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2010年08月12日(木)
『gracious weather』

『gracious weather』@晴れたら空に豆まいて

晴れたら空に豆まいて四周年記念特別企画。南博トリオwith菊地成孔とCHORO CLUBの対バンです。

ブラジリアンミュージックのショーロを独自の解釈で演奏するCHORO CLUBから。初見。笹子重治(G)、秋岡欧(バンドリン)、沢田穣治(B)のトリオ編成。カヴァーとオリジナルをいいバランスで進めていきます。ゲストヴォーカルを迎えた曲もあるそうですが、それもこの日は全てインストで。秋岡さんの演奏する楽器、マンドリンならぬバンドリンと言うものだそうですが、音も見掛けも私にはマンドリンと区別がつかなかった…(こういうことらしい。正にショーロのための楽器なんですね)。

MCは気さくにゆるゆる。共演したマルコス・スザーノのエピソードが面白かったー。ああなんか心が洗われましたよ。夏バテに効いた。

さて南博トリオ、こちらも初見。菊地さんのリーダーバンドでの南さんはダンディーの権化で、ちょークールでちょーかっこええイメージだったんですが、それが崩壊しました。「そりゃ菊地のリーダーバンドでは喋んないよ俺は」つってましたが、自分とこではこうなんだー…まさかゴーゴー踊りやケイレンダンス迄見られるとは思わなんだ(笑)。このトリオに現場参加したのが初の菊地さんですら「俺南さんと結構つきあい長いのに…俺の知らない南さんがいる」なんて言ってました。

メンバーは南博(Pf)、鈴木正人(B)、芳垣安洋(Drs)。南さんと鈴木くん、鈴木くんと芳垣さんが組むのを観るのは久々。途中から菊地成孔(T-Sax)。オリジナル、スタンダードナンバー、NKDSのナンバー(1ホーンでピアノとのユニゾンをとる「Susan Sontag」は新鮮!これはこれで緊密でいい!)、当然インプロを織り交ぜ乍ら、緊張感溢れ、しかし抱腹絶倒の約105分セット(うち15分くらい喋り?笑)。「僕のはジャズじゃない、お遊び」なんて言い乍ら、余韻を残さずプツッとしたエンディング、しかし中盤の滑らかで気持ちのよいパッセージ。鈴木くんが演奏中に笑顔を見せることはよくあるが(彼の表情でその日の手応えが伝わってくる)、芳垣さんが笑っているのは珍しい。音で遊ぶ大人たち。しかし陣取りゲームのようにお互いの音の隙間は決して逃さない、ほんの少しでも展開の兆しが見えれば即鈴木くんがパターンを変える、芳垣さんが拡げる。南さんがその上を疾走する、菊地さんが暴れる。

呑みっぱなしの南さん、指も滑るし口も滑る。それに負けじと菊地さんも言う言う。書けません(笑)。演奏同様「俺の方がすげーぜー」なヤンチャ同士の意地の張り合いみたいで面白い。しかし菊地さんは終始敬語、ここらへんなんだかんだで“らしい”印象。

こんな生き方長生きしないよねなんて言っていたけど、いやいや南さんには長生きしてほしいです。ダンディーでコドモでヤンチャでクールなそのピアノをまだまだ聴かせてほしい。最後の曲はレクイエム、まだまだ送る方でいてください。