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2010年03月27日(土)
『森村泰昌・なにものかへのレクイエム ―戦場の頂上の芸術』

『森村泰昌・なにものかへのレクイエム ―戦場の頂上の芸術』@東京都写真美術館

うーん、戦場ものが続くなあ。偶然ですが。

「20世紀の男たち」をテーマとする新作シリーズ『なにものかへのレクイエム』。2フロア4セクション。2Fに06年『烈火の季節』07年『荒ぶる神々の黄昏』、3Fに新作『創造の戦場』『1945・戦場の頂上の旗』。2〜3Fの吹き抜けに降ろされたスクリーンには、割腹自殺前の三島由紀夫の演説をモチーフにした『MISHIMA 1970.11.25-2006.4.6』がずっと流れていました。これ7分ちょっとの映像作品なんだけど、一日に何回流れるのかな…警備員や職員のひとたち夢に見たりするんじゃないか。しかもその吹き抜けフロアはカフェになっている。落ちついてお茶など出来ん(笑)。

このシリーズは映像作品も結構あるので、森村さんの声が重要になっているものも多い。姿形は徹底した造形で変えられるけど(いつも思うがなんであんなに似るのだろう?その上不思議なのは、モチーフにそっくりなのに、見れば見る程“森村さんの顔”なのだ)声は変えられない。その声でヒットラーの演説をやってたりするのだが、よくよく聴いてみれば「メンタマーノ、キンタマーノ、アトミックボーン!イングリモングリー!」なんて言っている。いやはや前日観た『イングロリアス・バスターズ』を思い出してニヤニヤしてしまった。そういった強烈なパロディの中にゾッとするものが込められている。エディ・アダムス撮影の有名な報道写真をモチーフにした『VIETNAM WAR 1968-1991』は、シチュエーションも構図もそっくりなのに、場所が新宿のド真ん中に置き換えられている。

ニヤニヤし乍らも考えさせられ、モチーフとなった歴史を目撃した写真のことを考え、歴史を動かした人物たちのことを考える。後半のセクションには、世界の安息を願うようなものが多かった。戦争を終えて帰国した兵士のパレード、非暴力を突き通したガンジー、硫黄島に白い旗を掲げる兵士たち。「あなたなら、どんな形の、どんな色の、どんな模様の旗を掲げますか?」鎮魂歌は、静かでありながら強靭な意志を持って作品に焼き付けられていました。