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2006年12月09日(土)
『the IKKAKU LIVE』+『ビル・ヴィオラ:はつゆめ』

『ゲルマニウムの夜』『the IKKAKU LIVE』@一角座

ここんとこ上野に来ると必ず雨が降る。ゲルマは何回目だ?(笑)寒い時期に観るのがまたいいんだよねー。

上映後に寺島しのぶさんと、『赤目四十八瀧心中未遂』原作者、車谷長吉さんのトーク。司会は『赤目〜』監督の荒戸さん。車谷さん初めて拝顔したのですが、ええ、こんな明るいおっちゃんがあんな重量級な話を書いていたの!?とビックリした…喋りも軽妙、ちょっと高めのハスキーな声。“長吉”と大書された法被とジーンズ、スニーカー姿で身軽に出てこられました。寺島さんからの読者カードを受け取った日付もしっかり憶えておられた。単行本発売後、1週間もしないうちに届いたので驚いたそうです。

公開当時いろいろ聞いたエピソードの他にも、瀧での撮影がとても大変だったこととか(あそこに登るには走って45分だそうだよ…そこをスタッフは機材担いで連日登り、谷に落ちそうになり乍ら撮影したそうですよ…)、皆楽しそうに思い出話。撮影期間が長かったので、大西さんの顔立ちが変わっちゃってねえ…って話もしていた。

寺島さんは相変わらず素敵であった。ブーツの踵が、今シーズンよく見掛けるタイプのやつで(あれ何て言うの?ピンヒールくらいの細さだけど下駄みたいに幅があるの)格好よかったなー。

最後は大森監督も出てきて挨拶、4人での撮影会があって終了。『赤目〜』、またスクリーンで観たかったが、今日はハシゴなのだ。後ろ髪ひかれつつ映画館をあとにする。

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『ビル・ヴィオラ:はつゆめ』@森美術館

以前はナム・ジュン・パイクのお弟子さんと言う知識しか持っていなかったのですが、NINのフラジャイリティツアーで映像が使われているのを観て、改めて興味を持ちました(DVD『AND ALL THAT COULD HAVE BEEN』でその様子を観ることが出来ます)。日本では初の大回顧展。

3〜4セクション(失礼、6セクションでした)、展示作品は15。タイトルにもなっている『はつゆめ』は通常の展示では観られません。特別上映会はあと1回あるけど、既に受付終了とのこと。残念…。

ボリューム満点の展示です。閉館迄の3時間いたけど観終わらなかった!じっくり観るには5〜6時間かかるって聞いていたけどホントだな…。閉館時間が迫ってきて、いちばんの目当てだった『ミレニアムの五天使』を駆け足で観る羽目に。よりにもよってこの作品が最後のセクションだったー(泣)『ベール』は映像がうまく重なった瞬間を観られました。1割くらいのチャンスじゃないかな。勿論重ならない部分も作品ですし、経過あってこそのものですが、時間に追われて観た状況を考えるとラッキーでした。

ハイスピードで撮影され(81倍だったりする)、1作品10分〜1時間近くある映像作品ばかりなので、チラ観は出来ない。パッと観ただけでは静止画像と思ってしまうものもある。81倍のところはしばらく他の展示を観てから戻ってきて「はうあ、動いてる!」とニヤニヤすると言う鑑賞方法もあります(笑)

キリスト教の要素も濃く、宗教画に見えるものや、宗教的なモチーフを扱ったものも多かったです。生きる人間の一瞬を切り取り、そのスピードを変えて観ることで、人間の記憶の曖昧さ、感覚の不確かさを振り返る。感情の動きも、それに伴う表情の変化も、違うスピードで観ると腑に落ちることがある。例えそれが知りたくないことであったとしても、だ。認識の速度も変わる、と言うことか。

暗闇のフロアに入るなり、大画面と沈黙、その後の大音響で迎えてくれる『クロッシング』(ここであっと言う間にヴィオラの世界に引き込まれる!)、ハイヴィジョンの絵画のような『アニマ』、為す術のない巨大な力に晒された人間の一瞬を切り取る『ラフト/漂流』、そして水と言う名の空を舞う人間たち『ミレニアムの五天使』。どれも衝撃的に記憶に刻まれるものばかりでした。時間が経って忘れたと思っていても、数年後に夢に出てきたりするかもな。

そして今回の展示環境を観て、フラジャイリティツアーでの上映形態が、ヴィオラの作品の世界観を活かした効果的なものだったんだなあと改めて思いました。ただイメージ映像を流すだけの状態にはせず、ヴィオラの展示方法を熟知した上での手法だったんだろうなと…。1×4.5、3×4.5、1×4.5mくらいの液晶スクリーン3枚(イメージとしてはこんな感じ。中にもいろいろあるよー)を使っていたんですが(採算度外視ですなあ…)あれってどこ迄ヴィオラが指定したんだろう。トレント自身がかなり手掛けてそうな感じもしましたが…。ここで使用された映像は全てツアー用のオリジナルなので、今回の展示プログラムにはありませんでしたが、実寸で観てみたかったな。

さて、リピート必至です。いつ行こうかな…年内に行けるかな……。ICCでやってる『ビル・ヴィオラ ヴィデオ・ワークス』も行きたいよー。

ちなみに時間帯によって大声で騒ぐ観光客の集団とかちあいます(苦笑)5.1chサラウンドを駆使した音響も重要ですので、タイミングは大事だな。こればっかりは運ですけどね。22時迄やってるので、ひとが少ないと思われる平日夜がオススメかな。もしくは朝早く。

美術館を出た後、セットになっている(?)52Fの展望台へ行きました(美術館は53F)。雨模様だったため雲が多くて夜景が見えません(泣)ひいー、雲が足下を流れている。風も強いのですごい勢い。東京タワーの先端50mが雲に隠れて、そこでポッキリ折れたみたいに見える。晴れた日だとすっごい綺麗なんだけどなー。残念!