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2007年02月24日(土)
ハシゴ

『殺人者』@東京グローブ座
昨年赤堀さんが手掛けた作品4本(『恋の片道切符』『散歩する侵略者』『蛇』『津田沼』)の集大成のようなストーリーと演出。ううむ、やはりこのひと面白いわ…当分観続けることにしよう。いやそんなもんじゃないな、目を離せない。次何やらかすか判らない。
どこへ行っても変わらないのは、環境ではなく自分の内面に原因がある。家族は自然崩壊し、自然修復する。その繰り返し。許す許さない以前の問題。いや、問題ですらない。
そこを丁寧に丁寧に書いてる。知った振りを決してしない。判らないものは判らない、と提示してある。
ハコのサイズを考慮してか、台詞のやりとりが長めになっていた。センテンスや単語でキャッチボールするところが少ない。これって赤堀さんとしては珍しいのでは。
飲食するシーンがいつも泣けるなあ。中山さんのあれはアドリブかなあ(笑)今回のチャリエンジェルはにゃきゃやまさんでしたな。このっこの天使めがあああ!
キャストをかなり贅沢に使っていました。その中でウザさ全開のシャンプーハット組もいい味出してました。三宅くんは決して巧い役者ではないんだけど、ひとの心を引っ掴む力がすごくある。これは技術で得られるものではないと思う。そこがすごい。

『リトル・ミス・サンシャイン』@新宿バルト9 シアター1
やーーーっっっ、すっごっくっ良かったーーー!!!デイトン&ファリス監督、映画でも素晴らしいです!
つうかめちゃめちゃ好きな話だった…深刻な状況で何故か笑えてしまう話、絶対叶わないことはあると言う話、それでもひとは生きて行くし、勝とうが負けようがいつかは必ず死ぬ。
捨てキャラがひとりもいない。序盤の食卓のシーンで登場人物の性格が明確になるテンポもいいし、旅の途中でそれぞれが大きな挫折を味わう。しかし前に進む。
ちょっとしたエピソードがどれも心に残る。おじいちゃんの最後のひとこと、審査員のビューティ・クイーンの言葉とオリーヴを見つめる目。後でじわじわ効いてくる。
ミュージックヴィデオ出身の監督ですが、その代表作「1979」(スマパン)を思い出すようなショットがまたよくて…あの車内のシーンね。閉塞感、その逃げ場がない空間での感情のぶつかりあい、嵐が去った後の笑顔、穏やかな表情。それが全て生き生きと撮られている。そういう演出がいつも絶妙なのですが、今回は台詞を使った役者の演出も巧いんだなあと気付かされました。今後も映画を撮ることがあると思いますが、その時も絶対観たいな。
あとこどものミスコンの気色悪さを見事に撮ってた…ホント気持ち悪いで。自分とこのこどもを着飾ってひとに見せたい親の気持ちは解らなくもないが、あの媚が張り付いたような笑顔や振る舞いは本当に…何て言うか……この映画に出演したコたちは本物のこどもミスコン常連だそうなんだけど、よくもまー皮肉って撮りましたな。ステージママたちはこれ観てどう思うのかね……。エロをエロと解らないままおじいちゃんのエロ振付けで踊っていた(と思う。こどもの考えるお色気として踊っていたと言うこと)オリーヴがいちばんかわいかったよ…こどもがこどもの顔をしていて。ああそうさオリーヴ、あんたが本当のリトルミスサンシャインだよ!誰よりも美しかった!好きなだけアイスクリームを食べるといいよ!
あーこれはリピートしたいな。

『NARA:奈良美智との旅の記録』@シネマライズBF
ずーっとひとりで描いてきた奈良さんが、どういう気持ちの動きからgrafと共同作業をするようになったのかなってのは気になっていた。このドキュメントにはその経過が撮られている。結局のところ、どうしてかは解らなかった。でも、それによって奈良さんの絵が変わったこと、それはきっと共同作業がなければ決して起こらなかったこと、そして前のような絵はもう描けないということ。でも、作品は残る。現在、そのどちらの絵も観ることが出来る。観る側としては、それはとても幸福なことだ。
弘前での『A to Z』展の様子を、制作過程とともに観られて面白かった。舞台裏はあんなだったんだねー。今やってる金沢のも行きたいんだけどなああ。
音楽もよかったよ(涙)イースタンユース、ブッチャーズ、などなど。

渋谷で入ったカフェにねこがごろごろいたで!ふぎゃーかわいい!また来よう。MIOさん教えてくれてありがとね。映画とともにリピートしようぜリピート〜!