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2006年10月17日(火)
『白野』楽日

家を出て、駅に着いて、ホームに入ったらMIOさんがいた。ビックリするわ!仕事に行く途中だったらしい。ちなみに沿線は全然違います。何故遭う!(笑)

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『白野』@theatre PUPA

初日の緊張感も心地よかったですが、楽日ならではのこなれ具合と観客のレスポンスを楽しむことが出来ました。笑い声も多数。「オガタッ!」の“大向うからの声”も飛びました。

初日の感想に書かなかった具体的なことなど。

ピューパはコクーンの舞台上につくられている劇場です。上手側にほぼ正方形の舞台を45度の角度で配置、下手側に桟敷席、その後ろを囲む形で椅子席。椅子席の上手側(笑・ややこしいな!)奥にはそのままコクーンの観客席が。桟敷席から観るそこは…意外と小さい。キャパ700でそれなりの大きさなのですが、奥行きがあまりないように感じられました。だからどの位置からでも(正面であれば)観やすいんだなあこの劇場。奥行きがない分座席の段差を大きくとってあるんだろうな。そう言えばここ、比較的新しい劇場な割に席間が狭いよね。

小道具は3サイズのネストテーブル(大中小がマトリョーシカのようにひとところに収まるようになっている)、文机と椅子2脚。椅子は3場で白野と千種が会話するシーンにのみ運び込まれます。文机は場ごとの区切りに緒方さんが喉を潤し、台本を開いてナレーションを入れるポイントで使われます。いちばん活躍するのがネストテーブル。オランダ製だそうなのですが、非常に和な趣。シーンによって緒方さん自身がこれをバラバラに配置したり、重ねたりするのですが、これがみるみる姿を変える。呑み屋のテーブルと椅子、来栖が千種のもとへ行く時の踏み台、などなど。

緒方さんが持っている杖もそうでした。血気盛んな殺陣を披露する時は刀、終盤、自分の命の終わりを知りつつ千種のもとへ出向く時は杖。背景には白無地の屏風、そして「月」の垂幕。そこに最低限の効果音(鐘の音、物売りの声)と、手動じゃないかな、繊細に明度を変える照明。潔い迄に削ぎ落とされています。なのにこれだけ風景が変えられる。感動。

杖と言えば、緒方さんが杖をバン!と床に打ったタイミングでチェロの演奏が入ってすごく格好いいシーンがあった。鳥肌たったー!ここらへんのリズム感は演出なんだろうか。『胎内』の時にも、明転した途端シーンの空気ががらっと変わるところがあって印象に残ったんだよなあ。

下手側出入り口に配されたカーテンがまた効果的でした。開閉のスピードや音で、舞台上に見えない人物を招き入れます。激しく鋭く開いた時には朱雀隊士の荒くれ者たちが、静かにゆったり開いた時には千種が。

それにしても緒方さん、かわいかった…(失礼)。髪の色も相俟って、銀狐みたいでした。千種に告白する前うきうきしちゃってる姿がもーうきーかわいー!『復讐するは我にあり』と同じひととは思えん!臨終間際の白野がぽつぽつ話す終盤、劇場外を走る救急車のサイレンがちょっと聴こえてしまったんだけど、「あー白野を助けに来てくれたのかなー、助かればいいのに白野」と思った。ほろり。

余談。客層も老若男女さまざまだったのですが、桟敷席で正座をしているひとがちらほら。知人のお母さま(和装が普段着)が「正座の方が楽なのよ!」とよく言ってるが本当なんだな…。ちなみにこのお母さま、青山円形劇場の椅子席で正座しようとして、娘が慌てて止めてました(笑)

これからツアーです。お近くに来たら是非。