イスラム国が新たな「後藤さんの音声」公開、操縦士殺害を警告(AFP通信 1月29日)イスラム教スンニ派(Sunni)の過激派組織「イスラム国(Islamic State、IS)」が、人質に取っている日本人ジャーナリストの後藤健二(Kenji Goto)さんのものとみられる新たな音声を公開し、ヨルダン政府が収監している過激派の女の身柄を29日の日没までに引き渡さなければ、拘束しているヨルダン人のパイロットを殺害すると予告した。ヨルダン政府はこれに先立つ28日、自爆攻撃に失敗して収監されているサジダ・リシャウィ(Sajida al-Rishawi)死刑囚と同国人のパイロット、モアズ・カサスベ(Maaz al-Kassasbeh)さんの交換を提案。その後、イスラム国側が示していた後藤さんとカサスベさんの殺害の期限は経過したとみられていた。 新たな音声メッセージは、イスラム国関連の複数のツイッター(Twitter)アカウントに投稿されたもの。米民間情報機関「SITEインテリジェンス・グループ(SITE Intelligence Group)」が公表した音声の書き起こしによると、「私は後藤健二。これは、あなた方に送るよう指示された音声メッセージだ」「トルコとの国境で、(イラクの)モスル(Mosul)時間の1月29日木曜日の日没までに私とサジダ・リシャウィを交換する準備ができなかった場合、ヨルダン人パイロットは即座に殺害される」と述べている。昨日の夕方からヨルダンがサジダ・リシャウィ死刑囚の釈放を決定したという一方が報じられ、釈放したとしてもISILの人質になっているパイロットとの交換らしいなどそして、ヨルダン政府が釈放を決めたのは誤報だったと情報が錯綜していましたね。そして、今朝になって新しい動画が公開。29日日没(日本時間22時ごろ)までにサジダ・リシャウィ死刑囚を釈放しないと後藤健二氏の命もヨルダン人パイロットの命もないと警告しています。イスラム国殺害脅迫 「イスラム国、過去にない対応」展開に戸惑いも?(産経新聞 1月29日)イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」とみられるグループが後藤健二さん(47)を名乗る音声付き静止画像を公開したことについて、国際テロリズムに詳しい公共政策調査会の板橋功氏は「事実なら過去にない展開。要求を繰り返すのは人質を躊躇(ちゅうちょ)なく殺害するイスラム国として異例の対応だ」と指摘する。 画像では、後藤さんを名乗る人物がサジダ・リシャウィ死刑囚の釈放を改めて要求。応じなければ後藤さんとヨルダン人パイロットを殺害するとしている。公開の意図について板橋氏は「ヨルダンに交渉の『ボール』があると強調した。引き続き、日本など友好国との関係に楔を打ち込みたいのだろう」と分析する。 殺害脅迫から短期間で人質を処刑するイスラム国が手法を変え、要求を追加して何度も声明を公開する点については、冷静な態度を変えない日本政府や世論の対応が予想外で、圧力をかける意図もあるとみる。 板橋氏は、イスラム国が日本を徹底分析していると指摘。「動向を注視し最大のアピール効果を狙っている。期限の明示も、日本のメディアを意識したものではないか。今後も冷静な対応が不可欠だ」と話した。何度も殺害予告をしながら引き伸ばしているのは、なんとしてもサジダ・リシャウィ死刑囚を取り返したいのでしょうか、それとも後藤氏をヨルダン人パイロットのどちらと交換するかという命の選択を迫ることで2つの国の友好関係に影響を与えようとしているのでしょうか。ヨルダン政府はパイロットの生存の証拠を求めているのですが、なぜ写真のみで音声すら出してこないのでしょうか。生きているのならパイロット本人に声明文を読ませればいいと思うのですが、頑なに生存している証拠を出してこないところを見ると果たして生きているのかさえ不透明で、そりゃヨルダン政府としても簡単に釈放に応じるとは思えないのですが。予断を許さない展開ですが、望み薄くてもヨルダンのパイロットが解放された時にラッキーなことに後藤氏もオマケで付いてきたという展開に期待するしかないのかもしれません。