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2012年06月22日(金)
『南部高速道路』2回目

『南部高速道路』@シアタートラム

と言う訳でリピートしてきました。原作も読んだ。今回は南ブロックE列、入退場しやすいかと通路側をとったのだが、その通路に補助席が入っていた(笑)みしっとな。

誰がどうなる、と言うのを知った上で改めて観ると、ああ、あのときの彼(彼女)の言動が彼(彼女)に影響を与えていて、ここに繋がるんだ、と言うのがより見えてくる。勿論一回観ただけでもそれが伝わるように作られているが、舞台では結果が出たとき「ああ、あのときの」と思い返して確認したくても絶対に巻き戻しは出来ない。それが醍醐味でもあるのだが。

最初に自分の持っている食べものをひとにあげよう、と行動したのはグロリアだった。いろんな申し出を断り続けていたバスの運転手が、それを初めて受け入れたのはグロリアからゼリーを貰ったときだった。ワーゲンの彼は無邪気に食べる。だからワーゲンの彼女は理不尽に高い食べものを買ってしまう。レガシィのふたりの親密度、デリカのふたりの気持ちの距離。トラブルが起きる前、デリカの彼女にミニカの女性は亡くなった自分の娘の姿を重ねる。マーチの彼は自由に時空を往来する。

実のところ、それが確認出来たから何か大きな謎が解けるとか、そんなことはない。でもリピートしたのは、あの登場人物たちにもう一度会いたかったからなんだ。毎日二時間(あるいは四時間)だけ世界に存在する登場人物たち。毎日生まれ、毎日崩壊する共同体。今では芝居がハネて(書いてるのは千秋楽の翌日)、もうどこにもいないひとたちだ。わーさびしい、あのひとたちはもうどこにもいない。でも、観客ひとりひとりの「この一歩、の中に、ぜーんぶ入ってる」と思えば、いつかまた会えたりすることもあるかも知れない。

とポエムっぽいことを書きつつ現実的なことを言うと、SePTのこのシリーズ…『エレファント・バニッシュ』にしても『春琴』にしても、ワークショップを重ねて小説を舞台に立ち上げた作品は再演されているので、この『南部高速道路』も再演があるのではないかな…と思っています。て言うか再演してほしーなー。また観たいよ、また会いたいよ。

ところでここで、千秋楽後に気付いてこの作品により愛着が生まれた話を。THE SHAMPOO HATの春の公演『一丁目ぞめき』で、赤堀さんがやった役は「今度バスの運転手になるよ」と言うのだ。日比さんのツイートを見た赤堀さんがブログに書いていた。そ、そうだった……!!!あのお兄ちゃんがようやく就いた定職、その仕事先で…そしてその様子を弟が見にきて……なんて妄想するとこれがまたうわーんてなるのよ!あああ、あのお兄ちゃん今頃何してんだろ。