初日 最新 目次 MAIL HOME


I'LL BE COMIN' BACK FOR MORE
kai
MAIL
HOME

2002年09月22日(日)
『おかしな2人』

『おかしな2人』@PARCO劇場


ニール・サイモンの名作コメディの『男編』と『女編』を一挙に上演する企画。もともとは男編のみだったのが、20年後に女編も書かれたと言うこの戯曲、女編の上演はなかなかないのでいい機会。それの演出を鈴木裕美さんがやるってのも、いかにも“らしい”。2本を1日のマチネソワレで観るセットチケットがおトクだったのでそれを活用しました。PARCO劇場入り浸り。

男編は今迄何度か観ているので、役者の面白さを堪能。陣内さんてケッペキ兄さんの風情がハマるよね〜。段田さんもイメージはきちっきちっとした感じなのだけどそこは巧者、ズボラくんだけどひとはいい、ひとりになった寂しさも滲ませつつ、最後はちょっとだけ前向きに人生を進めて行こうとするオスカーを、好感の持てる人物として演じていました。

女編は、女のしたたかさと小憎らしい部分がよく出ており、どちらかと言うとフローレンス(ケッペキちゃん)に分がある終わり方。あの描き方だとオリーブはまだ元ダンナに未練があるように見えてしまうんだよね。一方男編は「あーフィリックスはきっと数日もしないうちにあの姉妹ん家から追い出されるな」って予感がありありで、オスカーは慰謝料も払い終え、自分の面倒も見られるようになってきたって感じが出ていた気がする。

まあこれは個人によって見解の相違があるかも。私こんなにキョンキョンのこと憎たらしいと思ったことはないよ(いや役がですよ)!ズルいよあんた!今迄ずっと他力本願だったクセに!って感じでムカムカ、一緒に行ったひとに「ヤな女だったよね〜」と言ったら、「え〜でも男(フィリックス)の方がイヤ!よく10何年も我慢したよ奥さん!キョンキョンはかわいいからいいじゃん!」と応えられた。確かにキョンキョンかわいいもんね……じゃなくてフローなんだけど(笑)

手塚とおるさんと深浦加奈子さんは役柄もさることながらやっぱ格好いいね!嫌味なくスーツが似合うし。手塚さんは根無し草テイストを持ちつつもスマートさがある。深浦さんも男前。そんな彼女が友達といるときゃっきゃした女の子みたくなるのが凄くかわいかった。しっかし深浦さん、舞台は7年振りだったとか。全然鈍ってないよー動線が綺麗だし!キレがいいし!それを言ったら小林聡美さんもか。16年振りだっけ?いやー場の空気を掴むのが巧い!華があるし。出てきただけで場がぱっと明るくなる。滑舌もいいし、舞台もどんどんまたやってほしいな。

大騒ぎのアンサンブルが巧い裕美さん演出もいい具合に活用されており、以前よりラウドな部分のキメどころが散漫にならずにまとまっていた。面白かったです。

女編ではななめ後ろの席に篠井英介さんがいらしてて緊張しました。よく笑ってらっしゃいました。