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2004年10月08日(金)
山の手事情社『Yamanote7481 ―jam ゴールドブレンド』その2

続き。

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5. ものまね
世阿弥の『花伝書』にもある通り、ものまねは他者への観察眼の訓練になり、他人格に変身する感覚を掴む。自分の周囲にいるひとたちのものまねは、どこをデフォルメするかで面白さが格段に変化します。
この日は散々わからない説明をしたあげく他の病院を紹介する岩淵さんの医者、いいひとのふりしてさりげなおどしも挟み込むちゃっかり者の山田さんの勧誘員。面白かったー。

6. 三題 ショートストーリーズ
4チームが出来上がりを披露。役名は忘れたんで役者さんの名前そのままです。
陶芸品“冬のソナタ”を楽天に出品したことでもめるアトリエのひとびと。「あの芸術品を商品として出すなんて!」「素晴らしい作品だからこそ広く人々に知られてほしいの!」。言い争いの末、山本さんが出ていってしまう。表は台風。窯には冬のソナタが置いてあり、不安になる残されたひとたち。「出ていったら危ないよ!」「でも大事な冬のソナタが!」。すると山本さんが冬のソナタを抱えて帰ってくる。「山本さんはどんぐり工房のヨンさまだよ!」
これが個人的にはいちばんウケた…モチーフが出てきた時の微妙な笑いがたまりません。冬のソナタが陶器の作品名だってのがさ!アホかと!(笑)15分で考えたのにきちんと構成が出来ていてお見事。
その他3チームは、介護員に虐待される老人たち、記憶喪失の家族、ブルペンでの風景を披露。安田さんがどんどんダメだししていきます。「これはダメだな!」とバッサリ斬られた作品もあり。厳しー。

7. ルパム
Rhythm, Play, Act, Moveの頭文字をとった山の手独自のダンス。メソッドによって鍛えられた身体は独特のラインを描きます。ここらへんの劇団としての色は本当に面白い。きちんと成果が出ているってのがすごいなあ。

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歌舞伎や能楽等、伝統芸能は古典として残っているし、これからも続いて行くだろう。しかし“現代”演劇と呼ばれるものはどうやって残せば良いのだろうか?一度きりしか上演されない新作戯曲が多いのは、ストーリーの普遍性を持ち得ないからか?そしてある時代における現代演劇は、その時にしか価値がないのだろうか?

今の時代の現代演劇は、いずれ古典として残るものだろうか。伝統芸能を継承することなく、現代の演劇を後世に伝えることは出来ないだろうか?そして古典を現代演劇の方法論で上演することも、きっと有効なことだ。安田さんはここらへんをずっと考えているのだと思う。気の遠くなるような作業だが、その経過をリアルタイムで観て行けるのはとても面白いし、ラッキーだったなと思う。『印象 青い鳥』を観た時は、あの独自の“型”から古典の普遍性が浮かび上がったように感じた。これ、好きだったなあ。いつか再演してほしいなあ。

20周年記念グッズもいろいろ出ていました。パンフレットもデータベース満載、嬉しい内容です。長年山の手を観ている小森収氏の寄稿がとても興味深かった。そうそう、私も役者・安田雅弘が観られなくなったのは残念ですよ。カタログシリーズではダメだしとしてあの美声が聞けるので、ちょっと嬉しかったりします(笑)

ちなみに今回のタイトルになっている「7481」とは、山の手事情社が旗揚げしてから今回公演迄の合計日数のことだそうです。長いようで短い?これからもこの数は増えて行くんだね。

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■鳴海四郎氏死去
ご冥福をお祈りします。