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2005年11月12日(土)
『偶然の音楽』

『偶然の音楽』@世田谷パブリックシアター

わートラムに行っちゃったよ、SePTだった。危なかった。秋の白井さんの舞台って、トラムが続いてたから間違えた。

以下ネタバレあります、未見の方はご注意を。

前知識を入れず行ったので、結末がああだとは知らず、かなりズシンと来た。チャイナさんのことを思い出したし、昨年旅行先のアメリカで大怪我をした友人と観ていた、と言うのもある。ラストシーンで他が飛んでしまった。

と言う訳で、正直ストーリーに関しては受け止め切れていない。終演後その友人に『オスカーとルシンダ』との共通点を指摘され「!」と思ったのだが…。成程、そういう観方もあった。

ストーリー以外について気付いたことをおぼえがき。

■カーテンコールで舞台上に並んだキャストを観て驚いた。このカンパニーは8人だ。8人で登場人物全てを務めている。仲村さん(ナッシュ)と小栗くん(ポッツィ)以外は、全て複数の役を演じている。このまとまり具合は凄いと思った。三上さん、大森さんをああ使うとは何て贅沢!

■ここ数作白井さんが使っている、規則性のある役者の動かし方。何だっけ…と思っていたのですが。『マインド・キング』だー。巻上公一さん×スズカツさん×伊藤千枝さんのあれだよ、あれ!リチャード・フォアマンの!あれに感じが似ているなあと思った。直角に曲がる歩行スタイル。縮尺を混乱させる美術もそうだな。うーん、元になるメソッドがあるのかな?気になります

■かなり統率されていて、演者が一気にストップモーションになるシーンもあるので、タイミングがずれると命取り。“歩く”訓練だけでも相当やったんじゃないかな…

■回想も現実と地続きになるのは、演劇ならでは。ナッシュの回想から、死んだ父親の実体が舞台上に現れる。何だか不思議な気分になった。観客の想像力を信用しているこういう手法は大好きです

■曲もよかったなあ。ブライアン・イーノとか使ってた

■無彩色使いの美術、衣裳もよかった

偶然、について考えることが最近多い。運とか。「仕方ない」とか。白井さんの手掛ける翻訳劇は、毎回かなりクる。考える時間が長くなる、尾を引く。答えは出なかったりする。ただ、何かのチューニングにはなっている気がする。多分今後も観続ける。

偶然の音楽。原題はTHE MUSIC OF CHANCE。名訳。その柴田元幸さんの翻訳で、これから原作読みます。