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2009年01月29日(木)
『パンク侍、斬られて候』と岸田戯曲賞

wat mayhem『パンク侍、斬られて候』@本多劇場

原作読まないまま観ましたが、多分忠実に再現してってるんじゃないでしょうか。と言うくらい相当とっちらかった仕上がりです。しかしそのとっちらかり具合がよかったりもした。原作読みたくなったもんなあ。2時間半ちょいの長さでしたが退屈しませんでした。

内容の荒唐無稽さもさること乍ら、町田康の書くものって文体そのものが面白かったりするので、その文体を封じた舞台版を作るのは結構大変な作業だったのではと思います。あく迄もストーリーを再現するのが狙いだったのかなと思う程、キャストの使い方も贅沢極まりない。宇梶さんなんて一幕目数分しか出てないし、台詞もなかったし(笑)

しかし皆さん達者な方ばかり。そして皆…足並みが揃っていた感じがしました。同じ方向を向いている。これってお芝居にはとても大事なことだと思う。だからどんなに話が乱暴に進んでも、舞台上が散漫にならない(視覚的には臓物とかでとっちらかっていたが(笑))。ぽんぽんと台詞や動きが飛び交うテンポ、リズムの軽快さは、やはり関西のひとたちの持ち味かな。殺陣もチャンバラとして観られる楽しさがありました。

達者と言えばやはり山内僧正。流石です。登場シーンであっと言う間に持っていった。声もいいですよねえ。

にゃきゃやまさんは小悪魔ポジションでした。そして殺陣の見せ場はあんまりなかった(笑)そうだ時代ものと言ったけど町田康の時代ものなので、通常考えるような時代劇と思っちゃいかんのだった。

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■岸田戯曲賞
蓬莱さんと本谷さんでした
選考委員である宮沢章夫さんの日記を読んでいろいろと思うところあり。ちょっとひっかかるのは、欠席の委員がいても選考は進んじゃうんだなーと言うこと。岩松さんは誰を推していたのかなー。
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「冒険心」っていうか、方法への野心にあふれた作品っていうか、そういったものの評価がやけに低く、それをけっして否定するわけではないが、蓬莱さんのような「うまい作品」が受賞した印象。なぜ、こうなったかあとになって考えてみたんだけど、「冒険心」や「野心」「疑い」を持った作家の作品がまだ未熟だったのではないか。
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うーむ。受賞作どちらも観て(読んで)いないのでなんとも…ですが。巧さを凌駕する野蛮なものが観たいのは個人的な好みだけど、あまりにも巧いひとの作品を観てしまうとぐうの音も出ないこともあるのも確か。しかし巧いなら巧いで「巧すぎてすごい」ってとこ迄行ったやつが観たいのです。そしていちばん観たいのは「すごすぎて技巧の未熟さをつっつく気にもならない」もの。
過去観た蓬莱さんの作品は確かに鮮やかな筆だった。来月新作を観る。楽しみにしています