まつや清の日記

2006年06月09日(金) 門前払いのイラク訴訟判決

 250名という大型原告によるイラクへの自衛隊派兵の憲法違反を問うた判決が今日出されました。第1項の自衛隊の海外派遣を行わない、第2項のイラクからの撤退の2つは却下、第3項の慰謝料は棄却という内容でした。

 裁判官は主文を読み上げ、判決の概略を説明しました。全国12のイラク訴訟は既に山梨、東京、名古屋、大阪で判決が出されているとのことで、ほぼ同じ内容のようです。当然にも抗議の声が傍聴席からあがりました。

 判決後に弁護士会館で集会が行われ、弁護団から詳しい判決評価が話されました。原告団事務局としては控訴を行う事が提案され、了承されました。大量破壊兵器もみつからず、アメリカ国内でのイラク戦争批判は大きく広がっています。

 日本での平和運動が改めて試される時期に入っているといえます。全世界の平和運動、特にアジアの平和運動と連携した活動が求められています。特にイラク派兵を行った韓国、オーストラリアとは。

※※裁判所の判断・概略

 一般に憲法前文は、その憲法制定の由来、目的、制定者の決意等を宣言するものであり、我が国の憲法前文も同じである。前文は憲法の基本精神や理念を表明するものであって、前文でうたわれている平和的生存権は、理念ないし目的としての抽象概念にすぎず、それ自体憲法上の権利としての具体的内容を有するものでなく、憲法9条の規定と相まって具体的権利性を備えるともいえない。また憲法13条が保障する人格権は戦争放棄や武力不行使と直ちに結びつくものでなく、憲法13条の規定上も前文の平和的生存権が憲法13条によって具体化されると解することはできない。
 したがって、「人格権としての平和的生存権」は具体的権利として認めることができず、差止請求の訴えは法律上の争訴性を欠いているので不適法である。 
 次に、損害賠償請求については、原告らが侵害された主張する「人格権としての平和的生存権」は具体的権利とは認められず、法律保護に値する利益にも当たらない。また、原告らの主張する「現実的不安を抱かされた生活を強いられることのない権利」については、その内容が明瞭でなく、人格権の一種としてこのような権利が保障されていると解することはできない。そうすると、自衛隊のイラク派遣により原告らの具体的権利が侵害されたということができず、原告らが自衛隊のイラク派遣に怒りや不安を感じているとしても、それらはいずれも政治的活動を通じて回復すべき性質のものであって、司法権による救済にはなじまない。

 よって、原告らの差止請求の訴えはいずれも不適法であるから却下し、損害賠償は請求はいずれも理由がないから棄却するものとする。


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K.matsuya

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