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2014年04月30日(水)
『キャプテン・アメリカ ウィンター・ソルジャー』

『キャプテン・アメリカ ウィンター・ソルジャー』(3D字幕)@新宿ピカデリー シアター4

個人的にはキャップの「おいていかれた子」な佇まいが非常にキまして、いちばん泣いたのは(と言うか他のシーンでは泣いてないわ…)彼が自分の展示を観てまわるシーンでした。アメリカの歴史としてスミソニアン博物館に展示されている自分、アメリカ人の共通の記憶としての自分。変装して博物館に来場しているスティーヴに気付いたこどもとの、言葉なき交流。あこがれのキャップのTシャツを着たひ弱そうなこどもの、驚きに満ちた瞳。微笑してシーと人差し指を唇にあてるキャップの姿は、あの子にとって宝石のような記憶になるだろう。

旧友や同僚たちは死んでいるか年老いている。当時の記憶は残ったままだ。現代の文化に適応しようとメモをとり、勉強している生真面目さがけなげにすら映る。今を疎んじている訳ではないけれど、戸惑いとある種の諦めは隠せない。ナターシャが女性とつきあえつきあえ彼女つくれとことあるごとにからかうのも、彼女なりの気遣いなのだろう。

キャップの前に現れたウィンター・ソルジャーは、スティーヴがその時代とともに生きた記憶を共有する人物だ。しかし彼はその記憶を奪われている。彼がそれらを思い出そうとするシーンの痛々しさ、そして再びその芽を摘まれていくシーンのおぞましさ。「ウィンター・ソルジャー」とは愛国兵を指す言葉であり、1971年に行われた、ベトナム帰還兵が戦争の記憶を語る公聴会のタイトルでもあるそうだ。現代でキャップと出会い、よき相棒となっていくサムは戦争の記憶に苦しんでいる。

記憶はDNAの“データ”では汲み取れない、個人を個人たらしめるかけがえのないものだ。ヒドラはそのかけがえのないものを踏みにじろうとする。キャップは、人間の尊厳とも言える記憶を守ろうとする。

…と言う訳ですっごいいいホン…と言うか好みの話でビックリした。こういう記憶にまつわる話に弱い。人間が人間であることを証明するものとして、「記憶」と「痛み」を持ってきたところに非常に感じ入りました。キャップは超人だけど要はすっごい丈夫で身体能力が優れているってだけの人間で、殴られれば痛いし銃で撃たれれば出血して動けなくなる。ニック襲撃のシーンの緊迫感もすごかったな、骨折したら痛いし身体が利かなっていくでしょう。あたりまえのことだけど。そしてサムってファルコン操縦出来るけど超人でもないしロボットのなかに入ってる訳でもないから翼をもがれたシーンはほんっと怖かった。落ちたら死んじゃうじゃん。あたりまえのことだけど。『アベンジャーズ』シリーズだけど、ハルクやソーが不在だったこともあってそういうことを思い出したと言うか…またアクション演出が素晴らしくて。テンポもいい。ニックの銃撃戦シーンは『ザ・タウン』を思い出してひいーとなってたんだけど、そもそも『ザ・タウン』がインスパイアされた『ヒート』を参考にしているとのことでした。成程。

あとエレベーターアクションがあったのにはニヤニヤしました(笑)。

そしてサムを演じたのが、『ハート・ロッカー』の“キャスリンと三人のギャングたち”(画像参照)アンソニー・マッキーで!むっちゃいい役!むっちゃいい役!うわーん!予備知識全く入れて行かなかったので、これは嬉しい驚き。登場したときスティーヴと初対面だったから、本筋に入る前のちょっといいエピソードで終わるのかなあと思っていたら!キャップとサムってお互いバディと言うか友人を失くしてて、キャップの方はバッキーとああいうことになったけど、サムはバディと再会出来ることもないだろうなと思うと…もう……(涙)むっちゃいい役きた!ファルコンのデザインもよかった、ちょー絵になる!そしてサムは普通の人間なので今後…今後どうなるか……。『アベンジャーズ』のコールソンさんのことを思い出したりして、まだ起こってないことを想像してもう泣きそう。

そうそう、サムが序盤でスティーヴにおすすめするマーヴィン・ゲイの曲が終盤に登場するのが粋でした。アナログレコードではなくiPodから流れる「Trouble Man」。