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2003年05月16日(金)
『嵐が丘』(1992)

音楽が坂本龍一。んん?………CD棚を漁ったら、サントラ出てきました。10年以上もこのジャケに写ってるひとがファインズさんと知らずに置いといたんか〜!節穴!節穴!私の目は節穴だ!(泣)そういや当時教授はピアノコンサートもよくやってて、これのメインテーマは何度も聴いたものですよ。なのに映画本編を観ていないと言う落とし穴。ライナーノートでは、まだラルフ・ファインズ表記になってました。

と言う訳で1992年製作、キャサリン(キャシー)=ジュリエット・ビノシュ、ヒースクリフ=レイフ・ファインズ版の『嵐が丘』。うう〜んこれは…なんとも大味な…サクサク行けばいいってもんでもないですね。長い話をとにかく片付けよう!って感じに見えるんですけど…。これの売り文句が「過去の『嵐が丘』は総じてキャサリンが死ぬところで終わっているが、これは初めて最後迄ちゃんと映画化しました!」と言うものだったのですが、う〜んそれならもっと丁寧に、時間長くてもいいから…と思ってしまうもので。105分では短い。原作ものの難しさを感じました。

ず〜っと流れている音楽もちょっとくどいです。曲自体はすごくいい!すごくいいんだけど鳴りっぱなしだと…教授好きとしては堪能し過ぎて腹いっぱい。叙情が過剰でドンドンドン!と言う感じになってしまっている。もっとメリハリ効かせて使った方が。あとねえ、お屋敷の外観がハリボテに見えます。これは…どうなの…。

と言いつつ展開があまりにも豪快なので、退屈せずには観られました。ヒースクリフの怨念は恐ろしい!もうええやんっつう。しかしヒースクリフって、キャサリンたちへの“おみやげ”として屋敷に連れて来られたんだよね…おみやげて。ヒースクリフの人生って。そもそもここに連れて来られなければ、こんなことにはならなかったのにな!彼が死んだ時は正直ホッとしました…。復讐心とか「見返してやる!」って思いは、あんまり楽しいもんじゃないよね…空しいし。で、それに全てを注ぎ込んでいるから、その復讐が成就した後って目標が見付からなかったりしますよ。大変なんですよ。

ふたりを見守ってきた女中のエレンに「もう戦いを終わりにしたい」と打ち明けたヒースクリフは痛々しかった。

役者陣はよかったです。ビノシュとファインズの演技対決は迫力もの。怖いって言うよりいや〜な感じなのよ!(笑)いじわるの仕方がさ!好きな子をついいじめちゃったりする小学生マインドで行動は大人なもんだから、たまったもんじゃありません。影でこっそり後悔してたりはするんですけどね。「ああっこういうことを言いたいんじゃなかったのに!」って。そういう不安定な部分がよく出ていました。

ビノシュとファインズの美肌対決も期待してたんですが(ビノシュはホント肌綺麗だねー。後半パートは髪の色も相まって、足が浮いてるんじゃないかってくらいふわふわしてました)ヒースクリフのキャラクターにそんな期待を抱いた自分がバカでした…ワイルドなジプシーくんですからね。

でもな〜キャサリンの幻影を感じて、ヒースクリフが誰もいない廊下をじーーーーーっと見るシーンがあるんですけどね、その時のファインズさんの顔が犬顔でね!かわいいのさ!ああかわいい!あと死に顔の美しさ(またか)は絶品でした、ファインズさんの本領発揮。そこには安堵があった。死なないと安堵が訪れないってのも悲しいですがね…。

エレン役のジャネット・マクティアもよかったなー。『キング・イズ・アライブ』に出てたのか。あとブロンテ本人役で、シネイド・オコーナーが出ていて驚いた。似てるな〜まさかな〜とは思ったけど、調べたら本人でした。

しかし『嵐が丘』と言うと、今でもケイト・ブッシュのあの曲がすぐ浮かぶんだよね〜。名曲です。