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2011年07月03日(日)
Music for Cloudbusters(『クラウド』千秋楽、『オール電化フェア』)

『クラウド』@青山円形劇場

千秋楽、Bブロック。

・opの照明、ホント綺麗だなー。今回のキーカラーになっている青と、LED使いのような白。光があたるだけで場全体があの色に染まる瞬間は何度見ても鳥肌がたった

・オガワさん、エンドウが来るとすぐ断線するのな…「本当に食べてるんですか?」とエンドウが言ってきたら「どうかな」とラインを放り投げる

・台詞にもちょくちょく出てきますが、登場人物たちの物理的距離が非常に「近い」。顔を近付けるにしても、身体を寄せるにしても。スズカツさんは役者の自主性に任せるひとだと言うのは有名な話だが、あの「近さ」は他の(と言うか最近のスズカツさんの作品を含む)芝居ではあまり見られないものだ。役者たちが自主的に近付きあったのだろうか?

・それにしても今日は役者さんたちの熱気がビリビリ伝わって怖いくらいだった。浩介さんがあんなに泣いたのも初めて見たし……マチネ公演で、外の暑さが劇場に迄しみ込んできたかのようだった。トモロヲさんも粟根さんも汗だく

・で、アドリブコーナーが10分は長くなってたんじゃないでしょうか。門人くんが定期預金と言うものを知らなかったことに客席全体がざわめきました(笑)いやあ、いい子だ…幸せになってほしい……

・幸せになってほしいと言うのはウサミにも通じる。潰れる心配のない職場勤務で、そこそこ悪くない給料もらって定年迄うまくたちまわって、楽しみは老後に。そのプランは多分一気に崩れた。呑気で素直ないいキャラクターだけに、知らないでよかったことを知ってしまったのは正直可哀相だとすら思った。彼がその後どう生きていくのかは気になっている

・もうお楽しみとなりつつあった門人くんかわいがりのコーナー(笑)は浩介さんも参加。役柄上、入り方と離れ方、切り替えが難しいだろうなと言うシーンですが、自然にふわーっと入ってきましたね。ウケた反面唸った、何あの自然っぷり

・と言う訳でヨタロウさん以外の4人のエグザイルぐるぐる(これホントはなんて言うダンスなの?)と言う貴重なものが見れました(笑)

・オガワのシーンから完全暗転、イタバシの顔が電源を入れたiPhoneの灯りで浮かび上がるシーン。これ20年前だったらタバコに火を灯すためのマッチかライターの光だったのかなと思ったりした。話逸れるが先日『欲望という名の電車』観たとき、ロビーにわざわざ「この作品には喫煙シーンがあります」って張り紙があったことに驚いたんだ…そういう世の中。でも今回の、iPhoneを灯りとして使う演出はストーリーにもドンピシャだったしとても印象に残る好きなシーンだった

カーテンコールは3回。1回目の正面はトモロヲさんだった。このひとがこんなに感極まった表情をするのを初めて見た。2回目でキャストが中央に集まり輪になって手を寄せあい、その後握手をした。皆いい顔をしている。平均年齢50は行ってそうな(門人くんがひとりで下げているが・笑)いい大人たちが、カーテンコールでこんな仕草、こんな顔をするなんて。こちらも胸が熱くなった。それ程手応えがある作品だった。本当にいいチームだったんだ。

3回目でキャストが客席にいたスズカツさんを呼んだ。ステージにあがってきてと言うジェスチャーをしたが、スズカツさんは席を立ち、その場でゆっくりと頭をさげ、あとはあなたたちで、と舞台上に手を挙げた。

考えるな、感じろ。なんてものを観ることが出来たんだろう。感謝しかない、感謝。感謝。本当に有難うございました。

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これからweb上で公開される上演台本パンフレットに載っているかも知れませんが、劇中使用された曲について自分の判る範囲だけ書いておきます。歌詞にも注目。ヒントが沢山隠れています。他にご存知の方いらっしゃいましたら教えてくださいな。今後も判ったものから書き足していこうと思います。

追記:ダウンロード出来る楽曲ファイルに直接リンクを張った方がクラウドらしくていいかな、と思いましたがアルバム(CD)の方にリンクを張りました。mp3よりはいい音で聴いてほしいと言うのと、アルバム単位で聴くと新しい発見もあるかなと思ったからです。いやmp3以上、CD以上の高音質ファイルってものもあるけど、探しだすとキリがないので(笑)
実際に劇場で鳴らされたものは、作品のために井上さんが設計した音の配置で、楽曲以外の音もミックスされています。自分ちで聴くものは音韻です。音響を体験するにはやはり劇場へ行くしかない。あの“音”を聴くには再演迄待たなければなりません(とか言って、曲変わってたらどうしよう笑)と言う訳で、もう再演が待ち遠しい。

・op
U2「No Line on the Horizon」(アルバム『No Line on the Horizon』収録)
(追記:ちなみに『No Line on the Horizon』には、ZAZOUS THEATER『シープス』で使用されたBrian Eno & Harold Buddの「Against The Sky」(『The Pearl』収録)をバックトラックに使用した「Cedars Of Lebanon」も収録されています。と、ザズゥおたくらしい小ネタでした)

・「荷物運ぶの手伝ってくれないか」の後
B.J.Thomas「Raindrops Keep Fallin' On My Head」(『明日に向かって撃て!』オリジナル・サウンドトラック収録)

(7月22日追加)・のわー何故これを忘れてた!DDでケイレンダンスのオガワのシーン!
Sex Pistols「Anarchy In The UK」(アルバム『Never Mind the Bollocks Here's the Sex Pistols』(勝手にしやがれ!!)収録)

・オガワ「誰かいる? 誰もいない」から暗転、イタバシがiPhoneの電源を入れる転換
Linkin Park「In Pieces」(アルバム『Minutes To Midnight』収録)
リンキンは他に、『A Thousand Suns』から「The Radiance」、「The Requiem」が使われていました

(7月12日追加)・泣くオガワ
Coldplay「What If」(アルバム『X&Y』収録)

・カーテンコール
Iggy Pop「Isolation」(アルバム『Blah-Blah-Blah』収録)

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スチャダラ2011『オール電化フェア』@日比谷野外大音楽堂

頭のなかが『クラウド』でパンパンなまま日比谷に直行、ラッキーにもソウルセット1曲目に間に合う。隣席のお嬢さん方がもうすっかりできあがっていて、席に着くなりカンパーイイエーとか言うて踊り倒して汗だくですがな。いやー面白かった。その後お嬢さん方は泥酔して完全に落ちていた(笑)。いや、あの暑さで野外でつったらそら呑みたくなるよね……。

この日は電気も出ていて、即完したという節電気グルーヴTシャツやレディー・ガガネタ、瀧本人による『おひさま』ものまね(笑)等、こういうときに見せる(それがこのひとたちの場合デフォルトなのだが)鮮やかな身のかわし方はやはりすごいなと思った。しかしSDPの辛辣さは効いた。やっぱりこのひとたち真面目と言うか実直なんだよね…だからこそ苛立ってる。新曲が続く。BOSEは「すいませんね、こういう場でこんな曲ばっかりやって」と言いつつ「来年はこんなふうにはやりたくない」と正直に話してた。

いろんな曲がこれ迄とは違うように聴こえた。あのリリックを前の気持ちで聴くことは出来ない。もう「サマージャム'95」は聴けない、「サマージャム2011」なんだ。「GET UP AND DANCE」でちょっと泣いた。

「小沢健二は出ません」発言にもいろいろ苦い気持ちにもなった。昨年のことを聴いていたからだ。どちらもわるくないのに、もう以前のようにはやっていけない。

そして電気はすごく格好よかった。思えばふたりきりの電気のライヴ観たの初めてだ。JKもまりんも、タサカくんもカガミくんもいない。

俊美くんはいつものようにイイ感じでした。「いつものように」、それも本当はいつものことではないんだ。

でも、すごくいいライヴだった。音楽はいろんなものを突破する筈だ。