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| 2025年11月22日(土) ■ |
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| 『吉例顔見世大歌舞伎』夜の部 |
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『吉例顔見世大歌舞伎』夜の部@歌舞伎座
こんな四の切初めて観た…(それはそう)白鸚丈に当て書きされた役柄が胸に迫った 三谷かぶき『歌舞伎絶対続魂』(ショウ・マスト・ゴー・オン)
[image or embed] — kai (@flower-lens.bsky.social) Nov 23, 2025 at 1:22
源九郎狐が2匹(何気に一緒にくるくる回ってた骨つぎ入れたら3匹・笑)いるんですもん。笑うし。
■『當年祝春駒(あたるとしいわうはるこま)』 曲がめちゃめちゃ格好いい! 囃子方の映える華やかな演目。曽我兄弟の橋之助、玉太郎が粋よく息のあった踊りを見せてくれました。
■三谷かぶき『歌舞伎絶対続魂』(ショウ・マスト・ゴー・オン)幕を閉めるな 三谷幸喜作演出による歌舞伎版『ショウ・マスト・ゴー・オン』。オリジナルは「幕を降ろすな」で、今回は「幕を閉めるな」なんですね。『義経千本桜』を最後迄演じきれるか!?
にしても、エラいドタバタになってた……(笑)。稽古でアドリブが次から次へと出てくるので三谷さんが「ここらで止めないと」と思った、と連載で書いてましたが、それがよくわかるサービスぶりでした。幸四郎丈も獅童丈も自由過ぎる。そう見える。それでも最後は持ってかれる。流石です。
許可なき演目のパクり、舞台装置の故障、役者のわがまま……次から次へと起こる難題に幸四郎さんはずっとキエーーーーーてなってるんですが、「役者に見切りをつけて狂言作者になった」という複雑な心境が滲んで味わい深い。獅童さんも、行くとこ行くとこでトラブルを起こし続けて「田舎芝居」に流れ着いた後ろめたさがじんわり。愛之助丈の座元もいい加減(かなり・笑)そうでいて「田舎芝居」矜持を持っているのが伝わる。
染五郎丈は美形の義経役者とブサイク(…)の狂言作者見習の二役。何度も入れ替わるのでたいへん。登場時、客席から「ザッ」と音がしそうなくらいオペラグラスが上がってましたが、直後そよっとしたどよめきが起きましたよね。狂言作者見習の顔(メイク)だったので。どんな顔だったかは先日の『情熱大陸』でも出てましたし、検索すれば出てくると思います。父子の罵り合いもあり、役柄=役者として観られる面白みがあるのは歌舞伎ならでは。
特筆すべきは新悟丈! 男性(本人)が女性の役(油屋遊女お久)を演じ、その女性(お久)は(作中の舞台で)男性を演じる……というこんがらがりそうな役柄でした。これがまあ笑えて笑えて。達者だしかわいいし、贔屓としてはうれしい限り。彌十郎丈も迫力ある(笑)静御前でした。彌十郎さんが女形をやると、つい勘三郎丈との『身替座禅』を思い出してしまって、笑いつつもほろりとしてしまう。
そしてそう、白鸚丈。役がなくなったことを知ってか知らずか、ずっと出番を待っている老役者。その日の出番がなくなっても、明日はきっとある。だから稽古を怠らない……短い出番でしたが、その姿に涙した。
浅野和之(おじいちゃん!)も阿南健治(気風のよさ!)もいい仕事。てか浅野さんの扱いは色々勿体ない気もしたが、もはや狐の一部だったあの場面には拍手喝采。歌舞伎の常連客の皆さんにももう認知があるでしょうし、安心と信頼の浅野さんでした。
階段から現れ、海老反り、欄干渡り、といった「四の切」の見どころはしっかり見せてくれて(といっていいのか?)楽しかった。そして澤瀉屋の「四の切」、四代目の源九郎狐をいつかまた観たいなあ……などと思ってしまうのだった。叶わぬ夢とは知りつつも。
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二日後、片岡亀蔵丈の訃報。どうしてこんなことが亀蔵さんに起こるのだろうと、今でも信じられないし、信じたくない。こんなときでも喜劇を演じねばならない一座の心中はいかばかりか。『歌舞伎絶対続魂』(ショウ・マスト・ゴー・オン)というタイトルに苦い思い。
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