| 2004年09月12日(日) |
【湯煙たなびく牧羊の国、移民の国・・ニュージーランド�◆� |
昨夜泊まったホテルを朝早く出発してフッカー谷のトレッキングのため、マウントクックビレッジのヘリテージホテルへバスで移動した。このホテルのある村はマウントクックへ登山するための基地になっていて標高は七六0mである。日本人の若い男性ガイド二人が大きなリュックサックを担いで我々のグループが到着するのを待っていた。生憎雨が降っており、夏とは思えない程の寒さである。この地は国立公園になっていて樹木の伐採や植物の採取は禁止されている。また公園管理者及びガイドとその家族だけしか居住できない定めになっているし、新たな建造物の建設も禁止されているそうである。人間が入り込んできて環境が破壊されることを防止するための措置であるという。原生林をそのままの状態に維持するために今では国を挙げて取り組んでいるのである。
小雨がそぼ降る中をバスでホッカーバレーのキャンプ地まで運んで貰い、ここからU字谷の砂利道を登ったり下ったりして、左右にモレーン(氷河で押し流され堆積してできた小高い丘)を見ながら、ミューラー湖の岸辺にフッカーズ氷河 の先端が迫っているところまでトレッキングした。往復約二時間の距離であったがマタゴオリと言われるトゲの生えた原生植物やワイルドスパニッシュ等の植物の説明を受けながら、途中フッカー川にかかる吊り橋を恐る恐る渡って目的地まで到達した。今はマタゴオリやワイルドスパニッシュと呼ばれる原生植物は保護しなければならないほど少なくなっているがこの地へ初めて人間が調査に入った頃には密度濃くマタゴオリが繁っていたしかし入植した村人達が原生林を伐採して薪にしたため現在のような見る影もない姿になったのだという。
フッカーズ氷河は一見砂利の集積した河原にしか見えない。然し説明されてよく見ると、河原の所々に逆三角形の形をした白い割れ込みがあるのが判る。これが氷河の先端であって、白く見えるのが氷なのだ。この地の氷河は長い年月をかけて地下に潜り込み土石を下流に流していくのであるが、地球の温暖化の影響を受けて一部が融けだし、今我々が逆三角形の白い形として観察しているのである。ノルーウェーで見学した氷河の先端は十数mの高さにも及ぶあたかもビルデイングの如き氷の壁であったが、ここでは河砂利の下に僅かに顔を覗かせているだけの氷河であった。同じ氷河と言っても場所が違えばこのように違うものかとの思いで一杯であった。
フッカーズ氷河の見学を終え、再びテカポ湖畔の「羊飼いの教会」まで戻ってくると丁度日本人同志の結婚式が行われており、花嫁が父親に腕を預けてバージンロードを行進しようとしているところであった。
翌朝九時にオークランド のホテルを出発してロトルアへ向かい、途中パームスプリングという場所で羊の毛刈りショーを見学した。ショーは羊の群れを巧く柵の中へ追い込む牧羊犬二種類の実演と羊の毛をバリカンで素早く刈り取る実演が行われた。三八秒で一匹の羊の毛を一本も残さず刈り取り、しかも羊の体に切り傷一つもつけないその手際よさには感心したものである。
ロトルアではテ・ワカレ・ワレア・タンガオ・テ・タウア・アワヒ・アオという舌を噛むような名前の国立公園で 間歇泉の噴出する状況を観察した。ここはもともと先住民であるマオリ族の人々が温泉の湧き出る神聖な土地としてその領有を争った所である。今は屈指の観光地として賑わっており、この柵で囲われた公園の中にはマオリ族の装飾を施した神聖な集会所も設置されている。公園の中ではマオリ族の女性が龍舌蘭の葉に似たフラットと呼ばれる植物繊維で民俗衣装を織る実演をしている。この夜は民族舞踊を鑑賞後温泉に入り気分よく盃を重ねたので酔いも廻って快眠を貪った。
翌朝は最後の観光地ワイトモへ長駆バスドライブである。ここでは蠅の仲間であるグロー・ワームが光を発する所を鍾乳洞内で観察した。この虫は昆虫や虫を捕獲して食べる習性があり、獲物をおびきよせるために光を発するのである。このグロー・ワームは学名アラクノエアンパルミノサと呼ばれ通常「土蛍」の名前で知られている。湿気が多くて餌も豊富な、そしてぶら下がることの出来る岩壁があるところに生息している。土蛍は粘液とシルクで空洞のチューブ状の巣を作り、シルクの糸でこれを洞窟の天井に接着する。巣の下には釣り糸の役割を果たすねばねばした粘液でコーティングされた二十〜三十本の糸がぶら下がっている。これに吸着された虫を捕らえて餌にするのである。
洞窟の中の池にはボートが用意されておりこれに乗って約五分間、真っ暗な中を声をださないようにして就航し、天井に光輝いている土蛍の発光を見学する仕掛けになっているのである。暗闇の中で天井に無数に光輝いている有り様はまさしく幻想的なパノラマの世界であり、星空よりも密度濃く土蛍が瞬きもせず静かに光っている。
このあとニュージーランドでしか見られない夜行性の飛べない鳥キウイ が真っ暗な飼育場で飼われているところを見学することもできた。この鳥は光や物音に敏感なため、撮影禁止となっており、明るい所では剥製でしか見ることができない。
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