初めてのニュージーランド。。。 移民の多いこの国の人々は、外国人にあたたかく、親切だといいます。 初めてのこの国で、いったい、どんな方とお会いして、どんなことが 起きるのでしょうか。。
ワクワクしながら空港を出ると、午前中だけ町を案内してくれる ガイドの方が待っていました。
ハローツアーのSさんという日本人の男性です。 あいさつもそこそこに、車に乗り込みました。 私とスバルの2人だけです。
「車の中での飲食は禁止です」町を走りながらのS氏のはじめての言葉。 「お水もですか?」と私。 「はい、外に出たときに飲んでください」
まるでテープがまわっているような、無機質な説明に少し飽きてきて、 「Sさんは何年この国にいらっしゃるの?」私。 「13年ですが、今は説明の途中なので、質問は後にしてください」 私「・・・」
その後もあまりにも機械的なので、思わずいつものくせで、聞きたくなりました。 「ねえ、Sさん、このお仕事、楽しい?」
Sさんから出た言葉は、 「楽しい仕事なんてあるわけないじゃないですか。 人間、食っていかなければいけないから、そんなモンでしょう仕事って」
『これなんだわ!!!』心の中の私
「自分で何か興味があることやればいいのに」私
「私だってね、こうやってガイドだけやっているんじゃないんだ。 ちゃんと自分の会社もってますよ」S氏 「どんな会社なんですか?」私 「旅行の会社ですよ」S氏
「えっ、だって楽しくないんでしょこの仕事」私
「この世に仕事を楽しんでいる人なんているわけないでしょ。 金のためにみんな仕方なく仕事しているんですよ。 だいたい、お金があったらこんな仕事していないですよ」
S氏は吐き捨てるように言いました。
「こんな仕事って、思って仕事しているんですか?」私 「だってこんな仕事じゃないですか。頭やコンピューター使うわけでもないし。。」
「でも、ニュージーランドにはじめていらっしゃる人がこの国を好きになったり、 楽しむ最初のきっかけをつくったり。。。それにどんなすばらしい 出会いがあるかわからないじゃないですか」私
「いや、ないですね、そんなもの」S氏はキッパリと言い切りました。
私はもうここでこの不毛の会話をやめることにしました。 S氏はこうして話していることが、もういやでたまらないという様子。
〜早くこのむかつくおばさんとそばでじっと聞いている小さな子供 をホテルに落っことしておさらばバイバイ。。〜
そんなS氏の心の声が伝わってきました。
車は当然スピードをあげてホテルに直行です。 ホテルで車から荷物のように降ろされた私たち。 挨拶もなく、S氏はそのまま走り去ってしまいました。
『ねえママ、、あの人さ、せっかくのチャンスだったのに、残念だね。 あの人、毎日つまんないんだね。自分が好きな仕事に変えたほうがいいよね。 そうじゃないと、案内された人がかわいそうだよ。』 車の中で一部始終を黙って聞いていたスバルがはじめて口をひらきました。
続く。。。。。
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