加藤のメモ的日記
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| 2016年03月03日(木) |
今のアメリカ経済は日本に良い |
アメリカ経済との関係を見ても、それは決して主従関係ではない。お互いになくてはならない相互補完関係にあるといってもいい。例えば米国を代表するアップルの看板商品,iphone。1300点とも言われる部品の半分以上は日本製で占められている。電気を一時的にためておくセラミックスコンデンサを手がける村田製作所のほか、京セラ、TDKなど独自の技術を持つ日本企業なしでは iphoneはつくれない。
「村田製作所はもともと京都の伝統工芸である清水焼を手掛けており、数百年に及ぶ焼き物のノウハウを蓄積して、それが応用されている。これは韓国や中国の鵜品メーカーがおいそれと真似できないキラーコンテンツであり、多少の円高になろうともアップルは買わざるを得ません。このような代わりの利かないモノづくりはまさに日本の強みなのです」(山口氏)
今や日本の最大の貿易相手国は中国だが、輸出額は今でも対米輸出が1位であるうえ、貿易黒字額も6兆円と、日本にとってもアメリカが一番のお得意様であることに変わりはない。そしてアメリカが依然として世界最大の経済大国であり続けることを示すデータがある。最も目を引くのが人口動態だ。「アメリカの人口分布をみると最もよく働き、最も消費する30代層は2050年までは増え続ける。総人口は減っても生産消費層は増えるという日本とは全く違う状況にあり、今後数十年、経済成長が続くのは間違いないでしょう」(山口氏)
アメリカの中央銀行に当たるFRB(連邦準備制度理事会)が3月の追加利上げを見送る公算が高く、アメリカ経済の行方を懸念する声も高まっているが、「足元の指標をみると、そんなことはない」山口氏は言い切る。「新規住宅着工件数や自動車販売台数、あるいは失業保険申請者数、雇用者数などはいずれも好転しています」日本では、いまだにTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)に対する脅威論も根強い。しかし、実際には庶民は多くの恩恵を受ける可能性が高い、前出・長濱氏の見方だ。
「まず関税が撤廃されることで、輸入する食料品や衣類などの日用品が安く買えるというメリットが考えられます。日本の農業が追い込まれるという指摘もありますが、一方で世界中で売る機会が増えることも予想されます」山口氏は金融サービスの多様化をメリットの挙げる。「日本の住宅ローンは返済できなくなったら担保の家を取られ、それでも足りなければ残りのローンを払い続けなければなりませんが、アメリカの場合は払えなくなったら家を銀行に渡して終了。実はこれが世界標準であり住宅ローンはもっと使いやすくなるかもしれません」
さらに、山口氏は「アメリカ経済は日本にとって良いことだらけ」だと強調する。「新しいものを発想するのが得意なアメリカ人と、精密かつ誠実にモノづくりができる日本人とというのは世界最強の組み合わせです。日米関係の進化がさらなる成長を日本にもたらすと私は確信しています」
『週刊ポスト』3.11
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