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2011年08月29日(月)
『LIQUID R/U/U/M』

『LIQUID R/U/U/M』@LIQUIDROOM ebisu

LIQUID R(ei Harakami)U(lrich Schnauss)U(-zhaan)M(abanua)

なイヴェントだった訳ですが、ご存知のとおり(やのさんの言葉を借りると)ひとり都合がわるくて来られなくなりました。そもそもはサマソニでyanokami観られなさそうだからせめてソロを、ととってたチケットだったのですが。代打としてかAUTORAとagraphが追加。こんな形でAUTORAを観る機会が巡ってくるとは…今迄なかなか日程が合わなかったんだよね。嬉しいけれど複雑な気分ではあった。

何故か山手線が遅れており、トップバッターagraphはちょっとしか聴けなかった。序盤ハラカミくんの「unexpected situations」を演奏したそうですガーン。VJ綺麗だったー。

AUTORAは二番手でした。アキヲさんと高山さんのユニットですが、ライヴはふたりでのセットとバンドセットがあるとのこと。この日は高山さん(Electronics)、アキヲさん(B)、neco眠るの森くん(G)、BOGULTAのNANIさん(Drs)からなるバンドセット。Visualはcatchpulseさん。つーか森くんのギターが森くんの音だった!一度聴いたら忘れられないあの音だった。なんてえの、ペカペカッとしてるけどちょっと気持ちわるい気持ちよさ(なんだそれ)の、サイケなあれですよ。わー説明出来ん、neco眠る聴いたことあるひとなら判る筈ー!(まるなげ)AKRON/FAMILYのギターにも通じる…って、こないだのAKRON/FAMILYの来日公演、森くんセッションバンドで出てたわね。

閑話休題。そう、森くんのギターがまんま活きてたんですよ。これにまず驚いた……。で、そのギターとNANIさんのドラムのリフが続けば続く程アガるって言う。

アキヲさんのベースもモリッとしてるのに優雅ささえ漂う音源とは違う肌触り。ガッツリバンドサウンドです。高山さんがキュー出しも務めておりました。構成としてはまず高山さんがリズム出ししてテンポ決めて、そこに生演奏でリフを載せていく感じかなあ。それが重なっていくとジワジワグルーヴが出てくる。いーやーよかったよう。バンドセットとふたりセット、両方のライヴ盤CDRも買えたし聴き比べよー。

続いて初顔合わせと言うU-zhaan × mabanua。タブラのチューニングタイムが一曲毎にあり、間がもたない(笑)。この日誕生日だった(おめでとうございます)mabanuaは演奏は格好いいのにしゃべるとしどろもどろでした。年長さんのU-zhaanがドS振りを発揮して、mabanuaをいじったり放置したりとひどい仕打ちでしたが、途中「リハでは『mabanuaくん楽しいね!』って言ってたのに…」「U-zhaanさんがドSなのはよく判りましたよ」なんて反撃されてちょっと動揺してた。ははは、グダグダです。いいコンビ。

しかし演奏となるとグダグダからは程遠いぜ。リハは一週間程だったそうだけど、基本は即興だったのかしら。U-zhaanがタブラとアルトホルンのリフをリアルタイムで重ねていってループさせて、そこにmabanuaがリズムパターンを載せていき、そこにまたタブラの音階でメロディーを載せて…と言った曲があったりでどんどん展開が変わり、スリリングな楽しさ。フロアもどんどんあたたまる。MCとギャップがあり過ぎる(笑)。終盤そのグダグダなMCでふたりのなれそめを話してくれました。ハラカミくんがふたりをひきあわせてくれたそうです。mabanuaが退場し、残ったU-zhaanが「スペシャルゲスト、レイハラカミ」と早口で呟いた。「Red Curb」のトラックが流れ出し、タブラを重ねていく。

おお、共演が聴けた。今回のイヴェント、追悼の言葉はアナウンスされていたけどハラカミくんの名前が最後迄消されず、何かするのかなとは思っていたのですが、これは嬉しかったな……。余計なお世話だけど、ちょっとU-zhaanのことは心配でもある。秋口くらい迄フェスやイヴェントが続き、harakami × U-zhaanで出演するものがまだいくつかある。U-zhaanはひとりでステージを務める。一段落ついたときガクッとこなければいいけど。演奏が素晴らしければ素晴らしい程そう思う。

U-zhaan退場後、二面のスクリーンにハラカミくんが映し出された。松本でのライヴの様子で、演奏前のぐだっとしたしゃべりも流してくれた。あー、このハンドマイク持ってのしゃべりがこんなところで観られるとは。機材を置く台が低くて「低っ!!」「腰痛くなりそう。こないだね、朝イチで、ちょっともの拾おうと屈んだだけでギックリ腰になったんですよ……35過ぎるといろんなところに一気にガタがきますよ〜」。フロアから飛んだ声に応えて「何言うてますのん」。屈託のない笑いとぽろりと出た関西弁。演奏が始まる。「river」だ。いつにも増して猫背になった彼の姿が映る。フロアが静まり返った。

ふわりと音と映像が消えていった。大きな拍手。主催者の粋なはからいに感謝。

そんな訳でなんだかすっかり追悼イヴェントみたいな雰囲気に。ウルリッヒさんの来日公演なのにこれはちょっと…やりづらいんじゃないかなと思いはしました。んが、ウルリッヒさんはそんな空気をものともしなかったぜ。80分間世界一周セット(VJ含)!ツンドラから砂漠迄!ひんやりとした音からスタートし、砂嵐のようなノイズを爆発させた終演迄あっと言う間にもってかれました、釘付け。と書くとサウンドデザインの妙で聴かせるみたいだけど、メロディもいいんですこれが。ウルリッヒさんのこと全く知らずにこのイヴェントに来たけれど(ごめんね失礼)、いきなりライヴで観られたのはよかったなあ。アルバムも聴いてみよう!ご本人は痩身で穏やかな感じの方でしたが、小さな機材をぽつんと置いただけのまっさらなステージにひとり立ったその存在感はとても独特。

惜しむらくはお客がそんなに多くなかったことか。時間が経つにつれ、時計を見乍らフロアを出て行くひとがぽつぽつ。時間の感覚がなくなるような幻想的なライヴでもあったので、私も途中ちらっと「どのくらい時間経ってるんだろう。終電大丈夫かな…」と思ったのでした。終演は23時過ぎだったけど、月曜日だったからね。前日のSuperDeluxeの方が沢山ひとが来ていたのかも。

と言う訳で結構な長丁場、ひとりでぼへーと観ていたら隣のひとが声掛けてくれていろいろお話出来たので退屈することもなく楽しかった。ウルリッヒさんを観に来ていたひとだったのでライヴ前にどんな音か教えてもらったりしました。話すうちめっちゃ歳下なことが判明しオロオロしたよ!いい子だったー、有難うございました。