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| 2011年11月06日(日) ■ |
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| 『ROCK OF AGES』 |
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『ROCK OF AGES』@東京国際フォーラム ホールC
いやはや楽しかった、80年代をリアルタイムで通過している世代にはたまらんもんがありました。
如何に当時のアメリカのヒット曲が日本国内に溢れていたかってのを思い知らされましたわ。MTVも地上波でやってたし、CMに起用される曲も多くて街に溢れていた。そしてそこで気付いたのは、個人的には自分てつくづくイギリスのバンド好きだったんだなあと…(笑)これあんまり自覚してなかったんだけど。アメリカのロック、ポップスって、積極的に探さなくても自然と入ってくるものが多かったんだなーと改めて思いました。
それはともかく、西川さんもカーテンコールの際話していたり、スズカツさんがパンフレットで言及されていたように、この作品は所謂ジュークボックスミュージカル。ストーリーのつじつまが合わないところがあったり、使用楽曲の歌詞がそのまま台詞に繋がったりする唐突さ等「曲に馴染みがあり、歌詞もある程度知っている」観客にはとても楽しいが、そういうものを期待せず観に来たひとからするとなんだこりゃ?となってしまう、と言う印象は確かにありました。日本語で上演する難しさもあります(訳詞は『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』でおなじみ北丸雄二さん)。そして楽曲が楽曲なので爆音でないとショボい。その辺りはいい感じでしたが、そうなると歌詞が聴き取れないと言う…ロックミュージカルって本当に難しいなあと思いました。スズカツさんのテキストもパンフレットを買ったひとしか読まない訳ですしね。読んだとしても言い訳としてとってしまうひともいるだろうし。それにしても「スズカツが上演台本をこうしたんだろう!いや違うんです!」の辺り、これ迄どんだけツッコまれたかを窺わせるわ…「(今回は)違うんです」と言いたいのか(涙)。いいじゃん気にすんなよ!これはスズカツさんが構成を名乗る限りずっとついてまわるでしょうよ。険しい道を行くのね〜そう決めてるんだしいいじゃない。
しかしいちいちこう説明して迄も日本で上演したかったのだと思います。西川さんの言葉にはその思いがひしひしと感じられました。それだけの魅力がある、それを日本でも伝えたい。チャレンジの連続だったと思います。
で、前述の課題をこういうものだと納得してしまえば(あともともとミュージカル好きなひとってそこらへんの了解も最初からあると思う)全然オッケー、とても楽しめる。何しろ楽曲がポップでゴキゲンなものばかり。リアルタイムでこれらのナンバーを知らないであろう若い子たちも結構いましたが、いやはやそういう子たちは対応力が鋭い。西川さんのファンの子たちが多かったと思いますが、なんと言うか西川さんあればこのひとたちあり、と言うか、すごくいいヴァイブなんですよ。陽性と言うか。いい子たちだわー。リピーターも多かったのでしょう、日本初演にも関わらずシーン毎の反応が早い。この観客の反応がステージ全体の盛り上がりを左右していたところもあったと思います。いい関係。
そしてこれは大きい、あたりまえのことかも知れないが案外そうでなかったりもする、キャスト全員歌がいい!ミュージカル畑のひととポップ、ロックアーティストの混成チームですが、ロックナンバーを唄うキャストとストーリーを進行させるための「言葉をはっきり伝える」楽曲を唄うキャストの配置が絶妙でした。そして要所要所は、芝居も歌もしっかり出来るひとが押さえている。MCよろしくステージ全体の進行を仕切る川平さんは開演前のアナウンスから大活躍。なだぎさんもよかったー。いやはやいい座組。そしていいものが聴けるといい反応がある、観客も正直です。
スタッフとキャストの熱意が感じられる、好感の持てる作品でした。そしてスズカツさんはホント愛される演出家ですね、うふー。カーテンコールも楽しかった、消〜臭〜力〜♪も聴けたし!(笑)楽しい東京千秋楽でした。
最後にひとつ。「正しい行為」はひとに言われて決めるものではない。でも、自分は正しいのだろうかと迷い苦しんでいるひとが「あなたは正しい!」と声をかけられることはどれだけの勇気と励みになるか。声をかけるかかけないか、自分で決めるか決めないか。そこがパンクとの分かれ目かな。
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