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2013年01月06日(日)
『音のいない世界で』『KYO-MEIツアー〜リヴスコール〜』

『音のいない世界で』@新国立劇場 小劇場

年末に観たかったかも…終演後「今年も終わりねえ、よいおとしを〜」とまったりしそうになった。そして未だソ連脳なので、ああいう寒いとこで貧乏でってひとを見るといろいろとブルブルする……寒くて飢えるとねこ食べたり人間のこども食べたりするんだよ(それ違う話だから)!あらゆる予感があちこちに撒かれていて、説明が多いとこと説明が少ないとこの差が激しい。判らない、知らないことは恐ろしい。予感は決してよいものではなく、表面に出て来ない不安は山程ある。そこで生きるひとたちはどう身近なひとに接するか。

創作の過程を観たくなった…これは演者はすんごく楽しいだろうなー。ちょこちょこ入ってくるモチーフにひっかかるところが多くてううーむと思ったり。世界観はすごく好き。衣裳も、美術も、四人が演じる複数の人物にも好感が持てる。

お松の歌が聴けて満足!彼女の歌声が響くと、しん、と場が清廉になる。あと近藤さんの羊がかわいかった。私が行った回にはちいさいこどもを見掛けなかったのですが、こどもたちが観たらどう感じるのかなーと思いました。来週もう一回観ます。

ちなみにこの公演の宣美は四種あったのですが、折り込みでは二種しかゲット出来なかったのね。劇場ロビーに全種置いてありました。どうぞ持ってってください〜とスタッフさんに言われたので遠慮せず頂きコンプリート出来ましたー。

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THE BACK HORN『KYO-MEIツアー〜リヴスコール〜』@日本武道館

歌が届く。声が届く、言葉が思いが届く。すごくよかった!

また音響がよかったんですよ。音量や音圧だけで押しまくるのではなく、バランスがいい。スタッフの腕もあると思います。それぞれの楽器の音がクリアに聴こえ、そのなかから歌声がクッキリと浮かび上がる。ミディアム〜スローナンバーでの山田くんの声、際立ってました。

二階席、南(ステージ正面)ブロック後方から見る光景は壮観。「美しい名前」で、ステージ上のひとつのピンスポットが、客席に向かってゆっくりと光を伸ばす演出はホントにド真っ正面で、その美しさに言葉を失う。白く細い、しかし力強い光が半円の形でまわる。真ん中から片方は真っ暗、片方は光に溢れてる。山田くん以外誰も声を発さず、音もバンドが奏でるものしか存在しないかのようでした。少なくとも自分の周囲は静まり返り立ち尽くし、音にひたすら聴き入っていて、ここに何千人ものひとがいるとは思えない静けさでした。

アッパーナンバーでは勿論すんごく盛り上がるし、大バコならではの歓声やシンガロングの大きさは圧巻でしたが、こんなに広い場所でこれだけ静かに音に聴き入れたことがいちばん印象に残った。それだけの力がバンドの演奏に、歌声にあった。そうそう、どの曲もイントロが鳴ると「わー!」てな歓声があがるのに、「美しい名前」のときだけは「おお」と思わず漏れたような低い声が会場のあちこちから聴こえて来た。やっぱり特別な曲だな。

MCがぐだぐだなところもよかったです(笑)皆さんやっぱり緊張していたようで「まだ心臓ばくばくしてる」「俺腋がつった。なんでこんなとこ…わけわかんねえ」等と言ってた(笑)。黒帯岡峰くんが武道館にちなんで東京オリンピックの柔道にまつわるエピソードを話して、それがまたいい話で皆「へえ〜」となりましたがこの話すごく長かったわ〜。すっかりくつろいで聴いてしまったよ。しかし演奏に戻った途端、あっと言う間に場はタイトな空気に引き戻されました。

それにしても静寂が印象に残るライヴだった。盛り上がってないんじゃない、静けさをも聴くと言うような、耳が離せない力のある内容だった。アンコール後、ステージ後方のスクリーンに、ツアー各地のライヴショットが映し出された。台湾、韓国でのライヴもある。これだけの本数ライヴをやってきて、オーディエンスに迎えられて、この日がやってきた。そして、東北での追加公演が続く。

そう、スクリーンがあったのです。映し出されるのはメンバーが描いたリヴスコールのイメージアート、水面等の美しい映像。そして終盤、唄う山田くんの表情と、それに続いて客席全体を中空から撮影した風景。ストイックでシンプル、ここぞと言う場面でこれだと言うものを使ってこその効果。約五年振り(もうそんなか!ついこないだな気がするわ)二度目の武道館、前回は炎バーン!とかやったりストリングス入れたりして、武道館ならではのダイナミックな見せ方を意識していたように感じましたが、今回は普段からの演奏をしっかり聴かせる構成でした。

ステージをぐるりと見下ろすスタンド席、腕を高く突き上げるアリーナ席の観客たち。これだけのひとがバックホーンを観に来たんだな。「ブンブン、埋められるかねえ…」「いや埋まる埋まるよ」等と話す。5月3日、武道館にはブンブンのメンバーが立っている。急がなくていい、5月3日でなくてもいいんだ。でも、予定は空けておく。