいっても、わたしは以前日本にいたころ、1日に1リットル以上の牛乳を飲んでいました。さすがにいまはそんなに飲んでいませんが、乳製品の摂取量を控えたと言っても、人並みの量になっただけかもしれません)

そして2カ月試して効果を実感して。

それまではつらくなるとアロマテラピーのマッサージで切り抜けていました。このマッサージは即効性があり、いまのところはいつも確実に効いてくれているのですが、そんな必要はなく。もちろん薬も必要なく。女性ホルモンの働きを整えるハーブティを飲み、乳製品を控える、これだけのことでずいぶん快適に過ごせるんだな〜と感心していました。

以前日本にいたときは、生理中、倒れそうになったり、保健室のお世話になったことが何度もあったので、たいした違いでした。


その後、パリに帰ってきて、ウミウシさんのロシア話を振り返りながら、わたしがふと思い出したのは、ロシアの底辺階級の労働者たちのことでした。こんなふうに漢字にしてしまうと、ずいぶん硬い感じですが、平たく言えば、建設業に携わる田舎のおじちゃんおばちゃんたちです。設計をする人たちではなく、現場作業をする人たち。

ロシアにいたころ住んだのは、できたばかりの学校のなかにある寮、のはずが...9月にわたしが到着したときには、まだ半分も出来上っていませんでした。(^^;;)

部屋はからっぽでベッドがあるだけ、電気の配線は来ていたけれど、電球がなく。

それで「ほら見て、あなたたちのために新しいベッドカバーを揃えたのよ」って言われてもねぇ(笑)。以前の寮にはあったという、小テーブルや読書用ランプ、洋服ダンスを要求して、お湯が出ないので別の建物でシャワーを浴び、洗濯機がない(結局1年間ないままだった)のでジーンズまで手洗いし...

そんな状態でしたから、学校の外でも中でもよく工事の人たちを見かけました。もとは社会主義の国だからかそのなかには女性もいて。これがまた、ぜ〜んぜん働かないんだ。一日中、輪になっておしゃべりして、輪になったまま、時間とともに日当たりのいい場所に移動していって、そのまま日が暮れて、帰ってしまううぅ〜。

ゆっくりやろうと、はやくやろうと、どちらにせよ工事を終らせなければならないのに、どうして効率良く終らせようとしないのか、わたしはいらいらしながら、そして日本人って、なんて優秀なんだろうと思いながら、周囲に疑問をぶつけました。

すると「ゆっくりやろうとはやくやろうと、1日にもらえる金額は変わらない。そのかわり仕事がない日はお金をもらえない。だからできるだけ工事を引延したほうがその分長いあいだお金がもらえていいんだ。彼らが1日にもらえるお金はとても少なくて、『毎日じゃがいもしか食べられないくらい』って表現があるくらい貧しいんだから、そんなことは大目に見てあげないと」

それはわたしにとって、自分の価値観で誰かをジャッジすることの無意味さを思い知らされた初めての体験でした。


薄暗い冬のパリの自分の部屋で、明るくて暖かな夕陽のなかで、のんびりと楽しそうにおしゃべりしている人たちのことを思い出し、彼らが家に帰ったあとに食べるじゃがいもを想像して...

そしてふと思い出したのはロシアにいる1年のあいだ、かなりの乳製品を摂っていたにもかかわらず、ほとんど生理痛がなかったことです。

あれ?

アトピー持ちのウミウシさんが毎日のようにお肉を食べても体調を崩さなかった。
わたしは毎日大量に乳製品を摂っていたのに生理痛にならなかった。

あれあれ?

世間では動物性蛋白がとか、乳製品が、とかいうけれど、もしかして、悪いのは動物さんたちではないのじゃかしら?

牛乳って、牛の乳なわけだから、きっとホルモン剤かなにかを与えれば、簡単に量を多く出すようにさせられるよね?

お肉だって、本来は草食動物の牛から、柔らかい、人間にとっておいしいお肉がとれて、しかも人間にとって飼育が楽なように草以外の餌を与えて、育てかたも開発されてきたわけだよね?

毎日のように勉強しなさいという両親は子どもにストレスを与えるように、いつも「もっと乳出せ〜」とか「いい肉いっぱいつけろ〜」とか思っている人間が毎日そばをうろついているのは、牛さんたちにとってはかなりのストレスになるのではないかしら?

わたしが牛だったら、やっぱり頭を餌桶に固定されるような形で繋がれて、身動きできない環境に置かれるより、野原で自由にお散歩&日光浴していたいな〜。

と、ここまで想像が進んだとき、あのロシアののんびりな労働者さんたちは、「乳出せ〜」とか「霜降りになれ〜」とかいうストレス電波を牛さんに向って発しているとは思えないぞ(苦笑)と、思ってしまったのです。

効率追及で人間にとって都合のいい餌を与えるようなハイテックなこともしていなさそう。

そのかわり自由に健康に育った牛さんたちのお肉は筋肉がよく発達して、悪評高いアエロフロートの機内食ステーキ*のように、じっくり煮込むスープにしか適さないのかもしれません。(* 金属のナイフを使って格闘しても、なかなか切れないし、噛切れない)

ストレス電波をいっぱい浴びた柔らかいステーキと、
自由でのびのび育った筋が壊れるまで煮込んだシチュー。



     *          *          *


長い空想を終えて、ここまでこの文章をタイプして、

「世の中を変ることはできないけれど、自分の生活を変えることはできるし、自分のためにできるだけ自分の健康にいい生活をすることはできる」
風の結びになりかかったとき、1つ忘れていたことに気がつきました。


人間の都合で病気にしてしまったたくさんの動物たち。

人間に食べてもらえればまだ、その命はだれかの役に立ったのに、廃棄処分にされてしまった動物たち。

自分の健康のことを気づかうことも大切だけれど、彼らに「ごめんね」って思う気持ちも大切にしたいな。せめてそういうニュースを耳にした瞬間だけでも。



P.S. ロシアの牛乳は日本のものと味も違っていて、もっとどろっとして、空気に触れた部分はすぐにクリーム状の半固形になり、そして冷蔵庫に入れていてもすぐに2、3日でヨーグルト化しはじめるのです。

先日、有機野菜スーパーで普通ものより1.5 倍くらい高い牛乳を買ってみたら、半分脱脂タイプにもかかわらず、やはりどろっとして、空気に触れた部分はクリームになってしまうタイプの牛乳でした。


P.S. ジーンズの手洗いは、洗うのは簡単なのです。絞るのが...ね。(^^;;



 < 過去  INDEX  未来 >


かな [MAIL] [BBS] [HOMEPAGE]

My 追加