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2007年08月07日(火)
Director's Choice『サロメ』1日目

PARCO Tryout 2007 ―ドラマリーディング・シリーズvol.1
Director's Choice『サロメ』@PARCO劇場

はは、は、やっぱ面白いわこれ…2日とっといてよかった……同じものは二度と観られませんぜ。そして白井さん演出のものと併せて観られたのもよかった。方法論が全く違う。どちらも興味深く観れました。

『ウェアハウス』シリーズの発展系とも言えるこのリーディング、今回PARCOでやることも考慮してか、ストーリーは起承転結がしっかりしていました。ウェアハウスだと原作テキストの数ページしか使わなかったりしてたもんね。あとウェアハウスだと最高でも3人だったけど、今回は5人。舞台上の構成もちゃんと劇場のサイズに合ったものでした。と言うか、劇場のキャパがそれなりにあっても、やり方、見せ方をしっかり考えればこういうことが出来るんだなあと思いました。

下手側に横川さんとスズカツさんがノートPCを前にして座る。横川さんの演奏でスタート。と言ってもラップトップ上の演奏なので動きは殆どなく(途中ヴァイオリンやギターも使うが)、その場で演奏されているか気付いてないひとも多い。まだ少し場内はざわついている。しばらくしてああもう始まっているんだ、と観客の集中力が定まってくると、ヨカナーンの台詞をスズカツさんがエフェクトかけてリーディング。静まり返った客席へは、かなりの微弱音も届く。

『TWO OF US』の時にも思ったけど、アイコンタクトが全くないセッションって不気味に面白い。

演者3人のマイクも横川さんが扱えるようにしてあり、その場で台詞にエフェクトをかけたり、拾った台詞を即サンプリングして鳴らしたりしていた。それを受けて演者がまたリズムを変化させたり、リピートしたり。演者は身体を封じられている。動けないので、声の大きさ、抑揚、表情が極端になる。サロメの身体が解放されるのは踊る時だけ。その踊りも立ち上がって腕を軽く揺らすだけだが、とてもとても雄弁だった。

しかし浅野さんは動きたくてうずうずしてたっぽいな(笑)椅子から腰が浮きかかっていたし、足もよくあがる。アイコンタクトもとろうとする。久世さんと藤井さんは殆どテキストから目を離さない。これは役柄にも反映されているようで面白かったです。王様、アホやんなあ(ひどい)そして女はおっかねえなあ。で、そのアホっぷりを見せられる浅野さんはすごいなあと。アドリブっぽかった「うるさい!」も面白かった(笑)

そうそう私はワイルドの『サロメ』は未読です。聖書の中のエピソードのひとつとして読んだことがあるだけです。しかし聖書で読んでも王様はアホで女はこええなあとこども心に思ったもんだったよ(笑)そんで人間は矛盾してるね!基本ツンデレだね!今回のテキストでも、正反対の意味の台詞を並べて言うところがあったんだけど(「ヨカナーンは美しい」→「ヨカナーンは醜い」等)その矛盾もすんなり受け入れられてしまう。なんだかせつないな。

あ、あと個人的にはあのヨカナーンの声、『SWEET HOME』を思い出したな…町蔵がやる筈だったあの役。そしてどうでもいいが横川さんとスズカツさんがお揃いのTシャツを着ていました。何でだ。あれ何のTシャツだ。

さて2日目はどうなるか!