Day Dream Believer
過去の日々|過去の昨日|過去の明日
7月はkazeの誕生月。巳年で獅子座で火の男。 外見のソフトな風貌とは裏腹に 煮ても焼いても喰うのはやっかいな星の生まれ。
彼の誕生日前の7月上旬にバンコクへの出張があった。 幹部クラスの宿泊先はバイヤンツリーバンコク。 巨大なマッチ箱を縦に置いたようなタワーホテル。
屋上はオープンカフェのようなカフェレストランで カクテルを飲みながら夜景を楽しんだ。
kazeたちのグループは町中のリーズナブルなホテルに泊まったようだ。 私達がホテル内にある豪華なスパで キュートなタイ娘のエステシャンに全身をマッサージしてもらっている頃、 彼らは街角のマッサージパーラーにいた。
これを差別とは思わないけど立派な区別だとは思う。 来年は頑張ってこっちにいらっしゃい、という本社の配慮だった。
今回の出張では私は一切彼には近づかなかった。 直属のボスI氏に言い含められていた。
「いいかsora。俺たちはリーダーだ。 タイにいる間は必ず俺のそばにいろよ。」
深い意味を考えても仕方がない。私はボスに従った。
一日だけ市内観光のオプショナルをつけていたので 遺跡の中の土産物屋に寄ってみた。
私は一着のタイシルクのドレスに見とれてしまった。 深いブルー地の胸元と裾にだけ模様を施したデザインで 迷わず自分への土産に購入した。
kazeに着て見せたい自分がいた。そして彼の手によって そのドレスは私の身体から引きはがされるのだ。
そんな妄想に悩まされながら 熱帯地方独特のねっとりとした空気に身を包まれて 私は帰国後の彼の誕生日プランを考えていた。
今月の末に涼しい湖畔のホテルを予約しよう。 そこで一日中彼と一緒に過ごそう。 大きな窓のある部屋が良い。 湖を渡る風を部屋いっぱいにいれながら 大きなベッドで二人きりで過ごすのも良い。
高原の空気は夏の喧噪を忘れさせてくれる。 晩夏に鳴くはずの蜩の鳴き声が聞こえたような気がした。
一瞬、湿気を帯びたバンコクの空気が 乾いたそよ風のように感じたのは気のせいだと思う。
空港ラウンジのVIP専用ルームから PCで一通のメールを彼に送った。
家に着いてから彼は見るだろう。
「今月最後の週末にあなたの誕生日のお祝いをさせて。 ご都合はいかがですか?あなたに着て見せたくて アジアン・ブルー(アジアの憂鬱)の シルクのドレスを手に入れました。」
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