前潟都窪の日記

2004年10月30日(土) 春のめざめ��

 やがて女の喘ぎが一段と激しくなり上半身をのけ反らせるようにして、口にくわえこんだ逸物を離したのをしおに今度は男が上下向きを変えて女にかぶさり、白い女の二本の脚が男の腰を鋏み込んで毛むくじゅらの脛が波のようにゆっくりと前後左右上下に蠕動しだした。動きにつれて女の喘ぎは低くなったり高くなったりしている。そのうちに男が相手を抱き上げて、二人は向かい合ってぶらんこに乗っているような恰好になった。薄暗いので顔はよく見えないが男が相手の腰に両腕を廻し、女が両手を男の首に巻き付けたのがその白さで判った。男は片手を放して女の胸をまさぐって襟元から乳房を取り出し顔をこすりつけるようにして乳首を吸い出した。途端に女は体全体をぴくりと動かした。

 勇の心臓は早鐘を打つように鼓動が高まっているが体は動くに動けず彫刻のように固くなって目の前の光景を見つづけているうちに、二人はまた元のように上下に絡む仰向けとうつ伏せの体位に戻った。二人の動きがせわしなくなって短い噛み殺したような呻き声が女の口から洩れて女の指が男の着物を掻きむしっていた。男がふぅっと低い声を出して動きがとまり二人は離れて身繕いをすると入口の戸を細めに開けて外の様子を窺ってからそそくさと外へ出て行った。勇には眼前で何が行われたのか判ったような気がしてよく判らず夢を見たのではないかと頬をつねってみたら痛かった。

 ぼうっーとしていると「シビを見たかい。内緒だよ」という声がした。突然目撃した前代未聞の珍事の発生にその存在すら忘れていた隣の長持ちに入って寝ていた筈の松田君の声であった。


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