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2008年04月29日(火)
『大谷能生のフランス革命』特別講義

『大谷能生のフランス革命』特別講義@紀伊國屋ホール

新宿セミナー@Kinokuniya、ゲストは菊地成孔。大谷さんと菊地さんの共著『M/D マイルス・デューイ・デイヴィスIII世研究』と、大谷さんの『大谷能生のフランス革命』刊行記念特別講義。これらの本のトークイヴェントはかなりの数あったのですが、有料だし、紀伊国國屋ホールだし、一連のプロモーション最終日だからまとまった話が聞けるのではないかとこれをチョイスしてみました、が。

いちばんまとまってなかった……笑い疲れた………。

いやー…コアなマイルスファンと思われる年配の参加者も結構な数おりまして、そのひとらが「いい加減にしろ!ちゃんとマイルスの話をしろ!こちとら金払って来とるんじゃ!」と怒り出したらどうしようとハラハラしましたよ(笑)まあそうなったら菊地さんはうひゃうひゃ笑い乍らますますどうでもいいいことを話すだろうから、それはそれで面白かっただろうけどな、ははは。

冒頭から「いや今日のって紀伊國屋の2階の五木ひろしのポスター張ってあるようなとこ(CD売場)の一角を区切ってそこらへんでやると思ってたのよ、さっき聞いたよ紀伊國屋ホールだって!300人くらいいるよ!ここで天井桟敷観たよ!7割は寝たよ!YMOのデビューライヴここだよ!」て話だったし(笑)「何も用意してないよ、俺ん家背中にジェットついてればバヒューンて30秒で行けるところだから資料とってこようか?」とか。分かりやすく書き直してますが、実際はもうなんてえの、ハードコアな井戸端マシンガン会議のような話の飛びっぷり拡がりっぷりなので、上記の話だけで20分くらいかかってる。「ウチからここ迄(ジェットついてれば)30秒」の話の中に、歌舞伎町のすごいネーミングの寿司屋の話とか丸井とか新宿区役所の話とかいろいろ入ってる。日曜日その近所歩いてたからウケたウケた…すしまみれ、な!(大笑)

そんな訳で「これその(ジェットついてれば)30秒で行けるウチで話してるノリと全く同じだよな」「てかこれ迄のトークイヴェントで喋りまくったから、今更喋ることもないんだよなあ」ってことで、マイルスの話など殆どなくゲラゲラ笑って90分。しかし興味深い話は沢山聞けまして。それも「今日憶えてるのは、憶えられることは何もありませんでしたってこと!(笑)どうでもいいことばかり憶えてたりね。どこを憶えてるかによって、聞いたひと本人が何に興味があるかってのが分かるよね」ってことで。これも自分の解釈ですな。なんか先日の飴屋さんと石黒さんとオリザさんの鼎談(本編補足)を思い出したよ…。以下私が興味を持った箇所をおぼえがき。そしてこれも自分なりの解釈です。

・この本(マイルス研究)を読了したひと、10%、20%…読んだひと、を挙手させる。「多分この比率は今後も変わらないと思う。読み切れない本」
・でも「これをうまく編集して読みやすくまとめた新書を出してもそれは売れないと思う」

・「ローディングは出来てもリーディングは出来ていない状態」について
・「でも全てリーディング=理解してるひとじゃないとマイルスの研究本書いちゃダメってルールはないでしょ?」
・だいたい100%の理解は有り得ないからな
・そして理解と記憶は違うもの
・「そのリーディングってのも、イントロクイズみたいに1音聴いただけで誰のソロの何小節目!て判るのとは違うし」
・「でも50年前はチャーリー・パーカーのフレーズなんて憶えられないって言われてたけど今は憶えられるもんね。唄えるもん」「メロディーとして記憶出来る」
・「だからと言って50年後にマイルスのソロを記憶出来るひとが出てくるかと言うと…?」「メロディーかと言うと…?」
・ゴダールの映画のように何百回観ても“リーディング”出来ないものも。途中で必ず“落ちる”。目に映ってるけど頭に入ってこない状態

・KREVAと安室奈美恵の振り切りっぷりについて。m-floは違う次元に行っていると言うことについて
・ねこがにゃおーん、ぞうがぱおーん
・みんなのうたを目指してるのかそうでないのか
・KREVAには振り落とされないように着いて行かなきゃ!
・Jay-Zがどんだけふともも好きかってことについて

などなど。他にもいろいろ面白かったが寝たら忘れた。

えー私も当然のようにマイルス本読了しておりませんが、菊地さんの言ったケースのひとつとして(解りやすい…)ローザスんとこは読んでて、ここはもう腹がよじれて大変だった。よくもまあこんだけ……(笑)元々は代原としてのものだったそうですが、「〆切りが迫って切羽詰まれば詰まる程ああいうのが書ける」と言うことでしたあっはっは。痛快な頁。