加藤のメモ的日記
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2023年09月10日(日) 老人ホームから会合に通い、腰痛でも車いすを拒否した兼高かおる

31年続いた紀行番組「兼高かおる世界の旅」で名高い兼高かおるさん(2019年没)は、還暦を過ぎてもかくしゃくとしていた。共に「日本ツーリズム協会」を」立ち上げた同協会副会長の高梨洋一郎さん(80歳)が明かす。「何歳になっても兼高さんの情熱は世界を旅することに向けられていました。徹頭徹尾、旅行ジャーナリストであることを貫いた人でした。

しかし彼女は歳を重ねるうち持病の腰痛悪化に悩ませられるようになる。「亡くなる3〜4年前のことです。彼女は空港の乗り換え時に腰痛で動けなくなってしまいました。『車椅子を借りますか?』と聞くと、結構です、と言う。人々に『兼高かおるも車いすに乗るようになったか』と思われなかったのでしょう。

生涯独身だった兼高さんは人に迷惑はかけたくない、という意識が強く、2016年には自らの意思で高齢者用施設に移りました老人ホームに移っても、そこから会長も務めた日本旅行作家協会の会合に出席した。最晩年、兼高さんは子供相手のトークショウに出席し、質問を受けた。

「次の旅ではどこに行きたいですか?」しばらく考えた後、彼女はこう答えている。「そうね天国かしら」2019年1月5日、すぅっと細るように兼高さんは旅立った。行先はもちろん天国だっただろう。


『週刊現代』7.10


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