長野と言っても信州ではない。
長野は博多を代表する水炊きの名店なのだ。博多の食の名物と言えばトンコツラーメン、明太子に並んで、水炊きを挙げることができる。地元のある人に言わせると、お店で水炊きを食べるのは信じられないと言う。水炊きは手軽に出来る家庭料理と言うイメージらしい。ホント！？

中国東北地方の料理が長崎経由で博多に伝わったとされ、市内には水炊きの老舗が何軒もあり伝統の味を今に伝えている。長野はその中でも比較的手頃な料金で本格的な味を楽しめる大人気店で、年間を通じ週末は一週間前でも予約が難しい。真夏でも同様なのだ。僕は博多へ行くことが決まると一番初めにする事は此処の予約である。

天神から南東方面へすぐ、タクシーで１メーター程乗った処にあるお店は和風のビル。暖簾をくぐり細い石畳を歩き店内に入ると、迫力あるお姉さま方（つまりお店のオバチャン達ね！）から「いらっしゃいませ！」の歓待を受ける。一階は小上がりの座敷と増築されたテーブル席の一角から成り二階以上はお座敷だ。

席に案内されると予約した「半々」の鍋が既にセットされている。「半々」とはミンチと骨付肉両方が入った鍋の意味だが、始め鍋には白濁したスープと骨付き肉しか入っていない。このスープは鶏ガラを炊いて作る濃厚なスープと鶏肉スープを合わせたものと言う。

ガスコンロに火を付けていよいよスタート。ビールを飲みながら酢に和えた鳥モツをつまんでいる内に鍋が煮立ち始めると、お姉さんがスルスルと席にやって来る。世間話などしながら白濁スープを鍋から湯のみに注いでくれる。このスープに好みで塩を少々入れて飲むと実に美味い！ここがいつも「博多に来た〜」と思わず叫ぶ瞬間！

そしてポン酢にもみじ大根と細かく刻んだコウトウネギを入れ、やっと骨付き肉を食する。ポン酢が染み込んだプリプリとした肉の歯ごたえ、そして噛んだ後から湧き出てくる肉汁とスープとの組み合わせが至福の時を与えてくれる。あ〜、書いているだけでヨダレ･･･。笑

骨付き肉を粗方食べると次は野菜を少量ずつ入れていく。メインの野菜はキャベツで更に季節の野菜や豆腐などが添えられる。白菜は水を出しスープを薄めてしまうので使われない。キャベツは生煮えが美味であると言うが、個人的には煮えて柔らかい方が好きだ。

そうこうしていると再びお姉さんが練り上げたミンチを盛ったお皿を手に登場。器用な手付きで箸を操り一口サイズに区切っては鍋に放り込んでいく。煮立ちあがったミンチの玉をポン酢に浸して食べると、滑らか過ぎずパサパサ過ぎずの絶妙な優しい食感が口の中一杯に拡がる。野菜との相性もバッチリでドンドン食は進んでいく･･･。

最後にスープだけ残るとおじやが待っている。私？そりゃ、おやじっす･･･汗。もとへ、正直に言うと昔はそうした。でも今はもうこの辺で満腹になってしまう為、無理しない事にしている。だって、この後ライブやって飲みに行って最後にラーメン、焼き鳥、餃子で締めるんだもんね！笑