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2011年10月09日(日)
『ウエアハウス[circle]』2回目、DCPRG『ALTER WAR IN TOKYO』レコ発

演劇集団円『ウエアハウス[circle]』@シアタートラム

2回目。当時ザズゥシアターで物販されていた『ウエアハウス vol.1』『ウエアハウス vol.2「地下」』の上演台本を読みなおしてから観たのですが、いろいろ思い出すところがあり、新しく興味を持ったところもあり。千秋楽にもう一度観に行くのでそのときに。

物販が増えてた(初日もあったっけ?気付かなかった)、『ウエアハウス[circle]』の上演台本も売られてたー。Tシャツと上演台本をセットで買うとポスターがつきおトクです(笑)。

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帰宅後掃除洗濯をして仮眠とってたら雨音で目が醒める。ま、また雨かい…やっぱり丈青が雨男としか思えない。ソイルもJ.A.MもDCPRGも、丈青絡みのバンドのライヴに行って雨降らなかったのって一割もないよ……それとも関東甲信越に限るのか?関西とかでは晴れるのか?

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DATE COURSE PENTAGON ROYAL GARDEN@LIQUIDROOM ebisu

『ALTER WAR IN TOKYO』レコ発パーティ。久々のオールですがな、みるく以来とかじゃないんでしょか(追記:そういや『AMERIKA』リリース時にもあったわ、行かなかったから忘れてた…他にもイーストやら何本もありましたね、失礼しました)。23:59開場開演となっててなんなんだと思ったが、10月9日が丁度DCPRG再始動一周年なんですよね。もともとこの日のリキッドは普通に他の公演があったので、それが終わってからセッティング替えして開場と言うブッコミよう。どーしても9日開演にしたかったようです、プロデューサー高見さんが(笑)。菊地さん事前のトークイヴェントやらピットインやらで無茶なブッキングー、俺のせいじゃない!とか言ってましたが大丈夫、リキッドはそういうの慣れてるから!いつもライヴには菊地さんが名付けたタイトルがあるところ、今回それもなかったのでいろんな思惑を感じないでもなかった。それはそれでいいのですが。そういえば「東京JAZZでは菊地成孔DCPRGって表記になってるけどこれはわかりやすくするために今回はそうしますって言われたんで!」とかも言ってたなあ(笑)。ここらへんの菊地さんと高見氏のコンフリクト(このインタヴューがいろいろヒントになる。『HMV ONLINE:【インタビュー】DCPRG 菊地成孔』)は今後注目しておいた方がよさそう、どう転がるか…。

しかしなんというかこういう状況は燃える(笑)。菊地さんも喧嘩腰でしたからねー。このひととリスナーの関係性みたいなものが現れているような気がしないでもない。いつでもどこでもそこに音楽があるのなら最大限のもてなしをするよ、と言う。それだけのメンバーをこっちは揃えてるぜ。このことが解っているのでハードコアなクラウドが集まるのだ。菊地さん本人も客入りについて牽制していたし、正直こちらもちょっと心配でしたが、蓋を開けてみれば満杯でした。

あとあれだ、普段はフロントアクトのあとに3時間前後のライヴやられると帰路が気になるんだ。電車大丈夫かな、とか。夜中はそーいうーことを一切気にしないで没頭出来るのがいいよね…逆にライヴ終わった頃には電車も動きはじめてて丁度いい(笑)。

しばし2FでCRYSTALのDJを聴きつつ待機、準備が出来た1Fから呼び出しがかかる。大谷くんのDJです。ピッチの高い「あたりまえー」と声が鳴ればそりゃあその前につくのは「調子悪くて」だろ、VIBRASTONE!と思っていたらブッツリ切ってしばしの沈黙(ホントはここスムースに繋ぎたかったんじゃないのか・笑)しかし続けてドロップされたのは「ジェットコースター」だ!ギャー!おおお、やっぱいい…やっぱ名曲だ……。前日タモリ倶楽部に近田さん出てたなそういえば(笑)。まだまだ元気でね!

そういえばステージ上はもうDCPRGのセッティングになっているけどMAX TUNDRAはどこでやるのんと思っていたら、DJブースの隣でライヴがスタート。こーれーがーよかった。ええ、このひといつもこんな感じなの?BEN FOLDSのTシャツ着用でちょーアッパーにピアノ弾くピアニカ弾く機材いじる演奏と関係ない妙な動きをする、そして顔がBOBAさんに似ている。強烈なキャラクターでチャーミングな曲を連打連打。そういえば演奏前の挨拶が「コンニチハ、ワタシハ、スーザン・ボイルデス」だったよ。ツカミもオッケーか。「キクチサン呼んでくれてありがとー」とか言ってたわ。彼目当てで来てたであろう子たちがブースに殺到、笑顔で踊りだす。自分を含め多分初見だったDCPRGリスナーも「なに、オモロい!」てな感じか、フロア全体が蠢きだした。いやーこれはいい対バン…ちょっと天才マタバくんを思い出すブッキング…と言うか映画美学校な感じか。異種格闘技戦なんだけどこれの噛み合わせはよかったなー、アガッたわー。
(追記:と書いてたら、MAX TUNDRAはティポグラフィカの大ファンだったそーです。異種格闘技戦でもなかったか。いい共演だったよー!)

その熱(とざわめき)冷めやらぬフロアに間髪入れず登場したDCPRG。オバマ演説からカオスな滑り出し、ゴリッゴリの「ジャングル・クルーズ〜」でスタート。

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セットリスト

01. ジャングルクルーズにうってつけの日
02. CIRCLE/LINE
03. New York Girl
04. CATCH22
05. PLAYMATE AT HANOI
06. 構造I(現代呪術の構造)
encore
07. Duran

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オバマ演説をCDJでズタズタに、は一年前の野音の初っ端に落とされた新生DCPRGの爆弾かつ航路でしたが、今回そこにアミリ・バラカ a.k.a. リロイ・ジョーンズが加わりました。オバマとバラカの関係性については、検索するといろいろ出てきます。これは先日のロスト・クインテットで初めて披露したのかな?うわあすげえ殺気、おっかねー。DCPRGでの菊地さんのドレスダウンは見ていて毎回面白いのだが、今回バリッとスーツだし!Tシャツじゃないし!ハーフパンツじゃないし!なんですか晴れの舞台ですかと言うより完全に戦闘態勢です。こえー!

そこからはもう気が狂いそうなどハードコアポリグルーヴファンクの連打。途中フロアで誰か倒れたらしく、一部のひとがステージに手を挙げて必死にアピールしていたのを坪口さんが気が付いて、菊地さんに知らせてくれたのね。そのとき菊地さんが初めてフロアを振り向いて、セキュリティに指示を出したついでにクラウドに向かって軽く手を振ってやっとひと息つけたんだけど、ここ迄の緊張感と言ったらなかったよ。そしてそれも一瞬、すぐまた吐きそうな程濃厚なサウンドでフロアは満潮。窒息しそうだ。

セッティングがこれ迄と違っていたのであれ、とは思ったのです。下手ギリギリに位置していたホーンがドラム、パーカッションとコンダクターの間に入ってる。しかもいつもより譜面台の位置が高い(特に研太さん)。よって田中ちゃんは手しか見えない、しまった…今回田中ちゃんとアリガスを重点的に見る予定だったのに。と言うのも『“ALTER WAR IN TOKYO” DCPRG 2010/10/09〜2011/06/06 ライブドキュメント』での菊地さんのコメントをサさんから聴いて(『ウエアハウス』と同日で行けなかった)、腑に落ちたところがあったんですね。曰く「曲の構成をちゃんと憶えているのは俺とアリガスと田中ちゃんの3人だけ」。ソリストは基本インプロですしね。「前期のリズム隊には言いにくかったんけど、今のふたりは若いから『全部憶えろ』って言える(笑)」。生徒さんだしね……だーかーらーあんななんだー!田中ちゃんを鍛えてるもしくは田中ちゃんに任せてるように見えたのはそういうことだったのか…ものっそい納得した!

そこでハッとしたのは、一年前野音で初めて新編成見たとき「今度は田中ちゃんのソロも聴きたいわ」なんて思ったけど、それは基本無理な話かも知れんと言うことであった。千住くんはソリストとして招聘されてるんだわ。田中ちゃんは屋台骨としての面が強いんだわ。……と言うことは、彼とアリガスがいなければDCPRGは演奏出来ない訳ですよ。ちょーーーーー重責!すみませんこれからは教順さんと呼びます…と言いつつ田中ちゃんて言っちゃうけどな……。

そんな訳で田中ちゃんの献身っぷりを、襟を正して聴かせて頂きました。すっごい大変!涙ぐましい!これからも宜しくお願いします……!アリガスもね!このふたりと菊地さんが言葉なしで会話しているのを見るのはスリリングでゾクゾクします。

話が随分逸れた。上記のような話を聴いたあとだったので、今回皆さん譜面もコンダクションもガッツリ見てるところにああこれ迄とは確実に違う、と思って……そしたら展開がすげえ変わってた。レコーディング中とのことなのでいろいろ試してる最中なのかも知れない。「CIRCLE/LINE」を「HARDCORE PEACE」に繋げずアミリ・バラカの声からソフトランディングさせたところで「うわあ今日から新章だ」と確信、これは楽しく聴いている場合ではない。

そこから「New York Girl」〜「CATCH22」と怒濤の新展開。CDJのスクラッチをリズムトラックとしてより効果的に使っていたり、コンダクションの威力も増している。統率力を前面に出してきた。ユニゾンパートがガッツリ仕込んである上、展開が変われば当然ソロも変わる訳で、ガラリと違う様相のソロが沢山聴けて腹いっぱいでした。研太さんの循環呼吸使ったソロ盛り上がった!そして高井くんのソロはマジでいい!マイルスのナンバーを2曲やったこともあり、類家くんのたっぷりとしたソロも堪能出来ました。

そして出音が相当デカかった。DCPRGで耳ヤラれたのって初めてかも。7月のリキッドでデカいと言われた坪口さんの音がときどき聴き取れなかったり、丈青の入りも見てないと気付きづらかったりする程。田中ちゃんの前に位置していた高井くんが終始耳を押さえたりモニタの音上げてくれとサイン出したりしてたので、初めてのセッティングに試行錯誤してる面はありそうでした。しかしこういうのはすぐに改善されるから、今回観たのはある意味貴重。そういえば丈青の機材が増えてたな、エレピだけじゃなくなってた。レコーディングにも反映されてそう。

そんな訳で演奏はキレッキレであり乍らいっぱいっぱいと言う珍しいものが観られました。てかこれ、プレイヤーが彼らだからいっぱいっぱいなのにキレッキレでいられるんだよね…こんなギリギリな世界、寿命が縮むわ。皆身体はだいじに!健康でいてください!

はー、こういうことがあるからDCPRGのライヴは見逃せない…セットリストだけ見ると「毎回一緒じゃん」て思うかも知れないけど、全然違うんだよ……。あ、あと千住くんのソロがどんどん長くなってるよ…サさんの後ろの女の子がソロ始まったとき「キター!キター!」、あまりに続くので「長ッ!長ッ!」と連呼していたそうです(笑)。しかし今回ばかりはいつも涼しい顔の千住くんが真顔になっておったよ。

アンコール前にべらべら喋る恒例のコーナーもなし、声を発したのは「我々の名はDATE COURSE PENTAGON ROYAL GARDEN」と名乗りをあげ、続けたメンバー紹介のみ。今夜のリキッドは戦場でしたね……。まあそこで大村くんのことを木村と呼び間違えて(しかも間違えたことに全く気付いてない)ズッコケたのだが。ある意味期待を裏切らない。そして「Duran」のとき明らかに振付けな踊りを始めたので何だ…?と思ったら、あれ少女時代の「MR. TAXI」だそうです(爆笑)思わずYouTubeで確認しちゃったよ…ホントにそうだった、最高。

興奮気味のアンコールの声がやまなかったがこれ以上はないよ、甘いものもないよ(そーです久々に「MIRROR BALLS」をやらなかった。それで『Frantz Kafka's AMERIKA』リリース前後の不穏さを思い出したのだが、そもそもがDCPRGは有事に現れるバンドなので、不穏が「あたりまえー」ですね)、と言う訳で大谷くんが出てきて1曲まわしおひらきです。明け方と言う時間帯を差し引いても、嵐のような3時間弱にただただ呆然。

そーうーだーよー「我々の名はDATE COURSE PENTAGON ROYAL GARDEN」だ。菊地成孔はDATE COURSE PENTAGON ROYAL GARDEN主幹だった。いろいろ考えちゃって帰宅後第一期の頃のクイックジャパンの特集とか読み直しちゃったんだけど、主幹って言ってたよねー。戦場にいる音楽家がいつでもどこからでも必ず生還出来るよう、リスナーはひたすら祈るのみです。