sakuraの日記
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久しぶりにうちで産まれた子猫を飼って下さってるSさんに出会った。
ジャムと名付けられたその子はS家でとても大切に飼われていて、今も元気にしているとの事。 嬉しかった。愛されて、可愛がられて、良かった、良かった。
もともと、このジャムを生んだお母さん猫のアイちゃんはノラ猫だった。 アイちゃんのお母さんの黒猫母さんは、とても気が強く、我が家のある界隈を縄張りとする、最強のメス猫だった。
最強と言っても体はきゃしゃで、それ程、強そうには見えないが、毎年、春と秋に3〜5匹の子猫を産み、時に応じて、子猫を移動させながら、上手に餌を貰って、子育てしていたようだった。
その子育て期間中の一時期を我が家の庭で過ごしていた。 ちょっとでも庭で憩う子猫にちょっかいをかけようものなら、凄い勢いでどこからともなく現れ出て、“ふうううぅ〜〜っ”と威嚇され、怖くてとても子猫には近づくことは出来なかった。
或年の春、またも4匹の子猫を連れてやって来た所を目と目が合ってしまい、あっけなく引っ越されて、がっかりしていたら、しばらくしたら、また、子猫が庭を走っていた。今度は、一匹減っていて、3匹になっていた。
黒が一匹とシャムのようなベージュと褐色の配色のが2匹いた。 最初は庭でも縁側から離れたところを走っていたが、だんだん、好奇心から縁側の傍までやって来て、靴脱ぎ石の上で遊ぶまでになっていた。
母猫の留守中にはかなり大胆に人間のいる縁側に近づくようになった子猫たちの気を引こうと時にかつおぶしを降らせたり、ちくわやハムをやってみたりして、手なずけようと試みた。 威嚇しながらも、餌をねだるようになって来て、可愛さは増して来ても母猫のノラ猫教育が行き届いているせいか、それ以上はなかなか懐いてくれなかった。
シャムがらの一匹は一際小柄で、目がブルーに輝いていたので、アイちゃん、黒ちゃん、シャム柄の大きい子は耳が特に大きいので、ミミちゃんと呼ぶ事にした。 名を呼びながら、餌をやると、ちゃんと反応してくれて、それなりに楽しく付き合っていた。
その中で、メス猫のアイちゃんだけが、私たちに興味津々で、窓から覗いたり、鳴いて呼んだり、手から直接餌を食べるようになっていった。 ある程度成長して、一人で木登りしたり、塀を攀じ登れるようになった頃、またも母猫に連れられて、去って行ってしまった。
それから、暫くして、あのアイちゃんが母猫と時々やってくるようになった。 どうやら、私たちが恋しくて、母猫にねだって、付き添ってもらって、家にきている様な様子だった。相変わらず母猫は凄い形相で、威嚇していた。
そうこうする内に、きっと、母猫の妊娠の時期が来たのか、母猫から独立した中猫になった子猫たちは、3匹とも庭に戻って来た。 また、餌付けの日々がやって来た。
一番懐いたのはアイちゃんだった。 ミミちゃんは食い気だけのぶっきらぼうなオス猫だった。 黒ちゃんは臆病で小心者だけど、心根の優しいオス猫だった。
アイちゃんは私に抱かれるまでに慣れて、家の中にも少しずつ入るようになっていった。 最初は縁側だけ。そして次にそこから障子で仕切られた居間へ、そして、台所と、入るようになった。
怖い顔で威嚇する事も無くなって、実に愛らしい猫に成長していった。 そのうち、ミミちゃんはどこかへ放浪に出掛けて、帰らなくなった。 黒ちゃんは相変わらず、びくびくしながら餌だけは貰いにやって来ていた。
朝、ガラッと戸を開けると日当たりのいい南向きの屋根の上で寝ていたアイちゃんが鳴きながらたーーっと走ってやって来る。そして、ごはんを縁側で食べる。 キャットフードのかりかりしかないと黙って、座る。他にもっと美味しいのないのとでも言うように。それに負けて、鶏ミンチとか牛ミンチを少し煮てやるとそうこなくちゃとばかりに勢い込んで食べる。それを傍で見ていた黒ちゃんはアイちゃんが食べ終わるのを待って、食べ始めるという控え目なオス猫だった。
アイちゃんは家に入りたいときは自分のお気に入りの椅子やコタツでくつろぐが、帰りたくなったら、ちょこんと無言で、障子戸の前に座って、おもむろにこちらを見る。「もう、アイちゃん帰りたいのん?」と言って、障子を開けると縁側へ。 そして、窓を開けるとたーーっとまた去って行く。決して、お泊りはしない利口なポリシーのある猫だった。どんなに冬の寒い日でも必ず外に帰って行くのが不思議だった。
そんなアイちゃんも成長し恋の季節を迎えていた。 見た事も無いようなオス猫がやって来ていた。 でも、おそらくアイちゃんのお相手はこの辺りを牛耳っているぶた猫こと茶トラのボス猫のようだった。
小柄なアイちゃんのお腹がだんだん大きくなって来て、妊娠は確実だった。 「わぁ〜どこで産むんかなぁ〜。まさか、うちかなぁ〜。」 お腹をさすりながら、期待と不安でいっぱいになった。
大きくなったお腹を抱えたアイちゃんはしんどそうだった。 遊びに来ても必ず、夜には帰っていたアイちゃんがどんなに促しても帰ろうとしない。 「あれっ、出産が近いのかな?」 とはいっても、家の中には猫のトイレがないので、仕方なく、居間のコタツで私がアイちゃんと一夜を共にすることになった。 トイレをしたくなったら、戸を開けてあげられるように。
一夜明けてもいっこうに帰る気配が無い。 仕方なく翌日もずっと滞在するアイちゃんを見守る事になった。
夕食を済ませ、後片付けをしていると、アイちゃんがコタツ布団の中にもぐりこむのが見えた。もう、真冬ではないので、電気は入ってなかったが、寝るのかなぁとしか思ってなかったら、何やら泣き声が。 「えーっ、まさか産んでんのー。」 懐中電灯でコタツ布団の中を照らすと、一匹が産まれていて、もう一匹を出産中。 大変なものを見てしまった。
その後、無事に分娩は終わり、本に書いてある通りの、猫の親子用のお家を段ボール箱で作り、そこに親子を移した。 そして、猫トイレも。
かくして、ノラ猫アイちゃんがうち猫となった。 しばらくして、棟続きの離れ屋が使われずにいるとこへ、子猫を連れての移動が始まった。そこはホコリまみれだったけど、猫には住み心地がいいのか、奇妙な猫一家との共同生活が始まったのでした。
つづく
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