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2011年03月26日(土)
『三島 近代能楽集「邯鄲」「葵上」』

ここ二日間ログイン出来なかったので(携帯では入れたらしい)気になって調べてみたら、エンピツさんて岩手にあるんですね。住所地図で調べたら内陸の方ではあったけど、何かあったのかな…大丈夫かな……ご無事で!

十年近くここ使ってるし愛着あるし、ブログは自分にはしっくりこないので(オールインワンとか苦手ですねん)なくならないでほしいのね……。はー、しかしそうだよなあ、サーバが被災地にあってデータ全部とぶって有り得るよな。バックアップなどとっていません。そうなったらもう仕方ないけど、でもエンピツの中のひとには無事でいてほしいよ!サーバを守ってくれて有難うございます。

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結城座『三島 近代能楽集「邯鄲」「葵上」』@アサヒ・アートスクエア

1635年創設の歴史を持つ江戸糸あやつり人形芝居の結城座が、三島由紀夫の戯曲を上演。19日に観る予定でしたが、日程が変更になりました。カーテンコールの際、結城孫三郎さんがご挨拶。上演することが出来てよかった。

どちらも能楽や翻案で観たことはあるものの、三島戯曲では初めて観る演目です。「近代」として書かれたものを、松本修さんの演出を加えより「現代」に近付けている。そうなると内容の下世話さ…と言うと身も蓋もないが(笑)身近にある出来事として捉え易くなってくる。『葵上』とか、昼ドラなみにドロドロですねん。『THE DIVER』を観たときにも同じ感想を持ったけど、つくづくおめー(男)がいちばんダメなのになんでおめーには何のお咎めもねーんだYo!て思うわー。

しかし先日三島の『金閣寺』を観たときは女性の扱いにやっぱ三島だよねーと思ったもんですが、今回の上演作は男性の空虚さ…いや、そういうとまだ聞こえがいいな。ぶっちゃけ空っぽさがこれまた身も蓋もなく描かれていたことが面白いなあと思った。『葵上』の登場人物、若林光は光源氏な訳ですが、まー何もない。彼に何を言っても響かないし、彼に何を言われても薄っぺらく聴こえるばかり。底の割れた容れ物のようです。『邯鄲』で主人公が見る夢も、これが人生か?と思える程に何もない。次郎(主人公)は結局自らの意志であちら側に行ってしまう(=乳母と暮らすことを選ぶ)のですが、これらの優柔不断を突き詰めれば運命に迄成り得、なおかつそれをただ受け入れることが人生になる。三島さん、女性だけでなく男性にも厳しかったわ……(笑)。

さてその空っぽ感は、人形が役を演じることでズバリと容赦なく表現されます。なにせあやつり人形です。操り師がいないと動かない、自身の力では全く動かない。声も操り師が天上から降ろす。三島戯曲ならではの美しい言葉の羅列も、生身の人間が語ることを前提としていなかったのだろうと納得出来てしまう程に素直に聴くことが出来ます。操る人形と操り師の男女が入れ替わっているものもあり、特に孫三郎さん操る六条と千恵さん操る光のやりとりは批評的でもあり興味深く観ました。

浅草はこれ迄とあまり変わらない印象。節電しているお店は多いけど、もともとギラギラと装飾された街ではないので、照明少ないなーと感じることもありませんでした。普段から商店街が閉まるのも早いしね。以前新春浅草歌舞伎で「夜の部を観た後浅草を楽しんでいただく筈が、その時間には軒並みお店が閉まっていた。なので今年からは、18時には全ての演目が終わるようにしました」と言っていたものね(笑)。活気はある、でも夜の暗闇をだいじにしてる。