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2006年08月15日(火)
『ゆれる』

『ゆれる』@アミューズCQN シアター1

昨日観てきました。新宿では1時間半前に行っても立ち見。そんじゃ渋谷で観よう!と移動。

以下ネタバレあります。





稔はバスに乗ったか?乗らなかったか?

暗転時には6:4。
ぼんやりエンドロールを観乍ら、エンディングテーマを聴いているうちに4:6。
今は5:5。

実のところ、ここは重要ではないかも知れない。あの兄弟はもう元には戻れない。映画は終えられるけど、登場人物の人生は続く。これからもずっとずっと。

それは自分たちにも言えることだ。この映画はそのことをちゃんと提示している。映画だからここで終わるんだよ、終われるんだよ、と。

役を演じると言うより、役を生きるタイプの役者ばかりが揃った印象。それはもう凄まじい。無表情にすら、これまでの生きざまが滲み出ている。疲れ、怒り、諦め、苛立ち。それを顔に、身体の中に抑え込んでいるかのようだ。

それでも洋平のような人物もいる。他人を思い、心配し、修復出来るものなら、とちょっとだけ力を貸す。逆に言えば、他人だからこそ口を出せるのかも知れない。でも、そういうひとをこの作品に存在させる、と言うのは監督の願いのようなものなのかも知れない。こうあればいいのに、それで何かが修復すればいいのに。

修復をすることはない。その代わりに手に入れたものがあるかも知れない。代償は大きい。許すことでチャラにもならない。

でも、稔は最後に笑顔を見せる。

白みがかった撮影の色味、後ろ姿のショット、音の入れ方(と消し方)、時たま“ゆれる”画面。登場人物の目を捉えるショット。丁寧、無駄がない、迷いがない。

現時点での今年のベストワン。

余談(か?)
猛の台詞で「はは〜ん、そういう男なワケね」ってのを端的に現しているものがあって、それがすんごいリアルでうわっとなったんだけど、プログラムのオダジョーのインタヴューによると、本番直前の現場で突然指示されたとのこと。こ、こわー!そしてすごい、西川監督!