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2011年10月07日(金)
『RED HOT CHILI PEPPERS LIVE: I'M WITH YOU in Theater』

『RED HOT CHILI PEPPERS LIVE: I'M WITH YOU in Theater』@新宿バルト9 シアター8

ギリギリすべりこみ。客入りが…と言うのを聞いており、“レッチリ”ですらか…といろいろ考えたものですが(ここらへん後述)、最終日だったこともあり結構入ってました。ひとがそれなりに入るとフィルムコンサートのような盛り上がりもあり、あちこちで拍手が起こったりちいさな歓声がとんだりと楽しかった。実際何度も腰が浮きそうになりました。やっぱりいいライヴバンドだなあ。以下おぼえがき。

いや何がビックリって、アンソニーほんっと歌上手くなったね!それなりにRHCPのライヴ観て+聴いてきているけど(ライヴブート盤をいちばんアホ程聴いたバンドです。これを抜くバンドは自分にはもう現れないと断言する)、ライヴだとこっちも舞い上がってるもんでそんなに気にならなかったりして、後日音源聴いてあれれ…となったことが何度あったか(笑)。ところが今回は全くあぶなげがない。声出てるし、安定してるし。ピッチもしっかりしてる。もともとが美声だし、鬼に金棒ですわ。とうとうここ迄…ここ迄来たか!と感慨深くなる程ですよ!いやほんっとこのひと陰で努力してる!で、それを指摘されるの大嫌い、きっと!あーほんっと難しいひとだわ。なんだかんだで落ち着いたなーと思うし、「感性の美しい発言(@kaollyさん)」は健在だけど、ライヴとなるとあんた何かキメとんのかとギョッとするような目をしますね…あーこのひとはホント信用出来ん、今迄が今迄だけに。きっと一生安心して観ることなど出来ん。だいすきー!(バカ)

そんなアントワンが「(18歳の自分に向けて)もっと自分をだいじに、身体をだいじに、あんまり無茶をするなよ」と言っていたのにはもう…実感ありすぎまくりで涙ぐみそーになりました。どんだけ痛い目見たのかって言うね……。

そしてこのアンソニーの歌の強さがフルシアンテ在籍時に間に合わなかった(最後の方はなんとか…くらいだが)ことを嘆くのもありだが、個人的にはこのファクターがRHCPの未来を照らすものだと思いたいです。そしてそれはフルシアンテとともに歩んだ年月から得られたものだと言うことも心に留める。安定や平和や幸福、これらがいつでも長続きしないバンドだと言うのも了解しています。どんな姿も見届けるし聴き届けるんだー。

いきなりアントワンの話から始めましたが、内容的には新譜とジョシュのお披露目と言ったものです。もともとは『I'M WITH YOU』リリースに合わせて生中継された映像。ドイツの会場で、新譜のナンバーをアルバムの曲順通りに演奏する。「(生中継だけど)劇場公開用にも撮ってるから」と、機材トラブルがあったらしい「Did I Let You Know」は二回演奏。劇場公開映像でも両方のテイクが使われてますがな(笑)。サマソニから二週間ってとこで撮られたものですが、サマソニのときはどうこう言える程こっちが落ち着いていなかったので、ようやくジョシュをちゃんと観た感じです。ああ、こういう子だったんだー、こういうギターを弾くんだなー。この子がこれからRHCPのギターなんだ、と改めて思いました。

フリーが「緊張してる」「新曲ばかりだから」「殆どが初めてひとまえで演奏する曲」と何度も言い、曲間になると終始手首を動かしてリラックスしようとしていたところからも感じられましたが、このバンドは常に豪傑な顔の裏に繊細さを潜ませている。ライヴ前にインタヴュー映像もあったんだけど、そこには終始穏やかな空気が流れていました。ここ10年程で見せるようになってきたこんな姿は、年齢による落ち着きと、それによって肩肘を張らなくてよくなったことからくるものなのでしょう。フリーとジョシュなんて父子のようだったけど、静かで穏やかではにかみやさんみたいなジョシュはバンドの繊細な面をよりひきだしてくれそうな期待がもてます。

『I'M WITH YOU』はとても好きな曲がいっぱい入ってる。と言うか好きな曲ばっかりで、アルバムを通しで、とばさず何度も聴ける。長年聴いているバンドの新譜が、メンバーの入れ替わりとか、その背景のあれやこれやを気にせずとも、一聴して「好き!」と思えるものばかりなんて、とても幸せなことだなと思いました。ライヴでも映えるナンバーばっかりだった。そして最後には「Me and My Friends」「Give It Away」をやってくれたのも嬉しかったな。思わず「おお!」と声が出た。ピアノ入りの「Give It Away」なんて初めて聴いたよ!

そんなこんなで演奏を堪能。ドイツのファンの姿も微笑ましい。『PJ20』を観たときにも思ったけど、好きなバンドの話をするファンの姿ってホントかわいらしい。そして、こんなファンがいるバンドを自分は好きなんだ、とちょっと嬉しくもなるのだ。

時差の関係もあり、生中継が叶わなかった日本では9月下旬から二週間限定での公開となったこの作品。新譜リリースからは時期がずれ、チケット代が高い(何故2,500円…)+バンドヒストリー的な内容ではないのでバンドにちょっとだけ興味があるひとからすると敷居が高い。洋楽不況の昨今、“レッチリ”だからこの規模で公開出来たのだとは思いますが、だからこそもっと気軽に観られる環境があればよかったのにとは思いました。うーん難しい。『PJ20』も苦戦は必至(つうか日本での知名度からしてなんでこんな規模で公開してくれるのんと逆に狼狽してます)。少しでも興味を持ってくれるひとが増えればいいな…そのきっかけには何が必要なんだろう。