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2016年03月23日(水) 福島県産危険論は、なぜ繰り返されるのか?

TOKIOのラーメンに「福島の小麦から作った麺なのかよ。人殺し」
 作家のツイートが大炎上、アマゾンレビューにも延焼中
(J-CASTニュース 3月22日)

アイドルグループ「TOKIO」が2年がかりで作り上げた「世界一美味いラーメン」。
テレビで試食の様子が放送されたところ、ある作家が
「福島の小麦から作った麺なのかよ。人殺し。」などとツイッターでつぶやいた。

 これがネット上で大騒動に発展し、作家のツイッターが「炎上」しただけでなく、
作家の新刊本のアマゾンレビューにも大量の批判が書き込まれた。
作家は問題のツイートを削除し、自身のブログで謝罪した。

■「自分も食べてみたい」と大騒ぎになるなか

 日本テレビ系バラエティー番組「ザ!鉄腕!DASH!! 」の企画でTOKIOが2年がかりで取り組んだ
究極のラーメンの完成が2016年3月20日の放送で報告された。
とにかく素材にこだわっていて、高知土佐清水の宗田鰹、能登の海塩、
函館の真昆布など18の材料が使われた。
麺に使われたのは福島産の最高級小麦「春よ恋」。
誰が作ったラーメンかを伏せた試食会が行われ、
麺やスープを口にした人の表情が見る見る変わっていくのを見ると、
よほど美味しく出来たラーメンだということがうかがえる。
一杯の原価が630円だそうで、仮に店舗で販売すると値段は2000円以上になるという。
ネット上では「自分も食べてみたい」と大騒ぎになるなか、あるツイートが、
こうしたお祭り騒ぎを凍らせることになる。
ミステリー作家の藤岡真さんのもので、藤岡さんは、

  「TOKIO。究極のラーメンて、福島の小麦から作った麺なのかよ。人殺し」
  「未だに『食べて応援』している馬鹿がいて頭が痛くなる」

などと16年3月20日の番組終了時につぶやいた。過去には、

  「福島の農家の皆様は、どうか地産地消して下さい。県外に出荷するほどの生産量があるのですか。
そして、ご自分のお子さんには絶対に食べさせないで下さい。
なお、圏外で生産物を目撃したら『毒入り食べたら死ぬで』シールを添付させていただきます」
  「おい、福島の百姓。放射性物質で汚染された毒作物を県外にまくな。
その前にてめえで食って死ね。もう、我慢も限界だ」

などとつぶやいたことがあり、この時もネット上で物議を醸した。

 藤岡さんの今回のツイッターには、

  「TOKIOに、そして震災で被害にあった全ての人々に謝罪すべきでは?
あなたの発言は侮辱でしかない」

などといったリプライが押し寄せ「炎上」した。
さらには、アマゾンで販売している藤岡さんの新作『死龍』のレビュー欄にも「攻撃」が始まって、
「こういうデマつぶやくレベルの奴が書いた本なので読めばわかりますが、面白いはずがないです」
  「この本を読んでいません。藤岡真という人間も数分前に知ったばかりです。
でも読む前から酷い作品であろうことは容易に想像がつきます。
そう、Twitterを見ればね」

などのレビューが出て、評価は最低の☆1つが並んだ。

「謝罪になっていない」と火に油

 こうした批判に対し藤岡さんは、問題となったツイートを削除し、
その後ブログに「わたしの言いたいこと」という記事を掲載し、経緯を説明した。
それによると、福島第一原発の爆発事故で、放射性物質のセシウム、ストロンチウム、ヨウ素、テルルが放出されたが、
「福島県の農産物の検査はセシウムのみ」であり、
「日本の食品の輸入を規制していることからある程度判断ができると思います」とした。
そして、基準内の放射性物質しか含まれていないとしても、
わざわざ内部被曝を高めるかもしれない食物は取る必要が無い。
ただし、「人殺し」「きちがい」という言葉は明らかに言いすぎであったと反省している。

 最後に

  「福島県民、TOKIO、関係者各位に、深くお詫びいたします」

と謝罪した。しかし本文中に、

  「中には売れない作家の売名行為、ステマであるといったものも散見したが、
これは嫌がらせのたぐいと思っています」

などといった文言があり、本質的な謝罪にはなっていない、と火に油を注ぐような形になっていて、

  「グレーゾーンではなかろ?安全と断言できるんだが?
何を謝罪すべきか判断する知性も持ち合わせてないのか?」

  「あなたみたいなひとがいるから風評被害は止まないんだよ。
福島の人たちが苦しんでるのに、よくそんなこと言えるよな。
あんたが人殺しだわ 作家かなんかしらねーけど、言葉選べ」

  「まるで子供だ。一作家なら中坊が書いたような言い訳しか並んでない
反省文みたいな文章よりもきちんとした謝罪文を出すのが筋だろ」

などといったことがリプライされている。


TOKIOラーメンに「人殺し」発言の作家・藤岡真氏、Twitter休止を発表(livedoor NEWS 3月23日)

ミステリ作家の藤岡真さんが3月23日、自身のTwitterアカウントを通じ、
Twitterの休止を告知するとともに関係者に対する謝罪の言葉を掲載した。

「わたしの無神経な発言が、多くの皆様を傷付けることになり、
大変申し訳なく思っております。
福島県の皆様、TOKIOの皆様、鉄腕ダッシュの関係者の皆様に
深くお詫び致します。本当に、申し訳ありません。」
(Twitterアカウント@fujiokashinより引用。3月23日3時21分投稿分。)


問題は、20日20時ころに藤岡さんがTwitterアカウントを通じ、
「TOKIO。究極のラーメンて、福島の小麦から作った麺なのかよ。人殺し」
「TOKIO。気違いが福島で米を作っている」など
立て続けに過激な発言を行っていたことに始まる。
この投稿は瞬く間に拡散され、炎上する騒ぎに。

投稿から約6時間ほどでTwitter上から削除されたが、
藤岡さんは21日朝5時にブログ『藤岡真の始の棲家』上で更なる持論を展開。
考えは変えないものの、言葉に行きすぎる部分があったと謝罪した。
しかし、投稿の削除は「隠滅が目的ではない」と主張し、
削除した文言を再掲載。騒動は更なる拡大の様相を見せていた。

「TOKIO。究極のラーメンて、福島の小麦から作った麺なのかよ。人殺し」
・「未だに「食べて応援」している馬鹿がいて頭が痛くなる」
・「福島の農家の皆様は、どうか地産地消して下さい。
  県外に出荷するほどの生産量があるのですか。
  そして、ご自分のお子さんには絶対に食べさせないで下さい。
  なお、圏外で生産物を目撃したら「毒入り食べたら死ぬで」シールを
  添付させていただきます」
・「TOKIO。気違いが福島で米を作っている」
(ブログ『藤岡真の始の棲家』3月22日公開時点データより引用。原文まま掲載。)


なお、23日3時のTwitterでの謝罪と休止告知に関連し、公式サイトでも休止を告知、
さらに問題の投稿を再掲載したブログ『藤岡真の始の棲家』も閉鎖されている。


TOKIOが自分たちで材料を調達して作った究極のラーメンは

1杯2千円以上でも食べてみたいと重いながらテレビを見つつ、

福島県産の最高級小麦粉を使ったところに、

また噛み付く反原発派が出てくるだろうなぁと思っていたら、

それは予想通りだったのですが、

作家が人殺しやキチガイという過激な表現まで使ってツイートしたことで大炎上。

この作家はこれまでにも福島にヘイトをぶつけるツイートをしており、

その都度、多くの人から批判されるものの、いつもそれらの批判を無視していたのですが、

さすがに今回は福島県民やTOKIOやファンの人達どころか

メディアも黙る超巨大権力のジャニーズ事務所にケンカを売ってしまったことに気がついたようで、

謝罪とヘイトスピーチが含まれるツイートの削除とブログを閉鎖して逃亡したようです。

作家の炎上案件に関連した記事をご紹介しますが、

福島県産危険論は、なぜ繰り返されるのか? 「『人殺し』はヘイトスピーチ」

ほとんど「検出せず」なのに…「人殺し」発言までエスカレートする背景

人気番組「ザ!鉄腕!DASH!!」のなかで、TOKIOが福島県産小麦を使ったラーメンを披露したところ、
Twitterにこんなツイートが投稿された。
「TOKIO。究極のラーメンて、福島の小麦から作った麺なのかよ。人殺し。」
「未だに『食べて応援』している馬鹿がいて頭が痛くなる」。

元になったツイートは削除されているが、
このツイートに対して「根拠を示してほしい」「風評被害を拡大するな」と批判が殺到した。
福島産の食材が紹介されるたびに起きる、既視感のある話題だ。
なぜ、問題は繰り返されるのか。

2012年以降、小麦は基準値以下

福島県水田畑作課の松浦幹一郎さんは淡々とした口調で語る。

「放射性物質の検査結果は
ウェブ上で公開しています。
ここで、小麦の数値をみると、2012年以降で基準値超えはありません。
2011年7月に広野町で収穫されたものが1件基準値を超えていますが、
それ以外はない。これが事実です。
福島県の小麦は2015年で約430トン収穫がありましたが、ほぼ放射性物質は『検出せず』です。
農家の方々も放射性物質を出さないように懸命に対策をしています」


松浦さんが指摘するように、小麦について情報は公開されている。
小麦に限らず、福島県産農産物はウェブ上で膨大な検査結果を知ることができる。

米は全量全袋調査継続 2015年産は基準値超えは0

例えば、出荷される米をすべて調べる
全量全袋調査を続けていて、
2015年産では約1046万点すべてで基準値を下回っている。
福島県の米農家や農業関係者は冗談交じりに
「いま、福島の農産物で市場に出回っているのは世界一、安全だよ。
これだけ気を使って、ちゃんと検査をしているのだから」と話すのを聞いたことがある。

「人殺し」はヘイトスピーチ 問われるべきは情報のアップデート

原発事故後、ホットスポットとなった千葉県柏市で地元農家と消費者、
流通業者をつなぐ活動をし、農業の信頼回復に結びつけた
筑波大准教授の五十嵐泰正さん(社会学)は事態をこう分析する。

「『人殺し』というのはもはや、ヘイトスピーチであり、まったく許される発言ではありません。
一方で、延々繰り返されているように、こうした人に情報をアップデートしろ、
データをみろ、風評被害だと言ってもなかなか届きません」

なぜか。

「情報のアップデートを必要としていないからです。情報は必要に迫られたら更新されます。
原発事故直後の認識で止まっているような発言が繰り返されるということは、
東京、関西、海外と福島からの距離が遠い人ほど、そのときから情報を集めなくても、
生きていけるということではないでしょうか。
彼らに風評被害だと言ったところで『買わない消費者が悪いのか』と
さらなる反発につながるだけです。
いま考える課題は、どういう発信が情報のアップデートに結びつくか、でしょう」


事実は積み上がったが、「信頼」は失われたまま

五十嵐さんは、いま、福島県の海、魚の状況を調査する
「うみラボ」の活動も支援し、継続的に福島に通っている。
そこで痛感したのが、情報のアップデートに必要なのは、
科学的に集められたデータとともに信頼される「人」の存在だ。


「ウェブ上にアップデートされた情報があるのも事実ですが、
普通は必要に迫られない限り自らデータをチェックしたりしません。
大多数の中間層はもっとなんとなく、漠然と信頼できるかどうかを決めています。
それを非難しても仕方ないのです」

「情報を自分と地続きの『わがこと』にして、信頼してもらうために、大事なのは『人』です。
いくらデータについて教えられても『わがこと』にはなりません。
自分が関心がない、あるいは必要がないと感じているニュースについて想像してみてください。
データをチェックしろと言われてもしませんよね」


科学だけではない、これは社会の問題だ

「福島産を巡る発信は、行政や専門家に対する信頼が失われた、
という前提で考えることがポイントになります」

科学的に計測し、事実は積み上がっている。
しかし、これが受け入れられるかは別の問題が絡んでくる。
さらにもう一段階、コミュニケーションが必要だ。

「残念ながら、2011年3月11日以降、混乱の中で信頼は毀損してしまった。
だからこそ、農家個人や調査する団体が、『民間』の立場でボトムアップ的に
信頼関係を構築することが大事になります」

「信頼は情報が耳に入ってくるかどうか、(情報を発信する)
この人が同じ価値観を共有しているかどうか、
人格的に信頼できるどうかで決まっていくことがほとんどです」

「多くの人にとって、すべてのデータソースにあたるより、そのほうが効率的だからです。
これだけデータが積み上がっている以上、『この人なら信頼できる』という人や活動が増えることが、
最終的に一般的な福島産への信頼につながっていくと思います」

福島産を巡る問題は、科学だけでなく、「社会」の問題でもある。
非難だけでは解決しない。だからこそ、五十嵐さんはこう強調する。

「陣営にわかれて対立しているように『見える』だけで、
中間層はめんどくさくなって結果的に関心は離れていきます。
悪い意味での『風化』です。
大事なのは、データを集める、信頼を積み上げていくという地道な活動です。
震災から5年が経っても、それは変わらないのです。
科学的には決着したと思っている人も多いかもしれませんが、社会的には何も終わっていません」


福島県の自治体や農家さんによる地道な取り組みと、

それによって得ることのできた事実というデータの裏づけ。

これらを発信して、より理解を得るためには発信者の信頼度によって変わってくるのかもしれません。

芸能人や著名人が「福島産を食べて応援」と言うたびに、

反原発派から理不尽な攻撃に晒されていたわけですが、

今回この作家のツイートが大炎上し謝罪に追い込まれたのには、

やはり福島県で10年以上続けられていたDASH村に始まり、

農業・漁業・畜産で努力する姿や、

これまでの福島に対する地道な貢献度などなどTOKIOが番組を通して見せ続けてきた

物を作るということへの真摯で丁寧な取り組みによって

得た信頼度によるものではないかと思います。

信頼している人から伝わる安心感。

福島に心無いヘイトスピーチをぶつける反原発派は後を絶ちませんが、

今回は地道に行動して信頼を得て茶の間に愛されているTOKIOだからこそ

逆に作家がボコボコに叩かれたのでしょう。

炎上した作家のようなデータや客観的事実を無視するような

私が理解できないから嫌だという穢れ思想を持った反原発派はもう手遅れとしても、

実際のところはどうなの?とか、

詳しく知らなくて分からないから怖いという人達の意識を変えていくには、

TOKIOや糸井重里さんのような、

一般の人が関心を持つ人物が間を取り持つ感じに発信することが、

これまで以上に重要になっていくのではないでしょうか。

今回は予想外の形で福島県産が注目を集めてしまいましたが、

これをきっかけに福島の地道な安全性への取り組みとか

そういったほうにも目を向けて、

根拠のないデマに惑わされなくなる方が増えてくれるといいんですけどね。









名塚元哉 |←ホームページ