加藤のメモ的日記
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バブルが破たんし、史上最大の経済危機へ。中国は分裂し連邦国家となり、血朝鮮半島には統一国家が誕生する。北朝鮮は韓国に統合される。
2014年2月17日、中国河北省石家荘で17社のセメント工場が爆破された。続いて23日、河北省の五つの主要都市で「過剰生産設備」と見なされた鉄鋼工場が一斉に爆破された。いずれも人員解放軍の工兵隊による爆破であり、中国全土にその場面がテレビで放映された。これらは3月5日から始まる全国人民代表大会の前に、習近平政権が断固たる決意を国内向けに特に地方政府に示した派手なパフォーマンスである。
これまでやみくもに経済成長を競い、それを実績として昇進をはかろうとしていた地方政府の幹部向けての警告であり、今後は公害を抑えることを経済成長よりも優先させるという政府の意思表示でもある。公害の発生を抑えるためには経済成長を犠牲にしてもやむをえない、過剰生産設備も取り壊すとの強い決意の表れである。河北省は、北京を取り囲む名だたる郊外の発生源である。PM2.5で汚染された大気で連日覆われる北京及びその周辺地域の人々は深刻化する健康被害に日々不安を募らせている。
河北省は中国における重工業地域であるが、また、老朽化した生産施設が林立し、鉄、セメントなどの過剰生産の温床となっている地域でもある。それゆえ大気汚染の元凶ともなっている。経済成長に伴う公害発生をこれまでは中央も地方政府も、ある程度必要悪として容認してしまったという過去があり、そのツケが現在、中国全土を覆っている大気汚染、土壌汚染、水質汚染として噴出している。
民主主義国家であるならば、ある段階で必ず住民からの不平不満に対応する形で公害防除の対策がとられているはずである。また、情報の自由があれば公害発生源への原因究明と責任追及が確実になされ、適正な裁判制度によって住民の権利は守られていく。かっての日本がそうであったように、公害は軽減されていくはずである。
ところが一党独裁下の中国においては、公害の発生源の責任者は共産党幹部、取り締まる当局側も共産党、裁判も党の意向に基づくという形で被害を受ける住民側の声は抑えられ不平不満を漏らすか散発的なデモ、暴動に訴えるしかない。時に各地で大規模な暴動に発展するケースもあるが、当局側に抑え込まれてそれでおしまいという形になっている。その結果として公害被害が多発し蔓延してきているのである。
老朽化し生産性も劣る工場施設を維持存続させるためには、ある程度の資金を継続的につぎ込んでいかなければならない。しかし、低生産性の上に過剰生産に陥っている業界にとっては、投下資金に対応すべき利益は出ず赤字のみが累積していく。本来であれば倒産・廃業となるはずであるが、シャドーバンキングを中心とした過剰マネーが赤字企業を延命させてしまう。その結果、悪循環が断ち切れずに延々と続くことになる。
シャドーバンキングからの投融資によって資金調達ができたとしても、赤字企業ではそれが満期になった際の償還は当然無理となってしまう。これまではそこで不渡りとならないために、地方政府ないしは中央銀行である人民銀行が手をさしのベルという形で赤字を補填してきている。したがってシャドーバンキングによる、いわゆる理財商品について、大きな問題にはならずに済んできた。
しかし、その流れは変わった。習近平指導部はこれまでのような安易なゾンビ企業のサポートはしない。シャドーバンキングによる理財商品のデファオルトを容認し、経済のスリム化を図るとの決意を表明している。3月13日に終了した全人代でもこの方針が示され実際に全人代開催の最中に、上海の太陽光パネルメーカーが予定した金利を支払えず、中国社債市場での初のデフォルトとなった。
市場での競争の激しさが貫徹されることは、通常の経済社会においては至極もっともな政策である。劣弱ないし不適切な企業が市場から淘汰されるとは当然である。拡大した経済、硬直化した金融の制度を現代化、グローバル化の下で適正に改革することは是非とも必要である。しかし、ここ中国においてはこの政策を実施するうえにおいて、ソフトランディングはあり得ない。
改革に対する既得権保持層、守旧勢力の抵抗は大きい。また、金融の不渡りを続出させ、企業倒産を加速させていけば、一般預金者にとって、何の社会的保証もない中で一気に取り付け騒ぎ、失業者の暴動、取り壊しなどの混乱状態を招来させることになる。習政権が全人代で掲げた今年度7.5%の経済成長目標など吹き飛んでしまう。すでに現行への取り付け騒ぎが起こり始めている。当面は政府は極力コントロールし無用な混乱が起こらないように細心の注意を払うであろう。
しかし、この騒ぎはおずれ制御不能に陥るに違いない。本来はあるべき経済政策を遂行するための制度改革であっても、実際に着手するとなると経済的現象であるはずのものがその枠をはるかに超えて社会問題、政治問題へと拡散していく。それが現在想定されている中国の今後の姿なのである。中国共産党が一党独裁の正当性を主張する唯一の根拠が、継続的な経済の成長である。であれば、この混乱の流れが加速し、激化していけばやがては中国共産党一党支配の根拠をも揺さぶることになり、体制への崩壊へと至ることになる。この大激動はいつから発現するのか。あっても数年以上先と見過ごしている向きが多いかもしれないが、そう遠い先ではない。中国の崩壊はもはや目前に迫っているのである。 2014年3月
『中国崩壊前夜』長谷川慶太朗
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