加藤のメモ的日記
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| 2015年05月18日(月) |
大阪市が消える 都構想のここが問題 |
市の消滅と分裂を問うだけ
大阪市の橋本市長が唱える「大阪都」。5月17日に住民投票が実施される見込みである。しかし、住民投票で問われるのは、現在24区からなる大阪市を消滅させ、公選区長と議会を持つ5つの特別区に分割することの是非である。仮に賛成多数になっても大阪都になるわけではない。都の構想の手続きを定めた大都市地域特別区設置法にも、設計図である協定書にも「大阪都」の文字はない。国会で法律を変えるのか、新法の制定が必要である。
「都」は維新政治の継続 暮らしを壊し大型開発推進
大阪都について橋本市長は、「単純な話、今やっている維新政治を誰が知事になっても継続していくことだ」と説明している。橋本市長は、就任3年間で、住民施策をどんどん削減してきた。大阪市民の税金と寄付でつくった大阪城天守閣などの市立施設は、都に没収(移管)され、同じく市民の財産である市営地下鉄や水道事業は、民間に売り払おうとしている。
「都」構想は。問答無用で準民サービスを切り捨て、市民の財産を没収することとセットである。こうして浮かせた金を経済成長戦略の名で大型開発に注ぎ込もうとしている。カジノ誘致に高速道路建設、大阪市の中心地から関西航空港まで5分間短縮するために、2.500億円もかかる鉄道「なにわ路線」など、財界が喜ぶ大型開発事業が並んでいる。
「都」構想で誕生する区議会の定数は極端に少なくなる。人口が同じ規模の東京都23区と比較すると一目瞭然である。根底には橋本市長の議会軽視がある。「インターネットも電話もある。一部の市民の声を届けてワーワー騒ぐそんな議会は時代遅れ」と行っている。「都」構想は。財源も半人前の特別区の元で、知事という一人の指揮官が、好き放題できる独裁・暴走体制作りにほかならない。
アベノミクスの地方版
大阪維新の会が目指すものは、市民向け予算を削減し、富裕層を誘致するためのカジノ構想、「大企業の求めに応じた大型開発などを実現するための財源を確保する政治である。安倍政権が進めるアベノミクスの地方版である。その狙いを包み隠さずに政治を進めると、市民の反発は強まり、毎年の予算編成でそのような議論が議会でなされると大変である。
そこで大阪都構想の名の下に、大阪市を解体し、特別区の財源を吸い上げる仕組みを作れば、恒久的な財源が確保できる。住民の意見が反映しにくくなる少人数議会は、維新政治の推進には好都合である。格差を拡大し、地域経済と市民の暮らしが大変になるのが大阪都構想である。このような富の偏在を進める政治ではなく、それを是正する政治こそが、国政でも地方政治でも重要なことである。
『週刊朝日』3.15
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